運命の中に偶然はない。人間はある運命に出会う以前に、自分がそれを作っているのだ。


 “アメリカの第二十八代大統領トマス=ウィルソンの言葉より抜粋”

























 子供先生への質問

Q.1
『あなたのお名前を教えて下さい』

「ネギ・スプリングフィールドだ。聞くまでもないだろ? みんな知ってるぜ。何てったって主人公だからな」


Q.2
『随分と可愛らしいですね。何才ですか?』

「あー……正史だと数えで十才ってことになってる。何でこんな言い回しをするのかは秘密だ」


Q.3
『好きなものは?』

「広い範囲だと紳士的に接吻、ネカネねえさん、可愛い娘、アンティーク、ハーブティー……あと、昨日の夜にタカミチと屋台で食った焼き鳥のネギまなんかスゲー美味かったな」


Q.4
『趣味は何ですか?』

「お茶に魔法道具収集、趣味かどうか微妙なところで自己の鍛錬だな。天才の上、努力を怠らないおれ様はいわゆる最強ってやつか? ハハッ!」


Q.5
『せ、先生として教壇に立つわけですが担当する教科は?』

「英語。言っとくけど、おれはどの教科だって平気さ。単に子供だからって、無難に決められただけだろ。英国人に英語はベタすぎるって? 別におれは保健体育でも構わなかったんだけどな! ハーーーッハッハッハ!!」


Q.6
『……最後に好きな言葉をどうぞ』

「才色兼備、眉目秀麗、常勝不敗、品行方正、清廉潔白――む、けっこう迷うな。まったく、日本の四文字熟語ってやつはおれのための言葉が多くて困るぜ!」


 
 総評として、何処かで見たような小柄な少女のコメント。

「……とりあえず、あなたに相応しい言葉は傲岸不遜でしょう。自己分析がなっていません。ダメダメですね、まったくアホすぎです」


















私の偉大なる魔法使いマギステル・マギ
二時間目『前途多難! 受け持ちクラスと早すぎる再会』

















(――なんて、好き放題言えたら楽なんだろーけどな)

 昨夜視た突撃インタビューのような夢を思い起こし、ネギは苦笑いを浮かべた。
 仮に自己紹介で言いたい放題言えるとしたらさぞかし気楽に違いないのだが、今回は長丁場を覚悟するべき修業地でのファーストインプレッション。
 残念ながら地を出すわけにはいかない。
 今日は新たな修業場である、麻帆良学園の記念すべき初日。
 麻帆良名物脅威的通学ラッシュの洗礼を受けつつ、水先案内人の生徒二人に付き添われ、修業地麻帆良におけるネギの大目付役――総監督官である学園長の近衛近右衛門に、修業開始兼教員就任挨拶をしたのが先程の話。
 特にウブというわけでもないので、緊張はまったく無い。 
 無いのだが、今朝までウキウキ気分だったネギの心持ちは、近右衛門の口から初めて聞かされた衝撃の事実によって些か消沈気味だった。

(よりにもよって、受け持ちクラスが中等部とは……ふざけんなよ、ったく)

 ネギの願望とは裏腹に、割り当てられたクラスは麻帆良女子中等部の2−A。
 いくら女の子の発育が早いとはいっても所詮は中学生、ネギにとってみれば青すぎる果実にすぎない。
 年が微妙すぎて正直、趣味ではないのだ。
 同じ麻帆良の高等部、聖ウルスラにて旬で開放的な女子高生相手にヨロシクする『子供先生ウハウハ☆ムフフ計画(意味不明)』などを妄想していた分、ショックは大きかった。
 共学ではなく、あくまで“女子”中等部という部分で若干は救われていたが、がっかりするのは否めない。
 
「ふふっ、ちょっと緊張してるみたいね」

 ムスッとした少年の表情を見取り、隣を歩く妙齢の美女が微笑んだ。
 思わず顔をうずめたくなるような豊かな胸元に細い腰のくびれは、モデル顔負けのダイナマイト・ボディとでもいおうか。
 ウェーブの掛かった長い髪とある種の神器とでもいうべき眼鏡は絶妙で、まさに美人教師を絵に描いたような容姿だ。
 源しずなという名のこの女性はネギの指導教員、いわゆるお目付役ともいうべき人間である。
 少し年を召しているものの、中学生に比べれば十分に守備範囲なので本来ならば色々お相手して頂きたいところだったが、話した感じと今までの女性勘から結論すると身持ちがやたらと堅そうなので、残念ながらお好みリストには入れていない。

(意外にこういうタイプは好きな男がいたりするんだよな。ま、とりあえずは対象外にしておくか)

