『ゲーム機『少女』』
作・奈須野雪葉さん
いや、例えばさ
格闘ゲームでさ、今までさ、頑張ってさ、ようやくラストステージまで来て
『よーし覚悟しなこの石化野郎!今こそカリンたんの力を見せてやるぜ!』
みたいな時。
とりあえず自分の得意コンボ(しゃがみジャブからのエリアルコンボ)を決めようと力を込めたの。
で、コントローラーに力を込めた時。
むにゅっという感触が。
その場違いかつ明らかにおかしい(意味は殆ど一緒だが気にしないで)感触に私の思考が止まって
我に返った時、私のカリンたんは石化する前に殺されました。
『御免なさい…、王子様…』
……確かにペガサスナイトは防御力がとっても低いけど。
で、今の私の状態をよくよく考えてみると
『死体になった女の子の胸を揉んでいる女の子、名前は清水歌織、年齢は15歳』
…死体じゃないけど死体っぽいし、私も女の子の胸を揉むのは好きだし、私は小さいけど胸…。
『……これは、返品物…ね……』
私はそう呟き、説明書の中の電話番号に電話を掛けた。
結果。
無機質な声優さんの声が、虚しく『この電話番号は、現在』と言っているだけでした。
後の言葉は言わなくても解ると思うし言いたくないので言わないけど、とりあえずその電話番号は無い。
『嵌められた……』
受話器を元の位置に叩き付けた後、私はそう呟いた。
女の子の形をしたゲーム機。
私は女の子もゲームも好きなので、これは買い!と思って購入したのも束の間。
何とコントローラーは、全裸の少女の大きな胸!
そしてボタン入力は、胸を揉む強さと、胸を曲げる方向!
ついでに連打は胸をパンパンパンパン。くっ!私は変態じゃない!
初日、興奮し過ぎて吐血(!?)で、本体を血塗れにして。
二日目は興奮し過ぎて○液を本体に掛けてしまって…。
三日目は何とかなれたけど…、やっぱ途中で興奮し過ぎて……、つい……。
だって、胸揉むのって気持ち良いじゃない。
御免、私ガッツたりない。
しかしこのゲーム機、見れば見るほど本物の少女っぽい。
胸を揉む質感はともかく、この虚ろな瞳、ポカンと開いた口。
そして下半身にある上下の穴に…、小さな小さな足の小指。
まるでそれはモノホンの人間のような…………。
『ってこれ!モノホンじゃん!!!』
気付くの遅いわね私。
どーもこれ買ってから運が悪いなとか思ったわよ!
金縛りにもあうし、心霊写真は出てくるし!
つまり私は、死体を買った女。
待て!待て待て待て!!
いくら私が女体盛り大好きで、『夜は美少女を布団代わりにして寝たいな〜』とか思っていてもさ
何も可愛い女の子(推定年齢と胸のでかさは私よりも年上だけど)の死体買うほど落ちぶれていない!多分!!
とか(心の中で)叫んでいた時、私の家のインターホンが鳴る。
私はとりあえず死体を隠して、『李下で冠を正さず』の精神で(使い方が違うのは今気付いた)
平常心を装ってって、これじゃ丸きり犯罪者ねぇ……。
そして、私はドアを開けました。
『はーい』
バーン。
銃声。
いや、早過ぎる。確かに先手必勝とか言う言葉あるけどさ…。
ドア開けた瞬間心臓を貫く銃弾がって……、私の人生(たった今終わったけど)ネタばかりやねぇ……。
とまぁそんな事があって、私は意識を失った。
グッバイマイ人生。私亡き後は私の胸を揉んでゲームする変態男が出現する事でしょう。私胸無いけどな。
と、私は此処まで、とりあえず隣にいる死体さん(名前は香数悠美ちゃん、年齢は16歳とか?)に話終えた。
『んで、私は目覚めたわけ』
『……、清水さん、面白すぎ…
私は普通に道端歩いてたらナイフでズサっなのに……』
全裸にされ、内臓が殆ど奪われ、残った内蔵も外に露出して、心臓も脳味噌も無い体。
それなのに、私と、隣にいる悠美ちゃんは生存している。
…御免、死んだのに生きてるのはゾンビだよね?
『でもさー』
悠美ちゃんが自分の腸をブンブン回しながら話掛ける。…そう言う事はやめなさい。
大事な大事な内臓だよ?私は胃しか残って無いけどね♪
大事にしないのならその腸くれ、マジで。
『聞いた話だけど、胸の大きい子は改造されて、ゲーム機にされてるらしいんだけど
……あんな気持ち悪いの、誰が買うんだろうね?』
…ああ解ってる、解ってるよミスター。
どうやら私は悠美ちゃんに言わせれば『気持ち悪いのを買う女』らしい。
くっ!やはりレズは世間から見れば異端者の集まりなのか!そうなのかミスメリー!!
とまぁ、私は今、あのゲーム機が死体だと解ったから殺されて
悠美ちゃんは美人だから殺された。…この差は何?
悠美ちゃんによると私も結構可愛いらしいけど、何だかなぁ〜…。
そして、何だか知らないけど、目覚めた時には死体を冷凍して保存してる冷凍庫の中。
その死体置き場でモソモソと動いてるのがいたから話掛けたのが、悠美ちゃんだったわけ。
大腸とか心臓とか骨とか、とりあえず人間の体の中身が詳しくないと解らない赤い物が大量に落ちている屋敷。
私と悠美ちゃんは、これからゾンビ生活を始めるわけだが
それはまた別の話です。ええ、別の話……。
*このお話はSS作家の奈須野雪葉さんが書いて下さったモノです。ゲーム機お姉ちゃんの番外編というか、そんな雰囲気の作品になっております。
私の絵だと、弟の所に戻っていくのですが、このお話だと、ちょっとレズ入った少女の所に…うふふ。
それにしても猟奇苦手なわりにちょっと猟奇入ってますね?慣れてきた?
感想などありましたら、BBSに書き込んで頂ければ奈須野さん、非常にやる気アップしますので宜しくお願い致します。