普天間基地移設問題

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政府はキャンプ・シュワブ陸上部への移設を検討していると報道。首相は3月中の絞り込みを表明。[関連情報]

ヘッドライン

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参議院選挙対策本部の看板を掛ける鳩山由紀夫首相(左)と小沢一郎・民主党幹事長(8日午後、東京・永田町の同党本部)(時事通信社)

普天間の県内移設に否定的=小沢氏が与党幹部に伝える

 民主党の小沢一郎幹事長が1日に与党幹部と会談した際、政府が検討している米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ陸上部(同県名護市)など県内への移設案について「(政権の)イメージダウンになる。(県内移設が決まれば参院選は)選挙にならない」と否定的な考えを示していたことが8日分かった。政府の選定作業に影響を与える可能性がある。(時事通信)

小沢幹事長、普天間陸上案に「怒り」 - 日刊スポーツ(3月8日)

◇参院選に関する小沢氏の発言や動き
小沢氏、内閣・民主支持率低下でも「参院選とは別次元」 - 産経新聞(3月8日)
参院選対策本部の看板掛け=小沢氏「月内に全候補決定」−鳩山首相 - 時事通信(3月8日)
2010年参議院選挙 - Yahoo!トピックス

■8日の普天間移設問題に関する動き
◇午前には名護市議会がシュワブ陸上案に反対決議
名護市議会、シュワブ陸上案に反対決議=普天間、官房長官は地元理解求める - 時事通信(3月8日)
・ [動画ニュース]陸上案反対、全会一致で可決〜名護市議会 - 日本テレビ(3月8日)
▽決議を受けての政府の反応
名護市の反対決議で官房長官「決議超えお願いも」 - 産経新聞(3月8日)
沖縄の理解なしに決めぬ=普天間移設先−鳩山首相 - 時事通信(3月8日)

◇夕方に沖縄基地問題検討委員会
普天間移設 社民、国民新が候補地提案 月内に政府案策定 - 毎日新聞(3月8日)
・ [動画ニュース]普天間基地移設問題 政府・与党検討委で社民党と国民新党が移設案をそれぞれ提示 - フジテレビ(3月8日)
▽委員会のメンバー
沖縄基地問題検討委員会の設置について - 首相官邸「官房長官記者会見」(2009年12月28日)

◇普天間移設問題の現状
普天間、難点だらけ乱立移設案…県内も国外も - [図解]普天間移設をめぐる各移設案の長所と短所。読売新聞(3月5日)
普天間基地移転先を巡る議論 - 関連情報エリア

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普天間基地移転先を巡る議論

普天間基地移設の見直しで代替案が続出している。
提案者内容
現行計画沖縄県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に2本の滑走路を建設(自公政権で決定)
国民新党案沖縄県の嘉手納基地に統合。または名越市のキャンプ・シュワブ陸上部への移設。
国民新党の移設案要旨。「県外移設」にはこだわらない
社民党案アメリカ領グアム、サイパン、北マリアナ諸島テニアン、九州など。
社民党の移設案要旨。「県外移設」を譲らない構え
沖縄世論1月24日、名護市長選挙で移設受け入れに反対する候補が当選。
2月24日、沖縄県議会本会議で県内移設に反対、国外・県外移設を求める意見書を全会一致で可決
時事通信|All About 「普天間基地移設の見直しで代替案が続々

