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【芸能・社会】アグネス32年ぶり武道館コンサート2010年3月8日 紙面から 日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャン(54)が、事実上の内戦状態が続くソマリア視察からこのほど帰国。子供たちの窮状を目の当たりにし、根強く残るFGM(女性性器切除)という独特の習慣に衝撃を受け、根絶に向けて活動をスタートさせたことを明かした。16日に、32年ぶりに開く東京・日本武道館公演で、視察報告と今回の体験を踏まえた新曲で世界の平和を訴える。 ソマリアへ向かったのは、2月15日。23日に帰国するまで北部のハルゲイサに6日間滞在して市内各所を見学したり、暫定政府関係者、女性リーダーらに面会した。 帰国後の報告会見で、これまで見てきた難民キャンプとの違いをたずねられたアグネスは、「最低限のサービスがない」と訴えた。厳しい環境の中でも、公的機関のオフィスがあり、名前や家族構成などが登録されアイデンティティーが保たれるが、ソマリアでは「スラムと同じ」だった。 視察の際、同行したジャーナリストのグループが、石を投げつけられたこともあったという。「若者に『何をしてるの』と聞いても、ナッシング。仕事もなければ希望も目標もない。どこに訴えればいいのか分からないいらだちがあふれてるんです」 女性として衝撃を受けたのは、FGMの現状だ。アフリカで古くからの風習として行われてきたが、非衛生的かつ暴力的に“施術”されるため、女性はショック死したり、妊娠・出産時に命の危険にさらされることが多くなる。感染症の原因にもなるほか、生涯にわたって心身に影響が残る。世界中から非難の声が上がっているが、一向になくならない。ある日突然、少女が襲われるような形で“処置”される様子は、「まるでホラー映画」と表現。 「自分を守れない子どもに無理やりやることはない」と怒りをこめ、アグネスは根絶に向けた動きを明かした。宗教学者に教典を精査してもらい、女性の性器切除を正当化するような記述はないことを確認、指導的立場の人たちを根気よく説得していく、女性リーダーを育て村ごとに根絶宣言を進めるなどだ。 16日のコンサートでは、視察の様子をファンに報告する。「ソマリアというと海賊とか危険というイメージしかないと思う。戦争は終わらないし、希望が見えない。だったら私たちが希望になってあげましょう」。新曲を書き下ろして、平和へのメッセージを全員で歌い上げたいという。 32年前は、カナダ留学から戻ってのコンサートで、「おかえりー、という大きなコールは覚えてるけど、また武道館でやれるとは思ってなかった」。アイドル時代にバックを務め、昨年出した「あなたの忘れ物」で35年ぶりにコラボした鈴木慶一とムーンライダースも出演して盛り上げる。
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