【社説】創刊90周年に北の兄弟姉妹の苦難を思う(中)

 このようにさまざまな形で命脈を保っていた、朝鮮民族更正と再生に向けた努力と方策は、1934年の方応謨(パン・ウンモ)社長時代に、「正義擁護」「文化建設」「産業発展」「不偏不党」という朝鮮日報の社是として掲げられ、その社是は1940年に日帝により強制廃刊されるまで、朝鮮日報を支える精神的支柱としての役割を果たした。その精神は解放を経て今日に至るまで、今も連綿と受け継がれている。

 韓国国民は過去90年にわたり、数々の精神的苦痛を克服してきた。他民族による圧迫と隷属の鎖、解放後政府が樹立される時期の左右のイデオロギー陣営による流血の対立、同じ民族同士が銃を向け合った韓国戦争(朝鮮戦争)の悲劇、宿命のごとく数百年にわたり続いた貧困の桎梏、いかなる分野においても後ろから数えた方が早かった後進国のくびき、韓国で民族主義を叫ぶのはゴミの上にバラが咲くのを願うようなもの、とあざ笑っていた独裁の辛酸などだ。しかし大韓民国は2010年を迎えた今、強力な国力を持つ先進民主独立国としてこれらの苦しみを克服し、21世紀の第一歩を踏み出している。

 長い苦難の歳月を経て、韓国の国民は「韓国的」という言葉に「本物ではなく偽物」「時代後れの後進性」という意味があることを知らないうちに認め、それに慣れてしまっていた。「独裁」が「韓国的民主主義」へ、「手段と方法を区別しない蓄財」が「韓国的資本主義」へ、「地域対立をあおる政治」が「韓国的政治工学」として闊歩(かっぽ)してきた時代があまりにも長かったからだ。だが今やわれわれは、「韓国的」という言葉に込められた不名誉な意味合いを振り払い、「韓国的」という言葉の名誉挽回を図らなければならない。「韓国的保守革新政治」が「改革する保守と省察する進歩」との出会いを、「韓国的機会平等」が「不平等の世襲化をなくし調和した社会」を、「韓国的労使関係」が「相生しつつ共に養い合う協力の労使関係」を意味するよう、国の枠組みを改めて組み直さねばならない。バンクーバー冬季五輪で19歳のキム・ヨナ選手が氷上で華麗に舞い、夢のような回転により一輪の春の花が美しく咲き誇るように、「韓国的」という言葉が「世界のスタンダード」を意味する時代へと突き進まなければならない。われわれが強大な国力を持つ民主独立国「大韓民国」に見合った新たな価値観を持って、精神面で再武装するとき、われわれは過去65年にわたり民族を二つに切り離し、今も立ちふさがる「分断の壁」を取り壊すカギを手にすることができる。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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