歌うのが苦手だ。小学校低学年の時、クラスで合唱をしていて、先生がこっそりと私に「あなたは少し音量を落としてね」と言ったことが影響しているのかもしれない。先日、大勢の取材相手と飲む機会があった。大いに盛り上がり、誰かが「じゃあ、順番に歌おう」と言い出した。手拍子をしながら大学の校歌を歌い上げる人、何かの数え歌を十番まで歌う人。私の番が迫るが、あいにく愛校心が薄かったので校歌は思い出せず、田舎の民謡も知らない。
なぜだかとっさに浮かんだ外国民謡を歌い始めた。案の定、途中で歌詞が途切れ、その歌を知っている人が引き取ってくれた。一曲だけでも歌い上げたい。今日も取材に向かう車の中で練習している。(高島)
毎日新聞 2010年3月6日 地方版