|
ヤグディン、フィギュア史上最高の金<フィギュアスケート男子シングル>潤む目に氷へのキスが、最高の芸術品を締めくくった。ヤグディンは、粉雪のように舞い、白鳥のように羽ばたき「氷上の芸術」をつくり上げた。ショートプログラム(SP)1位に続き、自由でも1位となり、完ぺきな演技で、念願の五輪初優勝を飾った。 映画「仮面の男」の音楽に乗り、4分間があっという間に過ぎた。「何が起きたかよく覚えていないよ。最高の夢の中にいるようだ」。演技が終了した瞬間、金メダルを確信したかのように両手で顔を覆い、氷上にひざまずくと口づけを交わした。 4−3−2回転のコンビネーションジャンプで、ヤグディンの「芸術」が幕を開けた。流れるようなスケーティングに、力強いジャンプ。どれを取っても、ほかの選手が付け入るスキさえなかった。さらに4回転ジャンプを完ぺきにこなし、3回転ジャンプも軽々と成功させた。 演技点で4人の審判員が6点満点。すでに流れる涙を、ヤグディンは抑えきれない。技術点も、すべて5・9と高得点が並んだ。「この4年間は、本当に苦しいことが多かった」。冷静な芸術家の喜びが爆発した。 長野五輪では、体調を崩し、点滴を受けながら5位に入賞した。98年から世界選手権に3連覇を果たしたが、昨年は後輩プルシェンコにタイトルを奪われた。欧州選手権でもプルシェンコに金を許し「もう2度と、うまく滑れないと思った時もある」と、昨季の不調を振り返った。 プルシェンコと同じコーチに師事していたが、プルシェンコに対するひいきに反発した。新しく有名なタラソワ・コーチとともに練習し始めてから、見事にスランプから立ち直った。「ただのジャンパーだった僕を、コーチのタラソワが芸術家に変えてくれた」。「金」という最高の輝きで、ヤグディンの芸術は完結した。 ◆アレクセイ・ヤグディン 1980年3月18日、ロシア・サンクトペテルブルク生まれ。4歳からスケートを始め、初出場した97年世界選手権3位。長野五輪は5位だったが、98年世界選手権で史上2番目の若さで優勝した。正確なジャンプを武器に00年まで3連覇。98年夏からは米国に拠点を移して芸術性も高めた。175センチ、63キロ。 |
・五輪情報満載!日刊スポーツ購読のお申し込みは、インターネットからどうぞ! >>
・五輪情報は、携帯電話『朝日・日刊スポーツ』(月額100円)でも速報中! >> | |
|