「ええと、はい。受け持つ生徒の皆さんが全員、僕より年上だと思うと緊張しちゃって」 

「初めての先生だものね。でもきっと平気よ。年も近いし、みんな良い娘達ばかりだから、あなたもすぐに打ち解けられると思うわ」

 百八十度考えている事と異なる答えだったが優等生ぶりを真に受けたのか、しずなは慈愛の笑顔を浮かべた。
 初めての授業に緊張する少年の図をバッチリと演じるネギ。
 外面は良好だ。
 アーニャには速攻でバレたが、姉を含むそれ以外の全ての人間は未だネギが激烈な猫被り少年であることを知らない=バレていない。
 場合にもよるが、指導側から試される修業において優等生の仮面は都合が良い。
 修業期間がどれくらいかは不明だが、まさか何年も先生修業を継続することあるまい。
 ケツの青い子供ら相手やネギの前評判しか知らない先生相手ならば、幾らでも優等生を演じきれるだろう。

(つーか、一応十才のおれに教師をやれって方がどーかと思うんだが……)

 大体にして“先生をする”などというふざけた修業などは、端から気に入らなかったのだ。
 アーニャに言いくるめられ、女子高生との楽しい授業への勝手な期待(それも夢と消えている)に踊らされた挙げ句が今の現状である。

「ハイ、これクラス名簿。授業の方は大丈夫、ネギ君?」

「上手くできるかどうかはわかりませんが、頑張ります」

 しずなから差し出された名簿を受け取りながら、当面は真面目な十才少年を装い、のらりくらりと当たり障り無くいこうと決める。

(最初の直感通りマジでつまんねぇ修業になりそうだな。十代前半のガキ相手に授業するぐらいなら、ここの図書館島にこもった方がまだマシだぜ。おれはこんなところで止まってられねーってのに……くそ)

 やがて隣を行くしずながある教室の手前で足を止めた。
 どうやら目的地に着いたらしい。
 
「ほら、ここがあなたのクラスよ」

 美貌の指導教員がニコニコ顔で指し示すのは、2−A。
 表面上は緊張の面を崩さず、ネギは内心「だからなんだよ」なテンションで仕方なしに廊下の窓から教室内を伺い――言葉を失った。

「…………!!? ……う、わ」

 とりあえず、目に付いたのは女の子。
 いや訂正、目に付くものは女の子ばかり。
 それもただの、ではない。
 上物だ。
 女など幾らでも見慣れているネギではあったが、一瞬の分析の後、ほとんどが眼鏡に適う上質の娘と理解し更に驚きが募る。
 粒で見れば、確かにいかにも中学生な幼さの娘もいる。
 いるのだが年齢、見た目という外的要因を「そんなものだ」と片づけられる程のポテンシャルを持つ花々に、ネギはちょっとした胸の高鳴りを覚えずにはいられない。
 青いだけでは終わらない果実、まさに開花前の蕾、いや二厘咲き状態の美しき彩華。
 ただ綺麗な一色の花ではない。
 それぞれが独特の艶やかな彩を秘める花ばかり、これぞ百花繚乱である。
 女子“中等部”という言葉の魔術に囚われていたようだ。 
 前考撤回。
 諦めていた桃源郷への道が、今まさに開いたということか。

「そうだ、クラス名簿……!」
 
 緊張と興奮を入れ替えつつ、受け取ったばかりの2−Aクラス名簿を開く。
 文字通り開かれたそこには、教室内のピチピチな女子学生達がバストアップでズラリと並んでいた。
 現実と比べて写真が若干幼く見えるのは、おそらくこの名簿が一学期の初期に作られたためだろう。
 部分部分で写真の下に色々とコメントが書かれている。
 2−Aの前担任で古くからの友人“高畑.T.タカミチ”が、先生初挑戦なネギのために気を利かせてくれたらしい。
 先日、久しぶりに再会した友人のワイルドで頼りがいある笑顔を思い起こし、こちらも心の奥でニヤニヤする。
 
(おお〜! 流石はタカミチ、持つべきものは友達だぜ! 敵地攻略は情報がキモだからな。フフン)

 当たり前だが、タカミチがネギのウハウハ計画とやらに協力するわけではなく、名簿のコメントは単なる善意のものであり、古くからの友たる彼もネギの本性にはまるで気づいていないのだという事を付け加える。
 女子生徒達の住所や電話番号も他のページにバッチリとあった。
 他にも日直の順番や部活等クラス内の情報が色々と書かれており、ネギは修業開始早々の戦果にご満悦だった。
 だが、少年が仮面の裏でご満悦だったのはそこまで。
 再びページを写真のところに戻したネギの裏笑みは、面に出ないその陰でそこはかとなく凍り付いた。

(…………げ――!?)

