2010.2.24 05:00
米国でトヨタ自動車の大規模リコール(回収・無償修理)問題をめぐる一連の議会公聴会が23日(日本時間24日未明)に始まり、トヨタたたきの動きが本格化するなか、米政府や議会の姿勢に疑問を呈する声が上がっている。保守系メディアを中心に、トヨタの責任を厳しく追及する強硬姿勢の背景には、メーカー間の利害対立や選挙対策など、安全問題とは無関係の政治的思惑が働いているとの主張が出ており、リコール問題への関心の高まりとともに、議論は白熱しそうだ。
◆「ギャングまがい」
首都ワシントンで読まれている無料の保守系日刊紙ワシントン・イグザミナーの社説は「ギャングまがいの米政府が、トヨタに狙いをつけている」との衝撃的な見出しを掲げた。また保守系のオピニオン・リーダーとして知られるラッシュ・リンボー氏も自身のラジオ番組で「ラフード米運輸長官はゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーのブランドマネジャーのよう。トヨタたたきに躍起になっている」と訴えた。
これらの批判の根拠は、米政府がトヨタと競合するGM、クライスラーの株主であるという事実にある。トヨタの工場を抱えるインディアナ州のダニエルズ知事(共和党)は「望ましい状況とはいえない。政府が関係の深いメーカーのライバルを狙い撃ちにしているとの印象を強く抱かせる」と指摘した。
これに対し規制当局では、米政府とGM、クライスラーとの関係がリコール問題の調査に影響を及ぼすことはないと反論している。運輸省の広報担当者は「重要なのはあくまで自動車の安全性。あらゆる決定は、メーカーに関係なく、得られたデータを基に下される」と説明。調査が利益相反を引き起こす可能性を否定した。同氏は、運輸省が行った44件の公開調査のうち、39件がトヨタ以外のメーカーに対するものだったことにも言及し、当局の中立性を強調している。