名門ジム会長が果たした日本人3人目の殿堂入り。

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名門ジム会長が果たした日本人3人目の殿堂入り。

前田衷 = 文
text by Makoto Maeda
photograph by Sumio Yamada

 帝拳ジムの本田明彦プロモーターが米国のボクシング殿堂入りを果たした。過去に日本人で選ばれたのは、選手部門でファイティング原田こと原田政彦氏がいるが、関係者部門では初めてである(他にジョー小泉氏がジャーナリスト部門で選ばれている)。

 このスポーツの殿堂は米国の「世界ボクシング殿堂」と「国際ボクシング殿堂」の2つが有名だが、本田氏は間を置かず双方から選ばれたのだから、これは快挙である。12月に発表された後者は正確には'09年度の殿堂入りで、6月ニューヨーク州の「名誉の殿堂博物館」で催されるセレモニーで、選手部門のレノックス・ルイスらとともに正式に殿堂入りする。

 本田氏は世界王者2人を含む計7人の現役王者を抱える(12月15日現在)名門ジムの代表であり、業界の実力者としても知られる。今回の殿堂入りは、「世紀の番狂わせ」となったタイソン対ダグラス戦など、国際プロモーターとしての業績を評価されてのものである。

 これまで手がけた世界王者は、国内は大場政夫、浜田剛史、ホルヘ・リナレス、そして西岡利晃と4人になるが、海外の契約選手を加えると10人を超す。24連続KOのエドウィン・バレロやヘナロ・エルナンデスらの著名王者もいる。「今後は殿堂入りするような選手を育てたい」とコメントしていたが、これまで育てたなかから殿堂ボクサーが出る可能性も高い。

 近年日本のボクシングジムの代表も政界同様「世襲」が珍しくないが、政界と違うのは“親の七光り”でメシが食えるわけではないこと。そんななか2代目で本田氏ほどの成功者はいない。「天皇」と呼ばれた父の死を受け17歳で名門ジムの会長となってからおよそ半世紀。この間、父・明氏がついに果たせなかった世界王者育成の夢を実現しただけでなく、海外にも太い人脈を築き、業界の羨望と憧憬の的となった。この世界で辣腕を揮うようになったのは、その卓越した才能と実行力、国際センスゆえだろう。

 忙しく世界を飛び回る一方で本田氏は、日本にいれば夕刻欠かさずジムで選手の指導に当たる。世界王者の西岡から少年練習生まで精力的に注意を与える姿には徹底した職業意識を感じる。同時に「もともと指導するのが好き」(浜田剛史)でなければ務まらないことに違いない。

(更新日:2009年1月6日)

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