「げっ……い、いっぱい」

 “げえぇっ!? なんだそりゃあぁぁっ!?”と吹き出しかけたのを、生徒の人数多さに驚く子供を装い辛うじて誤魔化す。
 沈着冷静を地に往くつもりのネギが驚いたのには、それなりのワケがあった。
 写真付クラス名簿2−Aにおいて女子生徒の人数は三十一人。
 少子化が進んでいるとはいえ、平均的にみれば多くも少なくもなく数は別段驚くものでもない(当然、ネギの「いっぱい」発言はブラフ)。
 問題なのは載っている女子生徒だ。
 開き右半分にはクラスの半分の女の子が載っているわけだが、その中にネギの知っている顔が四つあった。
 八番の神楽坂明日菜と十三番の近衛木乃香は今朝、学園長室への水先案内人として一緒に行動していただけの浅い関係なので、とりあえず除外。
 もう一人も、顔に昔馴染みの面影があるだけの(それだけでも十分なのだが)同姓同名な女の子という可能性があるので、この場は考えないでおいても構わないだろう。
 だが、四人目はそうもいかない。
 出席番号四番の娘。
 それは昨日の朝、ネギに平手打ちをかまして走り去った少女だった。
 容姿は写真とほぼ変わらないので、双子でもいなければまず間違いない。
 
(名前は綾瀬夕映……あいつ中等部だったのか? ぜんっぜん、見えねぇ。女の歳を一見した容姿で判断するのはちょっと危ねーな)

 夕映本人が知ったら怒る類のことを考えながら、確かに小学生にしては小難しいことをベラベラ言っていた気もするか、と納得するネギ。
 いずれにしても、面倒なことになった。
 ネギは一昨日の夜に夕映を助けるため、ホテルでの一件も含めて魔法など常識ではあり得ない技を使った。
 少女自身が理解しているか、していないかは別問題、夕映が黙して語らなくとも、大きな懸念材料には違いない。
 ホテルでの出来事は、ネギの意図が何であれ、おそらく最悪に近い印象を与えてしまっているのだから。
 おまけに性魔術を使用した“協力者”であるため、ネギ自身のポリシーから彼女への記憶操作はできないのだ。
 もっとも、救いはある。
 子供状態のネギが夕映と会ったのは、夕刻の薄暗い路地裏だった。
 容貌までは細かくわからなかった可能性が高く、途中からは限定解呪で年上モードとなっていたので、年上ネギと年下ネギは異なる人間だと認識しているはずである。
 更に、ネギは救出の以後、少女に対し素で接していた。
 当然ながら、夕映はネギの猫被りを知らない。
 
(知らぬ存ぜぬで押し通すか。ま、相手がどう出るかわからねーうちは考えても仕方ないからな。そんなことより――)

 夕映のことは置いておくことにして、ネギは教室の扉の上を見て肩を竦めた。
 通常時、授業の前に教師が教室へ入る際使う前扉が不自然に少しだけ開いてる……それだけならば別にどうということは無いのだが、その天辺に何やら挟まっているものがあった。
 黒板消し。
 それも、ご丁寧にチョークの白い粉がびっしりと付いた特注品だ。

(随分とベタすぎるトラップだな、オイ? ガキ共が、おれに対する挑戦のつもりか? ぷぷっ!)

 新任教師に対する洗礼というやつだろうか。
 メルディアナでも同じような罠を生徒同士で仕掛けあっていた時期があったが、おそらく黒板消しを使ったトラップは万国共通的悪戯に違いない。
 障壁魔法を習得する頃にはまったく意味のない行為となるので、あくまで低学年の悪戯ではあったが。
 所詮は背丈の高い大人やそれなりの注意力があれば、少し開いた扉の上の物体に容易く気づく程度の代物。
 実に低レベルである。 
 
(遺跡の罠に比べりゃ、かわいいもんだ。面白いじゃねーか……いいぜ、乗ってやる)

 展開していた魔法障壁を意識的に切り、ニヤリと笑い徐ろに教室のドアに手を掛け、一気に開いた。

「よし! し、失礼しま〜す!」

 ガラリと音を発ててドアが開くと、当然の如く降ってくるのが黒板消し。
 落ちてくるこの物体を受け止めたり避けたりすることなど、本来ならば造作もないのだが、ネギはこの罠を敢えて頭で受け止める。
 ヒュ〜、ボフッ、モワッと仕掛け人には笑いが止まらない三拍子の後、トラップ成功に予定調和の如く教室中が笑いで沸いた。 
 
「ゲホッ、ゲホッ……いや〜、ひっかかっちゃったなあ、ゴホッ」

 チョークの粉にまみれたが、咳き込みながらも教室の雰囲気に合わせてにこやかに笑う。 
 十才という年齢を加味すれば、突然のトラップに取り乱す少年という態度をとっても良かったのだが、それでは生徒に舐められてしまうかもしれない。
 そうかといって、黒板消しを受け止めたり罠を回避したりなどは子供らしくないのでこの場合、論外。
 “生徒のイタズラに内心は戸惑いながらも、落ち着きのある先生として頑張っている子供”としてはまずまずの対応、掴みはバッチリだ。
 だが、安心するのはまだ早かったようだ。
 調子に乗り、笑いながら教室へ足を踏み出した瞬間、ネギは自分の足元にロープが張られていることに気づいた。

(ん? って、ちょっ――またかよっ!?)

 どうやら二段構えのトラップだったらしい。
 すでに踏み出しているので、ロープへ足が引っ掛かることは必至。
 寸前で罠の存在に気づいたことにして緊急回避するかorそれとも敢えて引っ掛かるかの究極二択だ。
 もっとも選択肢こそあるものの、ネギがどちらを選択するのかは既に決まってしまっている。 
 
(ちくしょう、引っ掛かってやるしかねーじゃねえかっ! ままよ!)