キャンプ・シュワブ沿岸部以外の移設候補

場所提案者現地や関係者の反応など過去の日米協議の有無
サイパン、テニアンなどテニアン市長/社民党北マリアナ副知事、テニアン島の軍用地内への移設、米との協議の必要性なし/防衛相が反対、官房長官が困惑無し
有りの場合=「米の検討対象外」
グアム(アンダーセン空軍基地統合など)社民党グアム知事が難色無し
九州など沖縄県外民主党/社民党(空地一体)基地勘弁が本土の本音大半の案に有り
ホワイトビーチ沖津堅島間埋め立て案(公有水面)官房長官/防衛相ルース氏が強い難色/沖縄県知事が県内拒否の姿勢「無理筋」有り
(1999年に最初に提案)
米軍嘉手納基地に統合外相/国民新党外相案以来、嘉手納町と米が反対/米海兵隊総司令官が一体的に配備・移転されるべき/下地氏は米軍紙に対して「嘉手納案やシュワブ案を変えるつもりはない」と返答有り
キャンプ・シュワブ陸上部(普天間の継続使用が前提官房長官→防衛相→国民新党米が赤土流出など指摘(珊瑚の死滅など)/元米国防副次官が「以前から地元住民に受け入れられる余地はない」/沖縄県知事と名護市、重ねて反対有り
普天間飛行場暫定存続官房長官米が困難視「訓練環境が不十分」/宜野湾市 国提訴の可能性検討へ/沖縄県議会が早期返還と「県外・国外」意見書可決有り
読売新聞「社民・国民新の移設案提示先送り…調整つかず

移設と在沖海兵隊の抑止力についての主張

主張者主旨主張
キャンベル米国防次官補代理(現国務次官補)県外不可能は日本政府の不作為日本政府が沖縄以外に海兵隊の移設先提供が不可能なのであって、海兵隊にとって沖縄の戦略的位置は問題ではない。検討は、日本側が移駐先候補地を極めて具体的な形で米側に示してからでないと、とてもできない。(1998年「普天間非公式協議」)関連
ローレス元米国防副次官シュワブ沿岸案以外の県内案は在日米軍撤退につながるシュワブ沿岸案以外、今のところ、オスプレイ運用可能な移設案はない。普天間存続では、長続きせずに撤退に追い込まれる。空母打撃部隊を、我々が日本防衛のために必要だと考える軍事力(海兵隊)を不要だと宣言する国に置いておくと考えるのは間違いだ。
長島防衛政務次官県外移設は抑止力に致命的沖縄に海兵隊が存続することが日本の安全保障の根幹にかかわる。沖縄駐留以外の選択肢はない。
コンウェイ海兵隊総司令官テロとの戦いが重要、海兵隊は一体として移転配備すべき航空部隊が地上部隊、後方支援部隊の兵站部門などと距離的に分離された場合、効果的な訓練実施が不可能になり、アフガニスタンにおけるテロとの戦いにおけるリスクが高まり、テロに対する抑止力が低下することを重要視すべきだ。(分散案は、嘉手納統合「騒音低減」案、シュワブ陸上案)。
沖縄県民・メディア抑止力となりえない在沖海兵隊だけでは1個旅団にも満たない。有事には海兵隊だけでも最低で5個旅団が必要で、米西海岸とハワイの部隊も総動員しなければならない。本土で受け入れないことを抑止論で言い繕うのはやめるべき。
宜野湾市沖縄駐留は抑止の要件ではない海兵遠征部隊が沖縄に駐留していないと台湾や韓国に1日で展開できないので抑止力の致命傷になるというのは、素人の国民をだます真っ赤な嘘。2006年の普天間飛行場ヘリ部隊の海外派遣資料によると、1月から5月の5ヶ月で約3ケ月は、グアム、フィリピン、韓国、タイの海外演習・訓練に出ていた。さらに、9月下旬から11月下旬まで米比合同訓練のためエセックスに載ってフィリピンに出ていた。米側に移設先の利用目的などを確認してから移設先を検討するべき。

普天間飛行場の移設とは

普天間飛行場(宜野湾市)は、米自らが「世界で一番危険な基地」と評価し、1996(平成8)年に日米両政府が5〜7年以内の全面返還で合意したが実現しなかった。2006年の日米合意と2009年のグアム移転協定(PDFファイル)で、普天間飛行場のフライト機能以外の、戦略的抑止力である海兵隊員(海兵遠征隊など「機動展開部隊」)のグアム移転と、フライト機能のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設を合意したが、鳩山内閣は、フライト機能の県外や国外移設を検討しており(関連事項)、普天間飛行場のキャンプシュワブ沿岸移設を海兵隊グアム移転の条件と定めている、同協定改定の了解を米側から得る考えを示している。同協定では、グアムの海兵隊は日本の安全保障を支援し続け、状況に応じて日本に駐留するなど、将来も抑止力であり続けることも合意されている(関連事項)。
(引用:宜野湾市、東奥日報ニュース百科、外務省、ニューヨークタイムズ、沖縄タイムス、Wikipedia)
[写真]沖縄県宜野湾市にある米海兵隊の普天間飛行場(2005年6月22日撮影)。(c)AFP/Toru YAMANAKA

