米ロサンゼルスの日系人街「リトル東京」で、ここ数年、韓国系の住民が増えている。韓国レストランやスーパーも開店し、日系人側が街を乗っ取られてしまうのではないかと感じるなど、異なる出身民族同士の摩擦が生じる時もある。
そんな溝を埋めようと開かれた文化交流イベント「リトル東京日韓フェスティバル」で、ハリウッドで活躍する女優の田村英里子さんが韓流俳優と司会を務めた。
映画やテレビの役を競うオーディションでは、日本人も韓国人も同じアジアのライバル同士。司会を依頼されて初めて戦争中に強制収容された日系市民の過去やそれぞれの複雑な感情を知り、「若い日本人の私でもいいのかな」と迷った。
だが日本語と韓国語をお互いに学ぶ住民の姿に感動。「コミュニティーの一員として貢献できる」と、ほとんど経験のない司会を引き受けた。「未来に向けて一歩踏み出し、仲良くしていこう」。そんなメッセージの発信に、今後も協力していきたいという。【吉富裕倫】
毎日新聞 2010年3月8日 東京夕刊