 ここで避けたら先程、わざと黒板消しを受けた意味が無くなるからだ。
 いや、無くなるまではいかないが、インパクトは薄くなり不自然さは残ってしまうだろう。

「わっ!?」

 ロープに足を取られ、バランスを崩し派手にすっ転ぶネギ。
 顔面が床へとランデブーする瞬間をスローモーションで捉えながら、これも未来のためと自分に言い聞かせる。

(わ、わざと掛かるのも結構辛いぞ。畜生、なんでジェントルマンな俺がこんな無様に……い、いやいや、これからの明るく楽しい修業を考えれば安いもんだ)
 
 しかし、ネギはすぐに自分の考えが甘かったと知ることになる。
 今度はロープと連動していた吊りバケツの仕掛けが働き、擬音にしてみればヒュ〜、ガボン、バシャーンという三拍子が、床と仲良く顔面デートと洒落込んでいたところに炸裂したのだ。

「あぼっ!?」

 水満載のバケツの直撃をまともに受け、上半身がずぶぬれになった。 
 まるであしらえたようにスッポリと頭にバケツが被さったところで、よろよろと立ち上がる。

(ハハハ……子供のイタズラ、子供のイタズラ。余裕、余裕、カワイイもんだ、誰でもこれぐらいのヤンチャはする――のか?)

 度が過ぎるトラップを子供のしたことと、強引に言い聞かせようとするネギ。
 更に、間の悪いことは重なるものである。
 視界が悪いこともあったが、ツルツルに磨かれた床に水がぶちまけられたおかげで、今度は足を滑らせた。
 真っ暗森状態のまま前転空中ダイブを素でかますネギに、小馬鹿にしたような吸盤付きの矢が次々と追い打ちを掛ける。
 パスン、パスンと音を発てて、尻と頭のバケツに突き立つ吸盤矢が三本。
 そして、教壇にゴンと大きな音を発ててぶつかり、ようやく前転が止まった。

(これはイタズラ、ただのイタズラ? か、カワイイもんだ……って、んなわけあるか! 人が甘い顔してりゃ、つけ上がりやがって! このガキ共があっ!!)

 まるで漫画かコントのようだが、途中からは選択の余地など無かった。
 情けないことこの上ない。
 あまりにも無様である。 

「あらあら」

 教室中に響く生徒達の笑いを背景にしずなの声が聞こえた気がしたが、慰めにもならない。
 今にも折れそうな不屈の闘志を奮い立たせ、幽体の如くゆらりと起き上がろうとするネギ。
 バケツが被さったままなので、実に締まらなかった。

「はははっ……えっ?」

「あ、あれ?」

 罠に掛かった哀れな獲物の一人舞台が収束したところで、少女達もようやく獲物が何なのか理解したらしい。
 トラップ対象は新任の若い教師。
 彼女らの目論見は一応は成功したのだが、対象が若すぎ以前の話、子供であることに今更ながら気づいたのだった。

「えーーーっ!!? 子供!?」

「君、大丈夫!?」

「ゴメン! てっきり新任の先生かと思って」

(おまえら反応遅ぇ……てか相手が子供じゃなかったら、こんな先生イビリが許されんのか? あ、ありえねーぞ!)

 何人かの生徒達に助け起こされながらも、笑顔の奥で彼女らへの認識を再度改めるネギだった。
 
「いいえ、その子があなた達の新しい先生よ」

 そんなしずなの言葉にほとんどの少女達が顔に驚きを浮かべ、教室のざわめきが一際大きくなる。
 とりあえず普通の反応である。
 十才の子供がいきなり担任になると聞かせられれば誰でも驚く。
 もっとも、女子中学生のありえなさを味わったネギは翻った認識から、先行きにまたもや不安を感じ始めていた。

「さ、自己紹介してもらおうかしら。ネギ君」
 
「は、はい」
 
 ゴクンとつばを飲み込んで形だけ気合いを入れてから教室を見回し、教壇に手を置き口を開く。
 いよいよ修業開始だ。
 
「今日からこの学校で英語を教えることになりました、ネギ・スプリングフィールドです。ぼくの実習は今のところ三学期の間だけですけど、精一杯頑張りますので皆さんよろしくお願いしますっ!」

 気を取り直してあくまでも先生という立場を重んじ、引っ掛かることなく一気に言い切った。
 緊張している表情に、少々凛々しさを加えるのがポイントだ。
 ネギの挨拶の後、数瞬の間だけシンと静まりかえる2−A。
 だが、それは本当に数瞬だけ。
 新任の、しかも子供先生というインパクトある対象に、好奇心旺盛な思春期の少女達が興味を示さないはずがない。
 何秒かの後、先程よりも更に大きくなったざわめきと女の子の波が、怒濤のように教壇へと押し寄せた。