再編実施のための日米のロードマップ

「日米同盟:未来のための変革と再編」(2005年10月29日)をもとに、日米両国は太平洋全域における日米の軍事力の再編に同意した(再編実施のための日米のロードマップ(仮訳))。この再編計画の一環として、日米両政府は、2014年までに、沖縄から8000人の海兵隊員とその家族9000人を移動することで合意した。第3海兵遠征隊の沖縄からグアムへの移転には、司令部部隊、航空部隊、地上部隊、及び後方支援部隊の移転も必要される。この移転計画をサポートする新たな施設の建設がグアムと北マリアナ諸島自治州(CNMI)に必要である。新たな施設には、訓練区域、及び主に住居として使われる兵舎が含まれる。グアムと北マリアナ諸島自治州(CNMI)は、大隊規模の部隊に、持続使用可能な訓練エリアを提供する

米海軍グアム統合計画部(JGPO)「海兵隊移転」(抜粋)

2006年の合意は、海兵隊約2,000人が名護市に移動し、残り約8,000人がグアムに移転する計画。このロードマップは、2009年のグアム移転協定(PDFファイル)の締結によって、正式に日米間の合意事項となった。日米安全保障条約上の米軍の義務への対処のために、沖縄より柔軟で迅速な対応が可能なグアムに海兵隊を移転する

2010年1月20日のニューヨークタイムズ紙

移設先のキャンプ・シュワブ沿岸部

普天間飛行場代替施設を、辺野古岬とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置し、V字型に配置される2本の滑走路はそれぞれ1600メートルの長さを有し(オスプレイの編隊離着陸や習熟訓練には、最大で約1575mが必要)、2つの100メートルのオーバーランを有する。各滑走路の在る部分の施設の長さは、護岸を除いて1800メートルとなる(外務省「再編実施のための日米のロードマップ(仮訳)」)。今でもキャンプ・シュワブ内の大掛かりな施設建設工事は、止められることもなく進んでいる(「辺野古から」)。

「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(平成11年12月28日閣議決定)に基づいた基本計画。環境対策として、環境影響評価を実施し、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。

普天間飛行場代替施設の基本計画について(案)- 首相官邸

さまざまな視点から見て、今回の海上ヘリポート計画には避けがたい困難が山積しており、もし実施するならば、自然環境的にも、住民生活の上からも、極めて大きな犠牲を伴うものと判断する。

第1次調査団の報告 - 沖縄米軍海上基地学術調査団(1997年5月15日)

オスプレイの配備

普天間飛行場代替施設に、垂直離着陸機MV22オスプレイを配備する計画(沖縄タイムス)。MV22オスプレイは、すでにCH-53E「スーパースタリオン」などに代わり、中東などで要人輸送任務にも就いている。(Wikimedia)。試験段階までに事故を複数回起こしており、その後対策が施されたとされているが(Wikipedia) 、宜野湾市や名護市では配備に反対する声がある(琉球新報)。
[写真]駐機した米空軍の垂直離着陸機「CV22オスプレイ(CV-22 Osprey)」(2007年2月7日撮影、場所不明)。(c)AFP/USAF

キャンプ・シュワブと辺野古の人々

農村であった辺野古は、基地という経済基盤の元に地域開発を進めるために、有志会では軍用地契約に踏み切り、1957年に基地建設が着手。辺野古に多大な貢献をした米軍人の名前に因んだ町名もある。(辺野古の歴史基地との交流 - 名護市辺野古区ホームページ)

グアムの環境影響評価(アセスメント)

