韓国の電子政府システム、日本に「逆輸出」へ

今月中に了解覚書を締結

 100年前の韓日併合により、日本の行政組織や法令を強制的に導入させられた韓国が、今度は「韓国型電子政府」を日本へ輸出する。行政組織という「ハードウエア」を輸入した国が、インターネットを基盤として政府を運営する「ソフトウエア」を逆輸出するというわけだ。

 政府の消息筋は8日、「韓日両国政府が今月下旬、“電子政府分野の協力および技術交流に関するMOU(了解覚書)を締結する意向だ」と語った。韓国のIT(情報技術)企業が2004年以降、佐賀県をはじめとする日本の一部の地方自治体に対し、韓国の電子政府システムを輸出したり、韓日両国の地方自治体が電子政府に関するMOUを締結したりしてきたが、両国の中央政府が電子政府に関するMOUを締結するのは、今回が初めてだ。なお、MOUを締結するため、日本の原口一博総務相が今月下旬に来韓する予定だという。原口総務相は、地域主権の推進に関する内閣府特命担当大臣を兼任している。

 韓国政府の関係者は、「MOUには、電子政府システムの管理や技術交流、韓日両国間での技術移転や人材交流といった内容が盛り込まれる見通しだ。日本はIT技術に関しては世界でトップレベルの国だが、電子政府システムの構築や管理に関しては、中央政府と地方自治体による二重投資や非効率性などの問題が少なくなく、こうした問題を解決した韓国型の電子政府システムに関心を見せてきた。MOUが締結されれば、韓国のシステムやIT関連の人材の日本進出が活発化するだろう」と語った。

 日本は、中央政府と地方自治体の行政システムの統合を図る上で、韓国の技術移転を望んでいるという。日本が韓国の電子政府システムに関心を見せたのは、技術的に優れていることもあるが、韓国の行政組織や運用方式が日本と似通っているという理由もある。韓国政府の関係者は、「かつて、韓国が日本の影響を受け、住民や土地の管理といった行政システムを構築してきたため、逆説的に考えて、韓国型の電子政府システムを日本に適用することが可能だといえる」と話す。

 今月3日に来韓し、ソウル市のある区役所の電子政府システムを視察した、日本の内藤正光総務副大臣は、「日本の電子政府の競争力を強化するための対策を検討している最中だが、そのために韓国と協力できることを望んでいる」と述べた。なお、今年1月に国連が発表した、各国の電子政府に関する評価では、調査対象の192カ国のうち、韓国は1位となった一方、日本は10位以下に甘んじている。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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