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【未来予想図 選択的夫婦別姓】(中)自立からすれ違い 米国の教訓 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:性
「ローラ、もしもの時に男性に頼らなくても生きていけるように仕事を持っておきなさい」
母は、娘の私に繰り返しこう話した。夫と離婚し、クリーニング店の店員をしながら苦労して私を育てた母を見て私は、男性に頼らない、女性の経済的自立こそ幸福の条件と信じていた。
だから私も結婚するとき、夫婦別姓を主張し、旧姓のまま仕事も続けた。夫の姓を名乗るのは男性への降伏とすら考えていた。
《米国では1960年代からフェミニズムの影響で、男性からの経済的自立で女性は自由を得るという生き方が吹聴され、夫婦別姓や事実婚を推奨する運動が盛んだった》
「なぜ夫婦別姓にしないといけないのか」と尋ねた夫に私は「夫婦でも独立した人間でいたい」と答えた。夫は納得いかない顔をしたが認めてはくれた。
長女の出産後、直ちに保育所に預け仕事に復帰できた。しかし、育児と仕事で忙しく、次第に夫婦の会話は少なくなった。
ある日、同僚から郊外の一軒家の購入を薦められ、夫に相談すると、意外な言葉が返ってきた。
「君は、僕と一生を共にする気がないから結婚しても旧姓のままだし、離婚しても暮らせるよう仕事を続けているんだろう。夫婦共有の財産など後で困らないか。やめよう」
返す言葉がなかった。別姓選択が、夫と一緒に見られるのが嫌だったのは間違いないからだ。
《米国価値研究所の調査では、事実婚は単に一緒に住むことを選んだカップルで、生涯を誓い合い、将来を委ね合う関係ではない。そのため、正式な婚姻夫婦に比べ、自分たちの収入を共同で使うことが少ない傾向にある》