米海軍グアム統合計画室は、米太平洋軍司令部が策定した「グアム統合軍事開発計画(PDFファイル)」(2006年7月)に沿った環境影響報告(「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」)を作成2009年11月20日に公表された (PDFファイル)。MV22オスプレイ12機を含めて計25機の回転翼機はグアムを本拠地とするほか、MV22を含む回転翼機の合計で37機、固定翼機を含めると67〜71機分の受け入れ施設が建設される予定になっている。(現状の普天間基地の回転翼機数は、36機)。グアムに移転する海兵隊の訓練はテニアンで行う。2010年2月1日、米国防省は、QDRを発表。代替施設の適性(クオリティ)やグアム移転費用などの検討結果と勧告が出された(pdfファイル)。今後、7月末に基本計画(マスタープラン)が決定される予定。 (在沖海兵隊を含む統合先「アンダーセン基地」と「アプラ港」。飛行場移設が計画されてきた「辺野古岬(キャンプシュワプ)」 - Wikimedia, Japan Focus)。
  • QDR 2010 普天間関係の要旨(仮訳)

2008年に、日本政府はグアムに移転する海兵隊の住宅などの費用負担に同意。合衆国政府は、日本に「日本国内で最も過疎」とされ提案された地域に、普天間飛行場のフライト機能を移転することに合意。グアム環境評価に基づくマスタープラン作成は、7月完了を目指し続行される。再編のためのロードマップに沿った場合は、以下の4計画を実行。 1.嘉手納以南の米基地の統合と返還。 2.第3海兵遠征隊とその家族のグアム移転。 3.日本側の費用負担による普天間代替え施設建設と、グアム移転に向けた目に見える進展を前提とした他の在沖海兵隊グアム移転。 4.日本側からの資金供給とは分別された米政府からの資金供給計画。

Guam Realignment Annual Report(PDFファイル) 米国防省(2010年2月1日)

移転費用

2008年9月に、米政府監査院(GAO)は、移転費用の総額が150億ドル(1兆5000億円)を超えるとしていた。2009年2月に日米両政府が署名したグアム移転協定(PDFファイル)では、総額102.7億ドル(約1兆270億円)で、日本が60.9億ドル(約6090億円)を負担することで合意した。この合意により、日本の防衛と安全保障に対する米国の責務を、沖縄から移るグアムの海兵隊が将来も支え続けるとされる。

沖縄からグアムへの海兵隊移転と普天間飛行場の危険性除去

宜野湾市の取り組み

鳩山新政権は、辺野古代替施設建設が必要とされる前提が、2005年10月の「日米同盟:未来のための変革と再編」のままの議論に終始してきたことを見直し、普天間飛行場代替施設としての辺野古新基地建設を中止すべきである。在沖米海兵隊の人数は現在11000名であるから、グアムに移転される在沖米海兵隊数約8000〜9.650人(GIMDP)が一部ではなく実はほとんど全部である。沖縄に残るとされる海兵隊員定数は、今のところ空(から)定数であり実働部隊ではない。

「普天間飛行場の危険性除去について」(PDFファイル) - 宜野湾市(2009年12月11日)

「海兵遠征部隊31MEUが沖縄にいないと台湾や韓国に1日で展開できないので抑止力の致命傷になる」との主張は国民をだます嘘である。31MEUは1年の半分は沖縄にいないし、西太平洋の同盟国での演習に参加している。普天間飛行場のヘリ部隊がグアムに移転することを示すいくつもの証拠がある。国防総省グアム軍事計画報告書に沖縄からグアムへ移転する部隊名が示された。列挙された11の普天間基地に関連する海兵隊部隊の中に海兵隊中型ヘリ中隊が入っている。グアム州政府から説明された資料に、移転を想定している海兵隊部隊として、31st Marine Expeditionary Unit ・第31海兵遠征部隊2,000人と記述されているので、グアムに来る37機の回転翼機には、31MEUのヘリ部隊であり、普天間基地の海兵航空ヘリ部隊が含まれると推察できる。

