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【政治】

65歳以上、国保に加入 廃止後の高齢者医療新制度案

2010年3月7日 朝刊

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 厚生労働省が七十五歳以上の後期高齢者医療制度を廃止した後、二〇一三年四月に導入する予定の制度案の概要が六日、分かった。六十五歳以上は市町村が運営する国民健康保険(国保)に原則的に加入するが、国保の負担を抑えるため、財政運営の仕組みは高齢者と現役世代を別にする。

 七十五歳以上の高齢者の保険料は現行制度の場合と大きく変わらない見通し。厚労省は、今回の制度案を基に、今後窓口負担の在り方など制度の細部について検討する。

 厚労省は新制度の検討にあたり、六十五〜七十四歳の医療給付費の公費(税)負担を後期医療制度並みに50%まで拡大すべきか財政試算を実施。拡大した場合には国の財政を大幅に圧迫することが判明したため、公費の50%負担は現行のまま七十五歳以上に限定し、財政力が豊かな健康保険組合に負担を求める方針だ。

 新制度案は「六十五歳以上は国保に加入」を原則とし、保険証は現役世代と同じにする。厚労省は保険料の上昇を抑えるため、将来的に七十五歳以上については公費の割合を50%から引き上げたい考え。会社で働き続けている人については、健保組合などへの加入継続も検討する。国保の負担は八千億円増えるが、厚労省は公費で補てんする考え。

 保険料徴収などは市町村が担うが、財政責任は当面、引き続き都道府県ごとの広域連合が負う方向。

 財政試算は、厚労省が八日の高齢者医療制度改革会議で報告する。それによると、公費の50%負担を七十五歳以上にとどめた場合、六十五歳以上の医療給付費十七兆円(一〇年度予算ベース)の財源構成は公費32%、現役の支援金51%、高齢者の保険料17%−となる。

 仮に公費の50%負担を六十五〜七十四歳にも広げると、公費が新たに一兆二千億円必要で、国保も五千億円の負担増。50%公費の年齢拡大は難しい結果となった。

 

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