◆常陸国◇ 妖怪太死鬼 ◇餓鬼◆

1 ：本当にあった怖い名無し：2009/06/08(月) 02:53:15 ID:m6/VY2m70

むかしむかし、土屋の殿様の領地・下田に、『屁悔』（へぶ）というのろまで気の利かない知恵遅れの小僧が住んでいました。
『屁悔』は大人の注意にも耳をかさず、食っては寢、食っては寢しているうちに、まるまる太って、とうとう家にある稗や粟を全部食べ尽くしてしまいました。
じい様とばあ様は困ってしまい、『屁悔』を見世物小屋に売り飛ばしてしまったそうな。
小屋では稼ぎにあった食べ物しか与えられません。醜く稼ぎが悪い『屁悔』は、飢えて更に狂ってしまい上沼に身を投げ死んでしまいました。

死んだ『屁悔』は『閻魔大王様』に『餓鬼』にさせられ、『畜生道』に堕とされることになりました。
『地獄』の鬼たちが『屁悔』を『畜生道』の入り口に連れてきましたが、『屁悔』のお腹がとても大きいので入り口を通れませんでした。
困った鬼たちは『閻魔大王様』に相談をし、『屁悔』を『餓鬼』の姿のままで現世に捨ててしまいました。

それから上沼の畔には、醜く太った鬼が出て、村人や旅人を襲うようになりました。
その鬼は人間を襲い食べてしまったそうです。（とくに幼女を好んで襲って骨まで残さず食べてしまいました。）
人々は妖怪となったその鬼を『太死鬼』と呼び、とても恐れていたそうです。

村人や旅人が『太死鬼』を恐れ上沼を誰も通らなくなると、飢えた『太死鬼』は地が裂けんばかりの声で『ブヒィブヒィウッウッウッ』と叫びました。
すると大雨が降り出し、殿様のお城や村は水害に襲われるようになりました。
村人たちは泣く泣く幼女や食べ物を生贄に差し出し、『太死鬼』から身を守っていました。