「普天間ヘリ部隊のグアム移転の検証について」(PDFファイル) - 宜野湾市(2010年2月18日)

市街地に隣接し危険な普天間基地

1945年、B29用に2400m級の滑走路を持つ飛行場が建設された。1953年には滑走路が2700mに改修。岐阜県と山梨県から移転してきた海兵隊に1960年陸軍から移管された。2004年8月13日、米軍CH-53D型ヘリが基地に隣接する沖縄国際大に墜落。破片は生後6カ月の赤子が眠る寝室に刺さり、大型ローターが駐車バイクを破壊した。(詳細は沖縄米軍トピックを参照)。また、障害物を排除し、航空機の離発着の際の安全を確保するエリア「クリアゾーン」に、住宅地が含まれている(PDFファイル)。クリアゾーン内には、公共施設・保育所・病院が18か所、住宅約800戸、約3600人余の住民が居住している。 騒音被害に対する怒りや事故に対する不安の声も多い 。伊波宜野湾市長は2010年1月7日、辺野古案の滑走路の長さに合わせて約1000m縮小し1800mとして基地内にクリアゾーンを設定し直すよう、政府に求める意向を示した
(引用:沖縄県公文書館、Wikipedia、琉球新報、宜野湾市基地渉外課)

鳩山政権による普天間飛行場移設の見直し

県外、国外への移設方針を示した上で、「県民の気持ちを確認しながらアメリカとの交渉に臨む」としていた。2009年11月に全国紙(新聞)4紙とNHKが実施した世論調査で、「県外・国外移設」や「日米合意案の見直し・修正」を求める回答が、「現行計画通り進めるべきだ」という趣旨の回答を上回った(沖縄タイムス)。 その後、首相は、日米合意の現行案以外の新たな移設先を2010年5月までに選定するよう各閣僚に指示した(琉球新報)。2010年2月5日、首相は、現行案の建設が海兵隊グアム移転条件とされていることについて、5月末までにグアム移転協定改定の了解を米側から得る考えを示した(沖縄タイムス)。2010年2月12日、米自治州北マリアナ諸島が移設受け入れを歓迎する意向を示したことに対し、北沢防衛相が困難との見方を表明した(沖縄タイムス)。2010年2月17日、沖縄防衛局の真部朗局長は、昨年末に、辺野古予算執行をしない政府方針が固まっていたことを明らかにした(沖縄タイムス)。政府は2010年2月23日、防衛省が着手する検証作業に米軍関係者が加わる形で候補地の実質的調整に入る方針を固めた(47NEWS)。2010年3月4日、政府は普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への現行移設計画履行を断念する方針を米側(ルース駐日米大使)に伝達(47NEWS)、2010年3月6日、シュワブ陸上か津堅島周辺で政府案を絞り込む方針に決定した。米側は、通常の離着陸に1600m級の滑走路が必要とされるMV22オスプレーを配備予定であるので、普天間飛行場がオスプレーの基地として継続使用される公算が大きいため、根本的な問題解決につながらない。1600m級の滑走路をシュワブ内陸部に造る案は丘陵地帯の掘削が不可欠で(47NEWS)、赤土の流出による環境破壊と膨大な費用とが懸念される。

移設に関するマニフェストなど

日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。

民主党「政権政策Manifesto2009」

主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。日米協力の推進によって未来志向の関係を築くことで、より強固な相互の信頼を醸成しつつ、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。

三党連立政権合意書(2009年9月9日)

