民主党内の三国志の構図。参考のために他党派も掲載している。(作図筆者)
図では、横軸に政治手法(左へ行くとリベラル、右へ行くと権威主義)、縦軸に大きな政府⇔小さな政府を取って各政治家のスタンスをプロットしました。
1.藤井財務大臣(財務官僚出身)、平野官房長官(旧民社系)=緊縮財政派。鳩山総理(お金持ち)もこの傾向あり。
2.小沢一郎幹事長=ある程度大きな政府だが、政治手法が権威主義的。選挙戦術などは旧来自民を彷彿とさせる。
3.原口総務大臣、長妻厚生労働大臣ら事業官庁大臣、リベラル派新人議員=民主的・効率的で大きな政府派。
他党は以下です。
自民党=相変わらず森さんら権威主義が幅を利かせ、「小さな政府」の立場から民主党攻撃している。
大都市に多かった新自由主義者からも、最近地方に増えてきた社民主義志向者からも見放される。その結果総選挙では都会でも地方でも惨敗。
共産党、社民党、国民新党=3の社民主義に近い。
みんなの党は、強いて言えば1に近い。民主党を離党してみんなの党に合流した浅尾慶一郎さんがその例。
■緊縮財政派には任せられない
1の緊縮財政派の藤井財務大臣、平野官房長官は、財務官僚の意向を受け、教育支援打ち切りや子ども手当の地方負担を言い出した。
藤井財務大臣の「教育費支援廃止」は本末転倒の弱者切り捨て
「子ども手当」で平野官房長官に2枚目のイエローカード
今、彼らの政策を推し進めればデフレが悪化する、と心配しています。
勝間和代さんは、今まではどちらかといえば、「自分でがんばる」方向での方法論を訴えてきたといえるでしょう。その彼女でさえも、「デフレを止めてくれ」と菅さんに直訴しています。
「国民の生活が第一」なら勝間デフレ退治提案採用を
多くの人(「カツマー」といわれる彼女のファンも含め)にとって「自己責任」でがんばっても、こんな状況ではどうしようもないのです。
こんな状況にもかかわらず、「まず、予算総額削減ありき」に見えるご両人には違和感を覚えます。財政を任せておけない。早々に退陣され、亀井静香金融担当大臣あたりに財政運営をお任せすべきでしょう。
藤井財務大臣は財務官僚、平野官房長官は、比較的恵まれた正社員が多い旧民社系労組のご出身であることも影響していると思います。鳩山総理もまたお金持ちご出身であるため、気をつけないと緊縮財政が都合が良いという方向になるのではと邪推します。
デフレは比較的お金がある人には都合が良いのですが、長く続けば勝間さんに言われるまでもなく、就職難が続く、企業の前向きな投資意欲がわかないなど弊害は大きいのです。
■小沢さん、「天下統一」で疎まれた「韓信」に?
2.の小沢一郎さんは、どうか?
彼なくして今の民主党はないのは確かでしょう。
昔は1の緊縮財政派が主流だった民主党をこれを政策面で社民的にしたこと。また、甘かった選挙戦術を民主党若手・新人にたたき込んだこと。この功績は大です。漢における韓信に匹敵する方だと思います。
しかし、小沢さんに対しては、身内から不満も出ています。特に、新人議員を一律に行政刷新会議の事業仕分けチームから引き上げさせた事件は、若手の党員や支持者に疑問を広げています。
私の知り合いの女性地方議員は、大泉博子議員が仕分けチームから引き上げさせられたことを「行政刷新会議に選ばれて、元官僚の経験からしっかりこの役割を果たせると楽しみにしていたのですが」と残念そうです。
わたしも同感です。新人でも先輩議員より分野によっては見識がある人はいます。小沢さんは研修や地元活動優先を指示しています。自民党の小泉チルドレンみたいになってはいけない、という親心もあるのでしょう。
しかし、現実の親子同様、いい加減にしないと却って子ども=新人の成長を阻害します。新人議員が小沢一郎さんに大変お世話になったのは事実ですが、現場で汗を流して候補者を支えたのはわたしのような一般党員や支持者ではないでしょうか?また、実際に投票したのは有権者です。
そして、各議員は新人といえども、有権者から地域の代表として選ばれてきたのです。活用しないのは有権者に失礼です。小沢さんも新人もそういう意味では対等だということは忘れてはいけません。
そこを見失うと、小沢さんは、韓信と同じく疎ましく思われるでしょう。韓信は、天下統一=政権奪取後、当時の主権者=劉邦に斬られました。小沢一郎さんも、民主党を支持した主権者に切られかねません。
■今後の方向性を示す社民主義派
3、の効率的で大きな政府派(社民主義派)、とくに長妻厚生労働大臣、原口総務大臣は財務省に対してそれなりによく闘っていると思います。
また、地方選出のとくに女性や若手の新人議員も、3を訴えて当選した人が多い。貧困問題などを考えたら、民主党が進むべき方向は3だろうと思います。
社会保障などセーフティネットを自民党政治のような企業単位ではなく、個人単位で張ることです。中長期的には、地域内の経済循環を重視する方向性に進むべきでしょう。わたしも、3の系統の若手に期待しています。
今後は、「余裕がある人から順に税負担を頂く」方向性をはっきりさせられたら良いと思います。そうしないと、新自由主義派につけこまれます。この点はたとえば亀井静香さんの政策を参考にすればよいと思います。
さらなる財政悪化回避のため、いまこそ「亀井大蔵大臣」を待望す
日本共産党も民主党内のこうした側面に期待して、「建設的野党」を宣言し、小選挙区での立候補者を抑制、それが総選挙での民主圧勝につながっている、と思います。そういう意味では、3をもっと前面に出せないようでは、本当に次の総選挙はどうなるかわからないと思います。
■若手はもっと生意気に!
以上を総括すれば、わたしは、(とくに社民主義志向の)新人議員を叱咤激励したい、と思うのです。
「もっと先輩に対して生意気に」と申し上げます。
党内政局面では(2に属する)小沢幹事長の「指導」に、政策面では(1に属する)鳩山総理、藤井財務大臣らの新自由主義的姿勢に「それは違う」と言っていいと思います。
いつの時代でも若手がベテランに反発して、ときに悔しい思いをする。 力をあわせながらも前向きな意味で、なにくそ、という気持ちを持つ。 やがて、先輩に肩を並べていくという過程こそ、組織の活力ではないでしょうか?
もちろん、今は執行部の影響力が強い選挙制度=小選挙区比例代表並立制になっています。小沢一郎さんがつくった制度です。
「麻生おろし」腰砕けにした選挙制度の功罪
そんな中、なかなか、ものは言いにくいかもしれません。でも、党の理念や政策に照らしておかしいことを鳩山総理であれ、小沢一郎さんであれがするなら、モノを言うべきです。そうでないと党自体が活力を失います。
自分たちこそ、むしろ有権者に近いのだという気概を持ってほしい。わたしは、そういう意味では、議員でもありませんが率先して「生意気」を言わせていただきます。