ブラックバスを捕らえたオオワシ=滋賀県長浜市湖北町、荒元忠彦写す
国の天然記念物オオワシが琵琶湖の悪者の駆除に一役買っている。1992年以来、越冬のために毎年飛来が確認され、琵琶湖の在来種ニゴロブナなどの天敵ブラックバスが主なえさだ。南限の越冬地として定着したのはバスなどの外来種が増えたためではと、野鳥の専門家は話す。
オオワシはロシア・カムチャツカ半島などに生息し、北海道や本州北部などで越冬する。翼を広げると2メートルを優に超え、黒褐色に白の羽と黄色い大きなくちばしが特徴だ。
琵琶湖では92年1月、滋賀県長浜市の湖北野鳥センター近くで確認されたオオワシが12季連続で越冬し、一時は4羽訪れた。今冬も12季続けて来訪するメス1羽と、別の1羽を数キロ西で確認。今年1月の観察会には、その姿を一目見ようと京阪神や愛知県などから野鳥ファン約100人が詰めかけた。2羽は2月21日に北へ飛び立った。
なぜ琵琶湖で越冬するのか。アジア猛禽類(もうきんるい)ネットワークの山崎亨会長は「ブラックバスというえさが豊富なことが一因」とみる。北海道で越冬するオオワシはスケトウダラ漁のおこぼれを狙っていたが、水揚げ量の減少で南下した個体が琵琶湖に飛来。滋賀県によると、琵琶湖のブラックバスは83年ごろから急増し、オオワシにとっては格好のえさだ。
滋賀県は2002年度から、ニゴロブナやホンモロコなどの在来種を食べる外来魚の駆除事業を強化し、毎年400〜500トンを捕獲。センターの清水幸男所長は「オオワシは、ブラックバスが減ったためか、最近は水鳥を捕る狩りを覚えたようです」と話す。(新井正之)