日米首脳らのやりとり

米国の対応

1998年、日本政府が海兵隊の県外移設先の提供が不可能なのであって、海兵隊にとって沖縄の戦略的位置は問題ではないとしたうえで(琉球新報)、2009年12月、日本側が、解決するにはさらに時間が必要だとしたことについて、クローリー米国務次官補(広報担当)は、「米軍再編の現行計画が最善のものだ」(琉球新報)とした。 駐日米大使館のルーク公使は2010年1月13日、新たな提案があれば応じるとするとともに、在沖海兵隊のグアム移転協定は「正式な国際協定」との認識を示した(沖縄タイムス) 。アーミテージ元米国務副長官は、2010年1月15日、米側も代案を用意すべきと提言している(asahi.com)。 沖縄に海兵隊員として勤務経験もあるジム・ウェッブ上院議員は、2010年2月15日、在沖海兵隊以外の在日米軍の大幅な撤退論につながらないようにすべきで、現行案以外にも多くの実用的な移設先があるはず(47NEWS)。いかなる合意であれ日米と沖縄3者の支持を得たものでなければならない(時事通信)。基地問題の解決には一生懸命努力していきたいと表明した(QAB琉球朝日放送)。2010年2月25日、米Stars and Stripes紙《英語》は、沖縄県議会が、日本政府に県外移転を公式に要求したことを伝えるとともに、日本政府高官が、海兵隊航空部隊は沖縄にとどめる必要があると、米側へ返答したと報じている。2010年3月1日、北マリアナ諸島のイノス副知事は、日米が合意するだけであるとの見解を示し、普天間飛行場移設を歓迎するとして、強い期待感を表明した(47NEWS)。

沖縄の立場と対応

県知事

沖縄県知事は、「ベストは県外、セカンドベストとして県内移設」と繰り返し表明してきたが、首相との公式初会談の成果として、与党3党間での基本政策閣僚委員会で普天間移設の協議が決まったことをあげ、「県外移設が望ましい。政府が具体的な県外移設案を提案すれば、政府方針を積極的に支持する」として(QAB琉球朝日放送) 、沖縄には辺野古の他にも移設先は一切ないという立場で、県内案は、説明は聞くが現実的に困難(QAB琉球朝日放送)としていた。2010年2月、名護市長選などを受け、「この問題を取り巻く状況は大きく変化しつつある。現時点で辺野古移設案は極めて難しく厳しくなった」と述べ、「県内やむなし」とする従来の見解を事実上撤回した(沖縄タイムス)。キャンプシュワブ陸上案についても、「陸上案なんて決まるわけがない。どう見たって僕らがノーだから」と述べ、あらためてキャンプ・シュワブ陸上案に反対する姿勢を明確にした(沖縄タイムス)。

県議会の動向

米との合意事項や従来の見解に関する沖縄県による説明

県外移設がベストだとは思いますが、今回の米軍再編協議の経緯等から、その実現は困難であることを理解し、一刻も早い危険性の除去のため、やむなく県内移設を認めたものであります。県全体の基地負担の軽減を一層促進するとともに、地元の要望を政府に伝えるという県の立場を堅持し、政府との協議を続けていきたいと考えております。

普天間飛行場の移設問題について - 沖縄県知事公室返還問題対策課(2009年10月2日)

市町村自治体

琉球新報のアンケートによると、米軍普天間飛行場の移設問題について、県内41市町村長全員が、移設先として県外や国外が望ましいと考え、県内移設容認は皆無となっている。2010年1月19日、日米安全保障条約改定署名50周年に両政府が発表した共同声明に対し、宮城篤実嘉手納町長は、「極東や日本の安全を守る役割を担ってきた一面もある」が「騒音問題など基本的なことも解決していない」と懸念を示した。また、宜野湾市の伊波洋一市長は、「負担軽減に取り組むなら辺野古以外で解決すべきだ」と述べた。2010年1月25日、名護市長選で基地反対の稲嶺進氏が当選。2010年3月8日、名護市議会が反対決議で、名護市長が施政方針演説で改めて陸海問わず一切の新基地建設の拒否を表明している(沖縄タイムス

