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【ドラニュース】


ブー足、やっぱり速かった

2010年3月8日 紙面から

8回表1死二塁、荒木の右飛でタッチアップし、三塁に滑る中田亮(谷沢昇司撮影)=京セラドーム大阪で

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 異色のルーキーがまたアピールした。ブーちゃんこと、中日の中田亮二内野手(22)=亜大。7日のオリックス戦(京セラドーム大阪)に代打で出場し、抑えの加藤からレフトへしぶとく二塁打。118キロの巨体はダイヤモンドを軽快に駆け回り、スタンドの視線をくぎ付けに。今後はウエスタンの教育リーグで実戦経験を積むことになりそうだが、このセンスがあれば開幕1軍も夢ではない。

 敵も味方も関係ない。ブーちゃんの走りにドーム全体がわきたった。8回、荒木の右飛が浜中のグラブに収まった瞬間、二塁ベース上の中田亮は一目散にスタートを切った。巨体に似合わぬさっそうとした足の運びでスピードに乗ると、鋭いスライディングで悠々と三塁を陥れた。

 一見重そうな体と、実は軽快なランニング。この鮮やかなコントラストに、観客は大喝采(かっさい)。地元・大阪で中田亮が野球ファンのハートをがっちりつかんだ。

 「走れる118キロ」。試合前の練習でも看板通りの動きを実証していた。主に若手が参加した20メートル走のタイム測定で、中田亮は2秒8台を連発した。瞬発力では岩崎達、谷ら俊足の選手と大差ないレベルといえる。

 新人離れしたバットコントロールも健在。8回1死で代打に立つと、通算87セーブを誇るオリックス・加藤との初対決で技を見せつけた。カウント2−2から2球ファウルで粘ると、最後は「どんなタマにも食らいつこうと思った」と、バットを投げ出すようにして低めのフォークをチョコンととらえた。

 フラフラ上がった打球は「落ちろ」という執念に操られるようにレフト前へポトリ。スライディングキャッチを試みたT−岡田が後逸する間に一気に二塁を陥れた。今のブーちゃんには、「運」さえも味方につける勢いがある。「一打席一打席、結果を残していかないといけないですから」と丸い顔をほころばせる。

 大学屈指のヒットメーカーの名にふさわしい実力を見せ始めた中田亮。試合前には意外な才能も披露した。落合監督は、キャッチボールをしている中田亮を見つけると、何やら指示を送る。すると右手のボールを利き腕ではない左手に持ち替え、事もなげに投げてみせた。

 「昔からなぜか左でも投げられるんです。さすがに左投げで守ったことはありませんけど」。どうやら中田亮の特技を聞き付けた指揮官が、興味半分で左投げを指示したらしい。左でもぎこちないそぶりはなく、相手の平田の胸へストライク送球をしていた。

 両腕で投げられるほどの器用さがあり、それに基づいた巧打と、スピードもある。まずは中田亮は潜在能力のアピールに成功した。

 これからは主力がオープン戦に登場してくる時期。このため出場機会が多くなるウエスタンの教育リーグ行きを試合後に命じられたもよう。ここでしっかり経験を積み、入団時に語った「開幕1軍」を目指す。 (木村尚公)

 

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