外務省の有識者委員会は解明にあたった4つの日米の密約のうち2つを「広義の密約」、1つを「狭義の密約」と認定した。歴代政権は密約の存在を否定し続けたため、真相解明に取り組んできた鳩山政権の一定の成果といえる。ただ密約の関連文書を外務省が破棄していた可能性も否めず、過去の外交交渉に関する説明責任のあり方には重い課題を残した。
 「リーダーたる外相あるいは首相の問題だと思う。政権交代がないなかで困難だったことは間違いない」。岡田克也外相は9日の記者会見で、今回、検証対象となった密約がこれまで解明できなかった理由をこう分析して見せた。岡田外相は就任早々、密約問題の解明を掲げており、今回の成果は政権交代の象徴ともいえる。
 ただ、メスを入れたことで課題も浮き彫りになった。例えば、事前協議の解釈を巡る米側との「討議の記録」など密約を裏付けるとされてきた重要文書の原本の多くは最後まで見つからず、写しだけが発見された。有識者委からも本来、あるべき文書が、不自然な形で欠落していたとの指摘が出ている。(00:57)