チリ大地震:韓国のワイン市場に影響

醸造場が崩壊し生産が中断、韓国での価格も30-40%上昇か

 「父とわたしが20年かけて積み上げた努力がわずか5分で崩れ去った」

 チリでワインの醸造を営むヒモレさんは、衝撃と悲しみで話をすることさえできなかった。

 ヒモレさんは、先月27日に発生した大地震による津波の被害を受けたコンスティトゥシオン郊外でワインを製造している。ところが地震の影響で、15万リットルのワインを保管していたタンクが壊れ、ワインがすべて流れ出てしまったのだ。ヒモレさんは「今も電話はつながらない。地震から二日後に仕事を再開したが、困難な状況は続いている」と述べた。

 先週末に発生した大地震により、チリではワインの生産がほぼ中断状態となっている。

 そのためチリ産の中低価格ワインの輸入が減少し、韓国でのワイン価格は、多い場合には30-40%の上昇が見込まれている。チリ・ワイン協会は現地時間の3日、「地震による被害に対する最初の調査では、ワイン貯蔵タンクのおよそ20%が崩壊し、数百万リットルのワインが流れ出した。最大で6億ドル(約534億円)の損害が見込まれる」と明らかにした。

 チリ産ワインは、95%が首都サンチアゴを中心としたチリ中南部で生産されている。これは、今回の大地震で大きな被害を受けた地域と正確に一致する。

 チリ・ワイン協会によると、ほとんどのワイン工場では電力が途絶え、醸造工場は稼働の中断を余儀なくされている。また、道路が破損して物流もまひしている。ブドウ畑の被害は正確に把握できていない上、工場従業員の自宅も多くが被害を受けた。

 チリ最大のワインメーカーであるコンチャイ・トロ社は、「復旧作業のために1週間にわたり生産を中断する。今回の地震で今年のワイン生産は8%ほど減りそうだ」と発表した。

 チリのワイン産業が大きな打撃を受けているため、韓国に輸入されるチリ産ワインの価格も上昇するとみられる。

 関税庁によると、韓国チリ自由貿易協定(FTA)が締結された2003年には、韓国のワイン輸入額でチリ産が占める割合はわずか6.5%だった。ところが、08年には17.8%に高まり、現在はフランス(39.5%)に次いで2位に上昇している。ワイン輸入業者はチリの取引業者と連絡を取りながら、現地の状況把握に努めている。チリ産ワインの「モンテス・アルファ」を輸入するナラ食品の関係者は、「チリでは電気や道路など、ワイン生産に必要なインフラのほとんどが被害を受けているため、状況を注意深く見守っている」と述べた。あるワイン輸入業者は「今のところ、チリ産ワインの在庫が残っているため、それほど問題はない。しかし在庫がなくなる5月か6月ごろには、消費者価格が30-40%ほど上昇するだろう」と心配している。とりわけ今回の地震による影響は、高級ワインよりも中低価格商品の間でより広がっているため、韓国の大型スーパーでよく売れている5万ウォン(約3900円)以下の中低価格ワイン市場に大きな影響が出ると見込まれている。

金承範(キム・スンボム)記者

サンチアゴ=趙儀俊(チョ・ウィジュン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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