鳩山政権が新年度からの実施をめざす高校無償化で、鳩山由紀夫首相が示唆した朝鮮学校除外の方針が揺れ始めている。首相が朝鮮学校の生徒と面会する意向を示したため、文部科学省内には方針転換があり得るとの見方が出始めた。与党内では除外に反対する動きも出ている。
川端達夫文部科学相は5日の衆院文部科学委員会で、「(朝鮮学校を)排除するという立場で検討しているのではない」と答弁した。無償化から除外するかどうかと詰められても明言を避けた。
その背景には、首相発言の揺れがある。
先月25日、首相は記者団に除外を示唆。文科省はその方向で最終調整に入った。首相は翌日も同趣旨で発言。「方向性を変えればブレたと批判される。方向性は変わらないのではないか」(幹部)との見方が広がっていた。
しかし、首相の2日の衆院予算委員会での発言が、省内に波紋を広げた。
「子どもたちにお会いすることは、私としても大いに結構だと思っている」。除外に反対する社民党の阿部知子氏の質問に、朝鮮学校の生徒と会うことを明言したのだ。首相は5日も「阿部議員から言われているので、検討している」と語った。
首相の「面会」発言後、幹部の一人は「面会後に風向きが変わる可能性がある。生徒と会えば『除外します。あきらめて下さい』とは言えないのではないか」と語った。面会は実現するのか――。与党が来週にも法案の委員会採決を目指すなか、省内はじっと行方を見守る。
首相発言の揺れをめぐり、与党内にも動きが出てきた。社民、国民新両党は5日の定期協議で、朝鮮学校を対象に含めることに賛成で一致。国民新党の自見庄三郎幹事長は「在日外国人の地方参政権には反対だが、(無償化は)子どもの話だから社民党に歩み寄った」と語った。