普天間移設先として津堅島までの公有水面を埋め立てる案が浮上したホワイトビーチ=うるま市勝連(2009年11月6日撮影)
米軍普天間飛行場移設問題で政府は現行計画の断念を決めた。名護市長選で反対派の稲嶺進氏が当選し、移設の基本となる地元合意が崩れたためだ。一方、打開策として急浮上したのがキャンプ・シュワブ陸上案と津堅沖合案。いずれも過去に候補地に挙がったが、環境破壊などの面から却下された経緯がある。政府内で検討されているのは、結局「県内移設」が前提となっており、政権交代に期待をかけた県民の反発は避けられない。
4日、仲井真弘多知事は政府が現行計画を断念したことに「地元の市長さんが反対しており(もはや)不可能に近い」と客観情勢から当然視した。
稲嶺恵一知事時代の1999年。県は移設先として検討していた7つの候補地の比較表を公表した。そこに含まれていたのは「辺野古沿岸域」「辺野古陸上」「津堅島東沿岸域」「与勝沖」。
選定資料によると、津堅を却下した理由は(1)新たな基地の提供になる(2)埋め立てに膨大な経費と時間がかかる(3)環境への影響が大きい―など。辺野古陸上も、広範囲な森林伐採を伴うことなどから排除した。検討の末、県は最終的に「名護市沿岸域」に決定した。
今回、陸上、津堅沖合の両案が浮上したことに、仲井真知事は「小さいエリアではどこをとっても難しい」と実現可能性を否定。次から次へと案がわき出ることには「普天間の危険性除去はどうなるのか。道筋も何も聞いていない」と怒りをあらわにした。県幹部も「全部過去に挙がった案だ」と、政府の怠慢を批判した。(与那嶺路代)
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