大阪府の橋下徹知事
府私学・大学課によると、09年度の府内の私立高校の生徒数を10年前と比べると、全94校のうち15校で生徒数が半減している。ある女子高校の校長は「女子校の多くは満足に生徒を集められていない。危機感をもって経費を削減し、進学実績を伸ばすなどして競争に打ち勝つしかない」と話す。
公私の高校のあり方を変えることは、橋下知事の宿願だった。大阪府では1980年代以降、府教育委員会と私立高校側が協議し、公立と私立の入学者の比率をほぼ7対3に決めてきた。橋下知事は就任1年目の08年、この取り決めを「カルテルのようなもの」と批判し、生徒が公立でも私立でも行きたい高校を自由に選べるようにするべきだと主張してきた。
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橋下知事は、人気のない公立高校の「撤退ルール」を策定する意向も示している。2月、報道各社とのインタビューで「募集定員の何割を下回れば公立は撤退、と決めておかねばならない。良い学校が残ればよい」と述べた。
大阪府公立中学校長会が5日に発表した今春卒業予定の中学3年の進路希望調査結果によると、定員割れした公立高校が前年同期より13校多い21校に達した。中西正人・府教育長は14年度までは少子化がいったん底を打ち、高校の入学者数の増加が見込まれるとして、「(深刻な定員割れなどの)問題が顕在化してくるのはそれ以降」との見方を示している。
その一方で、橋下知事は10年度当初予算案に、公立高校同士に競争を促す制度を盛り込んだ。
有名大学への進学実績で府内トップ級とされる北野、大手前など府立10校を「進学指導特色校」に指定。手厚く支援するため、各校をオンラインで結ぶ進路支援システムの構築などに1億637万円を計上した。
橋下知事は「頑張る学校は新たに特色校の指定に挑戦でき、そうでない学校は指定から外れる。そのような競争のシステムが必要だ」と強調し、特色校を入れ替え制にするよう府教委に求めている。