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郵政民営化によって発生すると予測される金融排除問題について書きます。まず、金融排除問題についての説明ですが、大門みきし氏の8月1日の国会での議論を引用します。 「大門実紀史君:金融排除問題というのは、低所得者あるいは少額しか預金を持たない方々が金融機関に口座を持つことを拒否される、あるいは高い口座維持手数料があるために預けられないという問題です。そういう金融サービスから排除される人が大量に今、欧米では生まれているということで、アメリカ、イギリスでは15%から2割を超える世帯が口座を持てないと。これはドイツやフランスでも問題になっております。 銀行口座を持てないということはもう大変なことでございまして、給与の振り込み、現金化ができない、あるいは社会保障給付が受け取れないと、基礎的な金融サービスが受けられないということで、欧米の、ヨーロッパ等々の位置付けではもう重大な社会的疎外だということで、各国とも社会問題として対策に乗り出しているところです」 と、金融排除問題は日本では取り上げられませんが、世界的な問題のようです。 日本で金融排除問題がないのはなぜかというと、郵便貯金があるからです。口座維持手数料がタダだからです。しかし日本でも、シティバンクは50万円以下の預金者には、毎月2100円取っていますので、小口預金者への金融排除の動きはあります。預金者の中で金融排除問題の対象になるのはどれくらいか?再び大門みきし氏の議論を引用します。 「大門実紀史君:郵貯の預金者の利用世帯というのは4200万世帯、国民の85%が利用しています。うち100万円以下の層が4割、300万円以下では約7割です。金融弱者問題というのは実はこの層です。300万円以下とか100万円以下とか、この層のことです。1000万円以下というようなばくっとしたものではございません。この層が実は金融弱者の問題です」 国民の85%(4200万世帯)の郵貯の預金者のうち、100万円以下の層の4割、すなわち国民の34%(1428万世帯)が金融排除問題の対象になると予測されます。大きな問題です。郵政民営化をするとどうなるか? 桜井充氏の7月25日の議論を引用します。 「櫻井充君:そもそも論のところで、もう1回ちょっと改めてお伺いしたいことがございます。それは要するに、郵便貯金というものがなくなるわけですから、基本的に言うとですね、公的な貯蓄機関がなくなります。その公的な貯蓄機関がなくなってくる影響というのは一体どういうものなのかということが十分議論されていないんじゃないのかなと、そう思います。…省略…国務大臣(竹中平蔵君) アメリカにおきましては、これは1969年に郵便貯金制度を廃止して以降、公的な貯蓄機関は存在しないというふうに承知をしております」 郵政民営化が実現すると、公的な貯蓄機関がなくなるそうです。公的な貯蓄機関がなくなることで、何が問題になるかと言うと、先ほどの金融排除の問題です。今、アメリカでも公的な貯蓄機関がなくなったことから、1100万世帯が金融排除されているそうです。イギリスでも郵政民営化により、350万人の人が金融排除されたというデータがあります。ニュージーランドでも郵政民営化により銀行部門が外資に買収され、口座維持手数料の設定、支店の閉鎖から利用者が不便をこうむりました。そして、国営のキウィバンクを作り直したそうです。 世界の流れは、金融排除問題の解決に動いていますが、日本では金融排除問題を発生しかねない郵政民営化を実現しようとしているのはまことに滑稽ではないかと思います。 国会会議録検索システム(7月25日)の参議院郵政特別委員会に桜井充氏の議論が、8月1日の同委員会に大門実紀史氏の議論があります) http://kokkai.ndl.go.jp/ ◇ ◇ ◇
特集「選挙が面白くなる!2005総選挙全情報」
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