前原誠司国土交通相は9日午前の閣議後記者会見で、建設継続の是非を検証する方針を示していたダム事業のうち、浅川ダム(長野市)など本年度内に本体着工に向けた手続きを踏む補助ダム事業について、2010年度政府予算に補助金を計上する考えを示した。
前原氏は「内海(うちのみ)ダム(香川県)、浅川、与布土(よふど)(兵庫県)などは、既に(各県が)予算を計上して取り組んでいる。複数年にわたる契約を締結したり、債務負担行為(複数年度にまたがる支出)を行っているなら、各県は負担金交付の期待が大きい」と個別のダム名を挙げた上で、「国が金を出さなければ、裁量権の逸脱となり、負担義務違反を問われる恐れがある」と述べた。
「補助金は満額出すか」の問いには、「今、申し上げられるものではない」とし、額には言及しなかった。
前原氏は昨年末、全国89ダム事業を対象に、事業継続の是非をあらためて検証する方針を表明。浅川や内海など本年度内に本体工事を契約済みか予定している5ダムへの予算措置は、「各県の最終判断を踏まえ、別途あらためて判断する」としていた。
浅川ダムについて、長野県は09年度当初予算に本体工事費など17億円(半分は国補助金)と、債務負担行為として120億円を計上。2月県会に提出した10年度当初予算案には、本体工事費など25億円(半分は国補助金)と債務負担行為4億5千万円を盛った。ダム本体工事の契約議案も提出しており、9日午後に建設委員会で契約議案の採決を予定、12日には本会議で採決する方針だ。
県の入江靖建設部長は前原国交相の発言について「正式な発言は聞いていない。これまで国が県の決定を尊重するという言い方をしていることから、県会の同意をいただいた上で、本体着工をしていきたいとしか答えられない」と述べた。