【社説】創刊90周年に北の兄弟姉妹の苦難を思う(下)

 休戦ラインの向こう側では、「北朝鮮式社会主義」「金日成(キム・イルソン)一族による革命の伝統」という「後進的な虚偽の体制」の下で、今もわれわれの兄弟姉妹たちが苦しみあえいでいる。その地では、幼い子供が1歳になる前に死亡する割合が韓国の10倍を超える。北朝鮮の成人男女の身長は韓国の中学生よりも低く、民族の矮小化現象が10年以上も続いている。飢えから逃れるため鴨緑江や豆満江を渡り満州、モンゴル、ベトナム、タイなどをさ迷う脱北者は、今や想像もできない数に上る。北朝鮮女性や子供たちは、わずかな金で中国人の妾や奴隷として売り飛ばされている。このように、まともに目を開けて見ていられないような悲惨な光景は、今この瞬間も起こっているのだ。そんな彼らを「北朝鮮住民」という他人行儀な言葉で呼ぶことは、これ以上許されない。忍び足で泥棒がやって来るように統一が実現する日には、大韓民国国民として抱きかかえなければならない兄弟姉妹たちだ。

 われわれは北朝鮮が手にしている核兵器やミサイルだけでなく、この未来の大韓民国国民たちが強いられている人間以下の苦痛に対しても、目をそらさず正面から見つめ、その苦痛を和らげるための対策を立てなければならない。われわれが未来の大韓民国国民の状況を改善する道を切り開くことができないのであれば、強大な国力を持つ民主主義国「大韓民国」の栄誉も半減してしまう。朝鮮日報は10年後の創刊100周年を前に、90周年を迎える今、統一の日に備える国家的、国民的対策の樹立を強く求めると同時に、2300万人もの北朝鮮住民の苦痛を和らげる民族的、歴史的、人道的課題にあらゆる力を投入していくことを、ここに宣言する。それが朝鮮日報をこの世に送り出し、今日に至るまで育て上げてくれた7200万人の南北同胞に恩返しする道であり、また21世紀の大韓民国と大韓民国国民が再び世界に羽ばたく準備のための作業であることを、固く信じているからだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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