「なんだこれは!?」
自治会の防犯パトロールを務めていた男性4人が、地元神社のさい銭箱に投げ込まれていた封筒に気づき、その場で開封してみると、そこには約10年前にさい銭泥棒したことへの悔いがつづられた手紙と現金3万円が入っていた。
発見したのは、栃木県宇都宮市下岡本町の「岡本駅前1区自治会」の防犯パトロールを行っていた自治会長、須永正さん(76)ら計4人の男性。2月22日午後7時過ぎの出来事だった。
下岡本町周辺の氏神である「山神社」のさい銭箱にあった手紙は、白い封筒に入った縦書きの便せん。「当時は小学生でした。罪の意識もなくたまたま入っていた1万円欲しさにやってしまったのです」と約10年前にさい銭1万円を盗んだことを告白していた。
そして、「神様のお金を盗むのは言語道断であります。そしてこの1万円を入れた方に申し訳ない気持ちで一杯です」と反省モードに突入。最後は「2度とこんなことはしません。この封筒の中に、盗んだ1万円を含む、10年間の月日がながれてしまったことを踏まえての金額3万円を納めさせていただきます。あらためて本当に申し訳ございませんでした」と結んであった。
さい銭泥棒は窃盗罪にあたり、最長で10年の懲役に問われることもあるが、公訴時効は7年で、すでに時効が成立しているとみられる。
神社責任役員でもある須永さんは1日、サンケイスポーツの取材に「1万円を稼ぐことの大変さを実感し、十分反省していると感じる」といい、刑事告発などするつもりはないという。また「“美談”と言えるかは分からないが、できるならこの青年に会ってみたい」とも話している。
同封されていた現金3万円は、社会福祉協議会に全額寄付し、手紙を書いた犯人の“青年”に向け、神社境内に「あなたの善意は全額寄付させてもらいました」というメッセージを張り出すという。