「キャアアァァッ!! かっ、かわいいぃっ!!!!!!」

「何才なの〜〜〜!?」

「どっから来たの!?」

「何人!?」

「え? ウェールズってどこ!?」

「今どこにすんでるの!?」

「……マジなんですか?」

「ホントにこの子が今日から担任だんですかーーーっ!?」

「こんなカワイイ子もらっちゃっていいの〜〜!?」

「ねえ、君ってば頭いいの!?」

「スゴーーーイ!!」

「いやあぁぁぁん!!」

「あーーーん、カワイーーーっ!!!!」

 瞬く間に波の中へ飲み込まれた。
 視界が人壁に遮られる。
 聞こえるのは黄色い声、黄色い声、黄色い声。
 質問もあれば、子供先生への印象を述べたものもある。
 ネギは答えを一つ一つ返すのだが、少年の意識はまったく別のところへ飛んでしまっていたので、返答は意味を伴うパブロフの犬状態だった。

(ふおぅぉぉっ!!? 柔けぇっ! 胸、胸が当たって……ふもふむぐっ?!)

 女体に四方を囲まれているのと同時に、服の上からも隠しようのない感触に挟まれている。
 言うまでもなく胸……女性の特徴、母性の象徴など捉え方は様々だが、漢の中でこれを苦手としている者は少なく(はず)、むしろ大好きな輩の方が絶対多数だろう。
 背中と顔をサンドイッチするその感触は、東洋系十代の少女の中でも明らかにオーバースペックである。
 ただ者ではない。
 更に女の子特有の匂いが局地的密室と化しているネギの周囲を埋め尽くし、もはや得も言われぬ有様だった。

(……悪かった。十五前の小娘と思って甘く見ていたぜ、すまん。ボリューム満点、食べ頃で実にサイコーだ――いやいや、ここは先生らしく教育的指導か? 個別指導……ムフフ)
 
 そこそこ女性に免疫があるものの、こういったハーレム状況に陥ったことはさすがに無かったので、ひとまずネギは桃色空間をじっくりと堪能する事にした。



 ――ネギ・スプリングフィールド修業開始の、そんな一コマの裏で。

 クラスメート達に囲まれる子供先生の様子をある少女は、口元に意味深な笑みを浮かべながら、まるで新しい玩具を見つけた子供のような瞳で眺め。

 ある少女は、何もわかっていないような、それでいて納得のいかないような抜けた顔の後、気を取り直したように仲間達と質問の輪へ混じり。

 そしてある少女は、揉みくちゃにされているネギへ、興味とはまったく異なるベクトルの訝しい、疑惑に満ちた視線を送っていた――。
 
  


 
 
 
 
 

 

 




















 放課後。
 麻帆良学園も他の学校の例に漏れず学業開放時刻になると、授業を終えた生徒達は課外活動や帰宅の途につく。
 休み時間や昼休みとは、また違った活気で溢れる校内。
 黄昏時にはまだ早い時刻ではあったが夕映は一人、木陰ぽつねんと黄昏れていた。 
 新任先生歓迎会に使うペットボトルが入った袋を横に体育座り、それとなく哀愁が漂っている。
 悩み多き年頃の乙女、物思いに耽るのは別段珍しくもないのだろうが、悩みの原因が些か問題だった。

「ネギ・スプリングフィールド先生――」

 口を衝いて出た名と共に思い浮かぶのは、本日2−Aに着任した子供先生の笑顔だ。
 状況から連想できるのは恋の悩みといったところだが、夕映のそれはまったくの別物でさらに深い。
 確かにネギの外見は愛らしく好感の持てるもので、“友人の何人かが子供先生をお気に入りのマスコットのように扱っている”ことから、その第一印象は上々だと言えるだろう。
 男性を苦手としている親友さえ、この新任教師を『かわいいねー』などと称し興味を示した程である。
 とりあえずは、万人に認められる愛らしさをもった子供だと認めても良いかもしれない。
 しかし、夕映はある理由から皆が皆口を揃えて言うように、手放しにその存在を「可愛い」と受け止めることができなかった。
 少女が額面通りにネギの人柄を受け止められない理由。
 それは、一昨日から昨日の朝にかけて夕映が経験した一連の出来事に他ならない。
 
(ネギ先生と、あの夜の男の子……ものすごく似ているです。でも)

 ネギ・スプリングフィールドと夜の少年。
 暗がりではあったがあの時、夕映は月明かりの下で少年の容姿をしっかりと捉えた。
 燃えるような紅い髪に自分よりも小柄な身体、そして何よりも背にあった杖(二日前のものと違い、ネギの杖?は何か布のようなものが巻き付けてあるが)のようなものは、忘れようとしてもそう簡単に忘れられるような特徴ではない。
 いくら外国人とはいっても、これほど印象に残る容姿の子を見間違えるだろうか。
 答えは否だ。
 似ている、いないの話ではなく『ネギ=あの少年』という図式が夕映の中で確信に近いものとなっていた。
 あくまで近いものであり、まだ完全なる確信とまでにはいかないものだったが。 
 確信するのを妨げている一番の要因は、性格の相違。

(性格があまりにも違いすぎます。いくらなんでも、これほどまでに違うものでしょうか?)
 
