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きょうのコラム「時鐘」 2010年3月7日
各地方紙の編集者が集まる通信社の会議で、北海道の新聞社から苦情がでたことがある。「東京から送られる日本地図に最北端の稚内地域が切れている」と
20年以上も前の話で、以後そういう無神経さは消えた。が、先のチリ地震による津波警報のテレビ報道を見て思い出した。沖縄が日本海の島根沖や太平洋の高知沖に描かれる天気図が目立ったからである。あれは稚内が切れた地図と五十歩百歩だ 細長い日本列島を四角い画面に入れるために必要な「変形地図」かもしれないが、変形に見慣れていると、正しい日本の姿を思い出せなくなる。正しい場所に、正しい形で各都道府県が描かれている日本地図は意外に少ない。沖縄はその一番の犠牲になっている 日本を狭い島国とみるのか、広い海洋国家であると見るかで国家観も変わる。日本海を抱え、西の沖縄から南の鳥島、北の北方四島までの海域は雄大だ。チリ地震時のような地球規模の危機を伝える時の地図は、そうした配慮があってしかるべきだ 海洋国家日本の全体像を認識する機会をみすみす逃した。沖縄を犠牲にするのは、もうやめよう。 |