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日米密約:政府・与党「政権交代の成果」アピール

 外務省の有識者委員会が9日、日米密約の存在を認める報告書をまとめたのを受け、政府・与党は「政権交代の成果」とアピール。長く政権党として密約の存在を否定してきた自民党からは歴代政権の対応を正当化する発言が相次いだ。【中田卓二、近藤大介】

 平野博文官房長官は同日の記者会見で「今までの政府が言ってきたことと事実関係が違ったわけで、政権交代による大きな効果だ」と自賛した。社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相も記者団に「こういうことが明らかになったのは、やはり政権交代の成果だ」と語った。

 一方、自民党は麻生太郎前首相が談話を発表し「『密約』については、自分は承知していない。核の持ち込み問題についての当時の国会・国民への説明ぶりは、わが国の安全保障を確保するとの観点に立った賢明な対応だった」と歴代政権を擁護。安倍晋三元首相も記者団に「いわゆる核密約についての申し渡しは前任者からはなかった」と説明し、60年に日米安保条約を改定した祖父の岸信介元首相に関しては「密約という認識はなかったと思う。冷戦の中で指導者が日本を守るために判断した」と語った。

 自民党の閣僚経験者の一人は「(密約を)公表して『けしからん』というのは簡単だが、米艦船内(に核兵器がないか)をすべてチェックなどしたら日米同盟が持たない」と主張。高村正彦元外相も記者団に「(核持ち込みについて)日米間の解釈の違いを詰めなかったのはけしからんと今の時点で言うのは、当時の苦渋の決断をした人たちに酷ではないか」と語った。ただ、高村氏は同時に「歴史の真実を明らかにするのは一定の意義はある」と鳩山政権の取り組みを評価もした。

 公明党の山口那津男代表は「情報にアクセスできた首相や外相という限られた人の判断をこれから検証する必要がある」と記者団に語り、自公政権時代の公明党の関与を言外に否定した。共産党の志位和夫委員長は記者会見し、00年の国会審議で不破哲三委員長(当時)が安保改定時の「討議の記録」の存在を指摘したことを挙げ「報告書は記録の存在を認めながら、それが密約だったことを否定している。悪質な歴史の偽造だ」と批判した。

毎日新聞 2010年3月9日 20時56分(最終更新 3月9日 23時10分)

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