 夜の少年とネギとでは、明らかに性格が違う。
 違うどころか180°正反対だ。
 大人なら取り繕っていることも考えられたのだが、相手はまだ十才の子供。
 器用に猫を被るなどという芸当はできないだろう。
 片や礼儀正しい紳士的な少年、片や人を食ったような飄々とした態度の年甲斐の無い少年。
 似ているとはいえ、同一人物かというとそれはまた微妙かもしれない。

(そうなると、後は史伽さん達のような双子の線? 可能性としては一番ありそうですが……ううっ、わからないです)

 クラスメートである鳴滝姉妹の元気な様子を思い浮かべる。
 あの二人も顔はソックリだが、性格はかなり違う。
 いずれにしても、ネギとあの少年が無関係とは思えない。
 どうにかして夜の少年を捜し、おそらく夜の少年の兄か何かであろう大人っぽい少年に繋ぎをつける。
 それが夕映の目的だった。
 先だっては、思い切ってネギに聞いてみるしかないだろう。
 あるいは遠回しに探りを入れるか――。
 そんな事を悶々と考えていた夕映の目に、本を山のように持った一人の少女の姿が映った。

(……のどか?)

 出席番号24番、宮崎のどか。
 夕映にとって一番の親友ともいえる存在である。 
 そういえば今朝、調べもの用の資料を借りるようなことを言っていた気がする。
 几帳面なのどかのことだ。
 大方、新任先生の歓迎会が始まる前に私用を済ませるつもりなのだろう。
 買い出し組ではない親友がこんな場所にいる理由はそんなところに違いない。
 山のような本を手に持ち進む少女の足取りは、ヨロヨロと頼りなさげだ。

(我が親友ながら、危なっかしいですね。まったく)

 図書館探検部に所属していることもあり、夕映と同じくのどかもまた見た目以上に体力がある。
 あるはずなのだが反面、バランス感覚が伴っていないので、辞典クラスの本を多量に持つのはかなり無謀だ。
 噴水広場の階段を降りようとするその様子は、見るからに危なっかしい。
 おまけにまるで間違いでも起こってくれとでも言わんばかりに、手すりのない階段の端近くを律儀に左側通行。
 実に危険である。
 
(大体にしてなんでわざわざ手すりのない端側を通るですか? 几帳面にもほどがあるです)

 ふぅ、とため息をつき、自殺行為にも等しい行動をとっている親友を注意するべく、夕映は重い腰を上げた。
 思考するべきことはおおよそ済んだので、のどかの荷物持ちでもしてそのまま教室の歓迎会に直行しよう。
 
 だが。

 夕映のその決定は些か遅かったらしい。
 親友を取り巻いていた日常の綻びは、確かな現実を持って対象に必然という名の牙を剥いた。

「あっ……!」

 夕映のいる位置から空間約三十メートルを挟んで、のどかが見るからにバランスを崩した。
 親友の発した小さな悲鳴が届き、夕映の耳を打つ。
 瞬いた次の瞬間、瞳に飛び込んできたのは、降りていた階段を外れて空中に投げ出されたのどかの姿だった。
 一体どうなったのか、などと考えるまでもなく、危惧していたことが起こるべくして起こったことを認識した。
 万有引力の法則に則って、のどかの体は一秒もしないうちに広場の石畳へ叩き付けられるだろう。
 落下点は階段上部のほぼ天辺付近、下までは四、五メートルの高さがある。
 軽傷で終わるはずがない。
 のどかと一緒に舞い上がった本も、直撃すれば痛いでは済むまい。
 複雑骨折、全身打撲、頭蓋骨陥没、脳挫傷、脊髄損傷……最悪の場合、首の骨を折ってそのままという、しなくてもいい最悪の可能性まで連想する。

「のどか!?」

 しかし、無力さに打ちのめされながら親友の名前を叫びかけた夕映は、この次に起こった出来事を目の当たりにし、出しかけた言葉を呑み込むこととなった――。
 








 人間、誰にも行動原理、いや行動理念ともいうべきものがある。
 咄嗟の二択を迫られた際、決定へと至る前に考慮されるのは偏にこの事項が大きい。
 何かの準備のために教室を追い出され広場の噴水前でくつろいでいたネギの前で、のどかがいきなり階段から落下した時も、この後の行動を左右したのは結局ネギ自身の行動理念だった。

(あれは、確か宮崎のどか! 正式な第一接触でいきなりピンチかよっ!)

