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【書評】『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』工藤美代子著 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:テロ
■まるで良質のミステリー
関東大震災の時に流言蜚語(ひご)に惑わされた日本人自警団が何の罪もない多数の朝鮮人を虐殺した−。
多くの日本人はこの事件にある種の後ろめたさを感じ、きちんと検証してみようとしなかった。
大震災から86年、工藤さんが初めてこの困難な作業に挑んだ。
まず、当時の日韓関係の中で朝鮮人のテロ、日本人襲撃が決して根拠のない流言蜚語ではなかったことを多くの資料・新聞記事から立証。
工藤さんは〈朝鮮人による襲撃があったから、殺傷事件が起きた〉〈テロリストの襲撃から家族や町内を守るのは正義といっていい〉と断定している。
当初は朝鮮人による襲撃事件を報じていた新聞がなぜ途中から事実を隠蔽(いんぺい)するようになったのか。それが、この本の大きなテーマに繋(つな)がっていく。まるで良質のミステリーを読むような面白さだ。
圧巻は虐殺された朝鮮人の数を検証する部分。当時、吉野作造は2613人と書き、上海に亡命した大韓民国臨時政府の機関紙「独立新聞」は6419人と書いた。