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●教科書・国連常任理事国問題を契機にした「反日デモ」は、政府レベルで「お前が悪い」の言い合いに終始している。 インド訪問中の温家宝・中国首相は「アジアの人々の強い反発で、日本政府は深く反省するはずだ」と述べたが、小泉純一郎首相は「安全確保は中国側に責任がある。この点はよく自覚して頂かないと」と反論した(各紙) ●一方、札幌市の上田文雄市長(市民ネットワークの推薦、民主、社民党支持で当選)は、定例記者会見で「日本の歴史認識の誤りに原因がある」と、次のように述べた。 【日本が戦争の災禍を韓国、中国、東南アジアに与えた。災禍を受けた人たちがたとえ水に流そう、忘れてくれるといっても、日本は忘れてはいけない】(毎日web) ●大阪市西区にある中国総領事館に、短銃の薬きょうが入った封筒が送り付けられていた。【差出人は書かれておらず(略)封筒の裏面には「反日運動が続けば中国人留学生を襲撃する」などとの内容の文言が、ピンク色のサインペンで書かれていた】(読売) ●東京都内のホテルで「日中民間友好団体代表者の集い」が開かれ、来賓として出席した町村外相と王毅駐日大使も、それぞれ「お前が悪い」と持論を開陳した。 「日中の距離感」を象徴した写真を付けて記事化したのは、『朝日』と『読売』だが、両社のスタンスの違いがよく分かる。 『朝日』は3面下で【日中友好団体が憂慮のアピール】と見出しをつけたが、『読売』は1面カラーで【「隣人」ぎくしゃく】。どちらも「事実」なのだが、目線の違いがこうした違いを生み、それぞれの「世論」をつくる。 ●中国での「反日」の高まりと比例して、『朝日』に対する『産経』の批判がエスカレートしている。きょうの『産経』は社説「主張」、コラム「産経抄」、社会面記事の3点セットの『朝日』批判。 ●まず、社会面から。教科書検定審委員の天児慧(あまごさとし)早大教授が「1坪反戦地主」だった(『産経』既報)ことについて、細田官房長官が「調査する」と言明したこと。『朝日』が教科書検定問題検証(6日付=本欄既報)記事で、天児教授の談話を検定審委員と断らずに「識者談話」として掲載したことを追跡。 【天児氏は産経新聞の取材に対し「朝日の記者は私が検定審の委員だと知らずに取材に来たので、私が教えた」と明らかにし、談話掲載責任は朝日にあるとの見解を示した(略)記者は「委員とは知らなかった」とした上で「構わない。委員ではなく研究者としてコメントして欲しい」と押し切ったという】 『産経』の『朝日』批判はかなりねちっこいが、記事が本当ならば、取材の甘さはもちろん、「読者に真実を伝える」という点で『朝日』記事は「都合の悪いことは読者に伝えない」という批判を浴びても仕方がない。 ●次いで「主張」 【教科書検定審委員 ふさわしくない一坪地主】と題して三方なで斬り。【一坪地主であることを文科省に知らせず委員を引き受けた天児氏の対応は問題である(略)職歴などを十分に調べず、委員に任命した文科省の人選も甘かったといえる(略)第三者の学者の見解であるかのように報じた朝日の記事は、著しくモラルに反する】 http://www.sankei.co.jp/news/editoria.htm ●仕上げが「産経抄」 【中国での反日暴力デモの傍若無人、「責任はなし」とする中国政府。あきれはてるばかりだが、きわめつきが昨日の朝日新聞の社説だった。反日の根底にあるのは靖国神社参拝という、いつものお題目につけた見出しがなんと「小泉首相の責任は重い」。▼やれやれというほかない】 http://www.sankei.co.jp/news/column.htm ちなみに「きわめつき」と酷評された『朝日』12日の社説は http://www.asahi.com/paper/editorial20050412.html ●中国国内で、市民の“不満”が蔓延しているのは事実のようだ。 香港各紙によると、中国浙江省東陽で10日、公害問題への集団抗議が暴動に発展して、約3万人の村民が武装警察官などと衝突した(各紙) また、【中国で非合法化されている気功集団「法輪功」の愛好者5人と国内のNPO法人「日本法輪大法学会」(東京)が「監禁や拷問などの迫害を受けた」などとして、江沢民・前中国国家主席や中国共産党幹部ら4人と中国大使館を相手取り、計6000万円の損害賠償を求める訴訟を12日、大阪地裁に起こした】(読売)という動きもある。 ●きょうの「ライブドアvsフジテレビ」 (1)ライブドアの株価が続落、12日の終値は前日比10円安、年初来最安値の293円(各紙) (2)米国での宇宙事業財団の会合に出席して帰国したライブドアの堀江社長は不機嫌。 【「会社は別にちゃんと動いている。何か当社の株価を下げるような不安定要因がありますか」などと述べ、株価下落は一時的な動きに過ぎないとの認識を示した。ただ、株価下落を伝える報道には「いちいち下落下落っていうふうに大騒ぎするのやめてくださいよ」といらだちをあらわにした】(産経) (3)いらだちの原因はフジテレビとの「和解」の最終調整に入ったからだろう。『読売』によると、落しどころは、ライブドアが保有するニッポン放送株を実質的にフジに譲渡し、フジがニッポン放送を子会社化する。ライブドアが行なう第三者割当増資をフジが引き受けて資本参加。業務面の提携内容も詰めているというもの。 【フジテレビの村上光一社長とライブドアの堀江貴文社長が近く会談し、最終決断する見通しで、約2か月にわたる両社の攻防は、重大な局面を迎えた】(読売Web)http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050413it01.htm ●昨日告示された衆院補欠選挙の結果は、政局に結びつく。山崎拓首相補佐官の当落が首相の求心力を左右するため、自民党執行部は「総力支援」体制。民主党も2敗すれば岡田代表の責任問題が再浮上する(各紙) 「郵政」より「補選」という事態だが、自民党の青木参院議員会長が郵政民営化反対派の中心・綿貫民輔前衆院議長と会談した。 青木氏の「小泉・綿貫会談」の提案は蹴られたが、【青木氏は「首相には私と綿貫さんが組んだら郵政民営化なんて吹っ飛ぶ、と伝えてある。だからこれまでの政治手法を改めなさいと伝えてある」などと説得した】(読売) ●今日の「イラク自衛隊」情報 ラムズフェルド米国防長官が12日、イラクを急きょ訪問し、移行政府のタラバニ大統領、ジャアファリ次期首相と会談した(各紙) ●カネボウの粉飾総額は約2000億円に上っていた。 【事業会社の利益操作としては過去最大規模となる。13日に発表する。カネボウの新経営陣は(略)旧経営陣を刑事告発する方針だ】(日経) ●『朝日』が、西武グループ経営改革委員会がまとめた西武施設の「売却・撤退」リストを抜いた。 【新潟県中越地震の被災地にある小千谷山本山高原スキー場や、国内スケート競技の重要拠点である新横浜スケートセンターも含まれる。ただ、個別施設を実際に売却するかどうかは新経営陣が判断するため、なお流動的な要素もある】 ●ホームページの画面を1回クリックさせて登録料などを請求する「ワンクリック詐欺」が、大阪府警によって初めて摘発された。 【「社長」と呼ばれる男が約50人の「社員」を統括して「支店」を開かせ、携帯電話のアダルトサイトを利用した12都道府県の数千人から約6億6000万円を振り込ませていたという】(朝日) ●自動車リコール情報(各紙) (1)三菱自動車:エアコンファン作動不良の欠陥で乗用車「ギャラン」など3車種、キーが抜けずロックできなくなる欠陥で「コルト」。計約27万5000台。 (2)トヨタ自動車:エンストなどの恐れで「ヴィッツ」約5300台、走行不能の恐れで中型バスなど約250台。 (3)ダイムラークライスラー:ブレーキ系統の3件の欠陥でメルセデスベンツ計5万1000台。 ●愛知万博パビリオン売ります。 【ネパールが、同国館内に再現した仏教寺院を2億円で売り出している】(読売)http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050413ic04.htm ●第36回大宅壮一ノンフィクション賞(各紙) 稲泉連(いないずみ・れん)さんの『ぼくもいくさに征くのだけれど』(中央公論新社)、高木徹さんの「大仏破壊」(文芸春秋) ●第24回土門拳賞は、写真家・坂田栄一郎さんに決定(毎日) ●きょうの訂正記事 ・『読売』11面【12日の「オフィス市況回復」の記事で、「主要ビル(床面積3300平方メートル以上)」とあるのは「主要ビル(基準床面積330平方メートル以上)」の誤りでした。】 ・『読売』34面【12日の「被災10市町村の借家人らに特例」の記事で、優先条件を「2年以内に土地の所有者に申し出れば」としたのは「建物完成前に建物所有者に申し出れば」の誤りした。】 |