 のどかに対するネギの印象は“内気そーな女の子”。
 根暗とまではいかないが、クラスで“本屋” とあだ名されていたことから、引っ込み思案なタイプと感じたのだ。
 表情を隠す長い前髪もまた、のどかの内気っぽさを際だたせている要因といえるだろう。
 だが、しかし。
 素顔を隠すこの前髪がネギのセンサーに反応した。
 そう、少女のその前髪こそ宝箱の鍵。
 前髪の先には“宝=カワイイ表情”が隠れているのではと深読みしたのである。
 得てしてこういう時の勘はずば抜けているので、少女がカワイイのはほぼ間違いないのだが、残念ながらネギにとってのどかはまだまだお子様、守備範囲ではない。
 せいぜい将来に期待といったところだ。
 
(そして、そのオイシイ将来……もとい、可愛い生徒のピンチを見捨てるおれじゃないってことだ!)

 てんこ盛りの本を持って、見事なまでにバランスを崩すのどか。
 内気少女にプラスでドジっ娘属性を疑っても良いかもしれない。
 もっともネギにとっては、この宮崎のどかという少女の直前までの行動から、こうなることはある意味、予想の範疇だった。
 一瞬の思考で練った、のどか救出の幾つかの方法を吟味。
 少女の落下点にクッションとなるエアスポットを作り出す風属性の魔法を使用するのが、一番無難な線だろうか。
 ネギから落下点までの距離は二十メートル弱。
 風で緩衝しておけば、普通に走っても少女の身体を十分キャッチ可能である。
 あくまでオーソドックスにいけば。
 今回の場合、一番問題なのはネギのひねた方向性だ。

(無難すぎてつまらねーぞ、そりゃ。落下に際して風で緩衝するなんざ、教本通りすぎるしな。どうせ助けるならインパクト最大限、カッコ良く、かつ紳士的にやってやるぜ!)

 まったくの自己満足。
 敢えて難易度の高い方法を選択するべく周囲を素早く視認し、少なくとも半径ニ十メートル以内には誰もいないことを確認する。
 幾らでも誤魔化しがきくので見られたからといってそれほど困るものでもないのだが、それでも目撃者は少ない方がいい。
 インパクト最大限が信条の行動にしては矛盾しているといえるかもしれないが、結局は自己満足の世界なので省略。
 それにインパクトを与える相手は、何も周囲の人間だけではない。
 助ける対象者、つまりのどかへの好感触に繋がる可能性もあるのだから。
 バレてはいけない魔法使いと一般生徒の秘密の関係なども物語には付物。
 もっとも本人は襲い掛かる突然の出来事のため、気づくこともないだろうが……。
 背中の杖へ自然にのばし掛けた手を正面に構え、意思を研ぎ澄ませる。
 わざわざ巻き付けた布を解いて父の形見の杖を使うまでもない。
 発動体は左腕のリング。
 魔銀製ミスリルのこの腕輪は、ネギが用いる魔法発動媒体のうちの一つだ。
 魔法使い同士の戦いでは、武装解除魔法等によって発動媒体を奪われたり破壊されたりことがあるため、中級以上の魔法使いならば杖のような主要発動体の他に、予備の魔法発動体を持つのが通例である。
 魔法の杖と違い両腕を塞ぐことなく使用できるので、特に近接戦闘を得意とするネギは重宝し、予備としてもう一つ同じものを所有していたりする。
 一瞬で練り上げられる術構成。
 攻撃魔法としては初歩、魔韻を含む言葉はいらない。 
 呪文の詠唱を行なわず奇蹟を実界へ具現化させる無詠唱呪文という技術を事も無げに扱い、術式完成と同時にネギの周囲に、九つの光の球が浮かび上がった。

 魔法の射手サギタ・マギカ 連弾セリエス 光の九矢ルーキス!!  

 解き放つは魔法の射手。
 攻性系としては難易度の低い部類に入るが、非常に扱いやすい上に属性ごとに異なった性質を持ち、誘導性を持たせる等、その側面では様々な場面で応用が利く攻撃魔法である。
 今回用いたのは光属性で、ネギが無詠唱で即座に作り出せる光の矢は実際には五つが限界だ。
 ただし、ものを弾く程度の威力の伴わない矢ならば、九つまで作り出すことが可能だった。
 
「きゃあああああ!!」

 のどかの悲鳴と同時、宙を舞う分厚い数々の本を攻撃対象に、落下点に影響を及ぼす九冊の辞典類へ誘導性をもった光の矢が集束していく。
 光の精が舞い踊り、本来破壊性をもった矢が乱舞する様は端から見れば幻想的光景である。
 矢は寸分違わず全て命中し、本が弾かれたことによって落下ポイントをずらすことに成功した。
 当然ながら、これで終わりではない。
 光の連弾によって邪魔な障害物(本)を排除後、即行動開始。
 魔力を推進剤のように使用し、一瞬の爆発的な加速を行なう特殊歩法“瞬動術”を二度行ない、落下点でのどかの身体を見事受け止める。
 この現場を見ていた者がいたとしたら、ネギの姿がのどかを受け止める体勢でいきなり現れたように見えたことだろう。
 これら一連の行動は、まさに一瞬の出来事だった。
 年上ネギの状態ならば一度の瞬動で十分なのだが、子供状態との差は仕方がない。
 