県民世論・沖縄のメディアの論説など

県民世論調査によると、基地問題を沖縄だけで片付けようとすべきでないとして、代替機能を県内に求めることには無理があり、県外・国外に移すべきだとする意見が69.7%を占めている。米政治学者チャルマーズ・ジョンソン氏は、日本では沖縄の人に対して根深い優越感があるとしている。与党3党の検討委員会に防衛省が提出した資料「海兵隊の意義・役割」は、沖縄の地理的優位性を誇張しているとして、沖縄の負担軽減などあり得ないとの不満が高まっている。また、海兵隊の駐留兵員すら防衛省に手持ち資料がなく、沖縄県の統計を借用したとして、政府への信頼も揺らいでおり、政府が米軍キャンプ・シュワブ陸上部代替案を検討していることが明らかになったことに対して、世界中でこれほど米軍基地が集中する「島」はほかにない。日米安保が重要と言うのなら、当然沖縄以外で基地移転先を探すべきだが政府と本土の他地域はその議論から目を背けている。米側はMV22オスプレイを配備するために1600m滑走路を求めているので、オスプレイのために普天間飛行場が必要ではないか。普天間の危険性を除去しよう、というのがすべてのスタートだったのに、なぜ継続使用という発想が生まれるのだろうか。などとして、「いいかげんにしてくれ」との強い抗議も表明されている(沖縄タイムス)。辺野古の沿岸の環境を子孫に残すべきとする意見も多い。

沖縄県以外の地方自治体の動向

沖縄タイムスのアンケートによると、在沖米軍基地を受け入れると答えた地方自治体はゼロで、19都県は回答すら拒否した。これに対して、「在日米軍の必要性を強調するなら、その負担は全国で分かち合おうと呼び掛けるのが筋 日本人の心のありようを問う国内問題」との批評もある。また、日出生台の米軍演習で、本土では沖縄と異なり、米兵の安全にも配慮しなければならない姿も浮き彫りになっている。(西日本新聞)。
  • 佐賀空港への基地移設「あり得ない」 佐賀市長が見解 - 「熱気球大会との共存や、市民の安全・安心を考えると「(基地)誘致ということにはならない」。佐賀新聞(2010年3月5日)
  • 基地勘弁 本土の本音 - 宜野湾市の伊波洋一市長:「むしろ『基地があるから地元に金が落ちる』との誤解があるのかもしれない。沖縄に基地負担が集中し、住民が苦しんでいる現状を直視してほしい」。asahi.com(2010年02月15日)

政策提言団体など

防衛省及び外務省を主務官庁とする 財団法人、平和・安全保障研究所は、「(米軍に基地を提供する)その義務を沖縄に押しつけて済まそうとする日本政府に対する沖縄の不平等感が募る。日米安保体制を維持するつもりであれば、日本は義務を果たす用意がなければならない。日本国民のどれだけがそのことを真剣に考えてきただろうか」。との疑問を投げかけている(普天間をどうするのか)。

コラム

日米関係の危機感が強調され、1万7千〜1万8千人という海兵隊員定員数が実在の人数として流布されたとの批評もある(ニューヨークタイムズ紙によると2010年の在沖海兵隊員数は約10000人)。また、キャンプ・シュワブの海兵隊基地内に、海兵隊員用の宿舎や娯楽施設を何棟も建設して巨額の税金が無駄遣いされたとする批判もでている。鳩山首相が米海兵隊「抑止力」論を持ち出したことが混迷を加速させたとの批評があり、沖縄国際大学の佐藤学教授は、「鳩山首相は盲目的に『抑止力』と言っている」と批判している。米ニューヨークタイムズ紙は社説で、「当事者にとっては、米軍再編は戦略的な問題ではない。名護市の新市長は、海兵隊が名護市に移転することを望んでいないと表明した。オバマ政権は臨機応変に対処すべきだ」。と述べている。宇沢弘文東大名誉教授ら18人が呼び掛け人となり、有識者322人(18日現在)が賛同した「普天間基地移設計画についての日米両政府、国民に向けた声明」では、「(県内移設は)自民党政権、自民党県政であっても13年間、全く動かすことのできなかった計画。日米安保に基づく米軍への基地供与は、沖縄にあまりに集中し過ぎている。県外・国外を真剣に検討すべきだ」とし、50年以上も前の日米安保条約を再検討すべきだとしている。

アンケート

統計に基づく世論調査ではないので、世論調査との間に大きな差が認められることもある。参考にする際は注意が必要。

日米以外の主な反応

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