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読む政治:民主敗北の長崎知事選(その1) 動けなかった隠れ支援者

 今夏参院選の前哨戦として注目され、与党3党の推薦候補が敗れた長崎県知事選(2月21日投開票)から2週間。鳩山由紀夫首相は「政治とカネ」問題が敗因と認めたが、民主党の小沢一郎幹事長が進めてきた自民党支持票の切り崩しが功を奏さなかった実態も浮かんだ。それでも小沢氏は「国政選挙と地方選挙は基本的に有権者の意識も違う」として「小沢流」の組織選挙を徹底し参院単独過半数を目指す構え。4月以降、10年度予算が執行されれば、業界団体の「自民離れ」が加速するとの読みも働く。

 「この辺りの農業地域では民主党支援者は『隠れキリシタン』みたいなもんだよ。外に声をかけられないから運動が広がらない」。長崎県内選出の衆院議員秘書は組織選挙が思うように機能しなかった実情を振り返った。

 告示前の2月初旬、山田正彦副農相(衆院長崎3区)は県内農協グループの政治団体・県農政連の林田哲男事務局長の携帯電話を鳴らした。赤松広隆農相が東彼杵町で2月11日に開く農政懇談会の会場として農協施設の提供を求めるためだったが、林田氏は着信に気付きながら「話は分かっていたから出なかった」。施設提供を断っただけでなく、選挙期間中に民主党の細野豪志組織・企業団体委員長が面会を求めたのも拒んだ。

 県農政連は家族も含め約14万人。自民党の支持組織として集票力を発揮してきた。自民党との間で長年、票と農業予算の「もたれ合い」を続けてきた農協の幹部が政権交代で代わったわけではない。参院選へ向け民主党幹部は「今後は予算で農協を干し上げていく」と反発を強めている。

 林田氏は参院選の対応について「とにかく真っ白」と語る。

毎日新聞 2010年3月7日 東京朝刊

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