「……う、ん」

 ネギの腕の中で小さく呻くのどか。
 落下のショックで軽い意識混濁を起こしたらしい。

(せっかくだからな。好感度はばっちり上げさせてもらうぜ)

 お姫さま抱っこで優しく丁重にしつつ、あくまで紳士的に会心の笑みを作りながらネギは白々しく口を開き、
 
「ふぅ、間一髪でしたね。お怪我はありませんか? 宮崎さ、ん……」

 視界の片隅にあり得ない人の姿を認め……硬直した。

「……」

「……」

 がっちりと、まるで引き寄せられているように視線と視線が交錯している。
 俗に言う見つめ合っているというやつだ。
 男と女がそうなっている時点で浮いた話などを連想できそうなものだが、残念ながら甘い雰囲気は期待できそうにない。
 ネギは可愛い女の子相手ならば多少の年齢は気になるにしろ、ある程度は許容することができる。
 だが、今回は相手が相手だけにそれも難しそうだった。
 
(あ、あ、アヤセユエぇえっ!? やば、よりにもよってこの女かよ!)

 受け持った2−Aにおいて、私的要注意生徒トップスリーの頂点に君臨する少女。
 あの綾瀬夕映が驚き顔でネギとのどかの二人を、いやネギ一人を凝視していた。

(ちいっ、どうすりゃいい? こいつのこの目、おれを疑ってやがる……いや、半信半疑ってとこか?)

 落下した友人を見事にキャッチしたことに驚いている、そう思いたいのは希望的観測というやつだ。
 のどか救出の一部始終を、間違いなく見られた。
 いつもなら無意識でも一般人の気配ぐらいはそれなりの範囲で読めるように備えているのだが、修業初日ということで、激甘なこの環境に気が抜けていたことは否めまい。 

「……」

「……」

「……」

「……」

 一秒、二秒、三秒。
 互いに無言のまま、無為な時間が過ぎていく。
 ピンと張り詰めた緊張の糸は、小さなきっかけでもあれば今にも切れそうな雰囲気だ。
 そして、止まっていた刻は自ずと動き出すものである。
 
「あ……」

「!」

「!?」

 沈黙を破ったのはネギでも夕映でもなく、腕の中の少女だった。
 微妙な場の空気が弛緩する刹那の時をネギが見逃すはずがない。

(好機っ!! 思い立ったが吉日ってな!)

 動き出した時間と時間の間隙を突いて、即座に行動を開始。

「あの、ネギせ――え?」

 夕映もネギ同様に間を伺っていたらしく口を開きかけていたが、そんなことはまったくもって些細なことだ。
 のどかを石畳に下ろし、一瞬の後に小柄な少女の細腕をムンズと掴むと、その手を引き脱兎の如く噴水左手の林へと飛び込む。

「ひ、ひゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??」

 凄まじいスピードによってドラップラー効果の如く、夕映のちょっとばかりマヌケな悲鳴が追ってくるが気にも留めない。
 杖で滑空して離脱などという悠長なことなどしない。
 次々に瞬動術を重ねての移動だ。
 これ以上、余計な目撃者は出せないがための特殊歩法による移動によって、周りの生徒はネギ達の姿を知覚することすらできないはずである。
 
(成り行き任せで拉致ったが、まぁ所詮は子供だ。テキトーに誤魔化して煙に巻くのは余裕だぜ)

 厄介と言っても夕映は中学生、何とでもなる……当のネギは安易にそんなことを考えていたのだが、彼は知らなかった。
 怪しげな行動の後にとった怪しげな方法で、更に自分への疑惑が深まってしまった事に。

 この後。
 結局、夕映への説得は歓迎会前には終わらず、修業初日の夜へと持ち越される事になる――。
 






























続く













 あとがき

 ここまでお読み頂きありがとうございます(読んでなかったらすいません)、自称SS書きの三剣です。
 今回は第二話目ということで、2−Aに赴任したネギのドタバタと夕映との絡み(は次回)というか、再会をメインに書きました。
 名前だけ出た明日菜や木乃香の出番がありませんでしたが、次回は彼女達も本格登場します。
 学園一日目は次回終了予定、どうぞお楽しみに。
 
 それでは、また気長に次の機会にて。

 追伸・あと、感想を頂いた方への送れなかった返信を一部イニシャルで場を借りて失礼します。
>Bさん
 ネギの子供・大人変身は原作の幻術飴玉とはかなり異なる手段です。詳しくはおいおい語られることになるでしょうね(謎)
>Rさん
 ネギの毒牙?にかかるのはさすがにクラス全員とはいきませんが、複数のヒロインとのニヤリなイベントはふんだんに盛り込んでいきますよ〜
>Lさん
 夕映メインヒロインの長編はなかなかありませんよね。かくいう私は「無いなら自分で」という方向で創作しています(笑)原作がどう動いてもおそらく組んだプロットが大きく崩れることは無いと思うので、今後夕映がメインヒロインとしてどう動いていくのか、見守っていてください。

 Ver.100

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