更新:2月4日 10:15インターネット:最新ニュース
ECナビがTwitterで採用活動 つぶやきで学生38人が集まった
価格比較サイトを運営するECナビが、1月下旬から「Twitter(ツイッター)」を使った採用活動を進めている。対象は2011年3月卒業予定の大学生。説明会の告知や学生からの返信はすべてTwitterを使い、2月2日と3日に開いた会社説明会には、38人が東京・渋谷のECナビ本社に集まった。 「Twitterのつぶやきを本格的に使ったのは、日本では初めてではないか」とECナビの宇佐美進典社長が語る今回の新卒採用活動は、社長本人の1月20日のつぶやきでスタートした。このつぶやきにReTweet(RT)という機能を使って「ECナビ入りたい!」と返信した学生が、会社説明会に参加する権利を得る仕組みだ。告知開始から約1週間で応募が100人を超えたため、会場の規模を考慮して急きょ締め切ったという。
同社で人事を統括する青柳智士取締役は「Twitterの反応の速さには前から注目していた。しかもブログなどと比べて自由に書き込める分、インタラクティブなやり取りへの垣根が低い。こうした側面が採用活動との親和性が高いと判断した」と狙いを語る。実際、2日の説明会に訪れた学生の一人は「何でこの会社はTwitterで採用をやっているんだろうと思い、それだけで参加を決めた」と話していた。 説明会そのものもTwitterを使って情報を公開した。学生の社内ツアーが自分の近くに来た瞬間に、宇佐美社長は「現在、目の前で会社見学中。見られると恥ずかしい。。。」とつぶやきをアップする。2日の説明会に参加した学生からは、その夜のうちに感想などを語るつぶやきが掲載された。「2日は14人だったが、3日は24人。2日の説明会の反応をTwitterで見て、3日に参加した学生もいたようだ」(広報部)。 ■つぶやきは無料だが文面に工夫満載 今回の説明会は、宇佐美社長のつぶやきとそのRTだけで告知と参加応募が完結した。学生からの質問に回答するなどの手間はかかったが、「通常の採用活動でかかるような費用は発生していない」(青柳取締役)。ただし限られた文字数で募集の意図や条件を伝えなくてはならないため、告知で掲載する文面を吟味したという。文字数を上限の140文字まで使わず、RTされたときに元のつぶやきが全文表示されるようにするなどの工夫も凝らした。 ECナビはTwitterの活用で「新しいものに積極的な一歩を踏み出す人材を集められる」(宇佐美社長)と期待する。これまでTwitterを使っていた学生をターゲットとするため、「フォローが10を超える人」という条件を付けたが、数が足りない学生はフォロー数を増やすなどして条件を満たしたという。 ■今春卒業予定の学生もTwitterで緊急募集 さらにECナビは2月1日から10年3月卒業予定の学生を、Twitterのつぶやきで募集し始めた。「これまでコミュニケーションをとれなかった層にアプローチする狙いでTwitterを使った」(青柳取締役)という。今春卒業の学生は既にほかの企業への入社が決まっている可能性が高く、しかも卒業まであまり時間がない。そこでTwitterでは募集告知までとし、問い合わせをメールで受ける格好にしている。 宇佐美社長が採用活動にTwitterが有効と考えたのは、「Twitterでは、セグメントを絞るほど情報が広がりやすい」との経験に基づいている。「多くの人にかかわる情報よりも制約がある情報の方が、誰かに伝えたいという意識が高まり伝搬していく」という。実際、今回の募集もユーザー間のRTによって伝わっていった。説明会に参加した学生の一人は宇佐美社長のつぶやきを直接見たのではなく、「就職活動中のほかの学生のつぶやきの履歴を見て発見した」という。 ECナビはこれまで、インターンシップ制度による採用活動を行ってきた。既にインターンシップで11年3月卒の学生の採用を決めているが、Twitterでの採用は別枠とする。今後は、説明会当日に配布した書類を2月8日までに提出した学生を選考する。複数回の面接を経て、3月上旬までに採用する学生を決定する予定だ。 ミニブログとも呼ばれるTwitterは、140字に制限されたつぶやきを使って情報をやり取りする。鳩山由紀夫首相がほぼ毎日、更新を続けていることで話題を呼んでいる。 2日の説明会後に、宇佐美社長に反応などを聞いた。
――なぜ、Twitterで採用活動をしようとしたのか。 年末年始にTwitterのおもしろさを改めて認識したため、Twitterを使って学生と社会人を集めて1月14日に懇談会を開いた。そこに集まった学生が我々の必要とする人材と重なっていたため、Twitterで急きょ募集をすることにした。 ――どういう学生を求めているのか。 新しいものを活用しようとする意識があって、自分から情報を取りに行く人。Twitterで手を挙げて、実際に行動に移せる人材だ。説明会を見る限り、実際そうした学生が来社した。 ――学生から否定的なつぶやきが出るなど、Twitterを使うリスクもあったのでは。 そうなったら仕方がないとは思っていたが、そうは言われない自信もあった。 ――Twitterとほかのサービスの違いはどこにあるのか。 ブログなどの延長線上にあって、個人の情報発信ツールが進化したものだ。最近感じるのは、自分のブログに対するコメントなど様々なインタラクション情報がTwitter上に統合され始めていること。ブログやソーシャルブックマークなど別々のところに分散している情報へのフィードバックが簡単にでき、「Twitterに寄ってきている」と実感する。一時の流行りものでは終わらないのではないか。 [2010年2月4日/IT PLUS 松本敏明] ● 記事一覧
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