March 01, 2010
【モリタポ祭 テキスポカフェ賞発表!】
テキスポの3行ラブレターバトルの投票・審査と平行して、某巨大掲示板の創作系の板でいわゆる祭と呼ばれる創作コンペが行われていました。
主催者がテキスポ作家さんであり、参加者にもテキスポ作家さんが複数存在しているということで、あくまでも協賛という形ではありますが当テキスポカフェも参加させていただきました。
幹事のひやといさん、参加者のみなさん、お疲れさまでした。
さて、さっそくテキスポカフェ賞の発表といきたいのですが、その前に目に付いた作品についてひと言ふた言、感想などを述べさせていただきます。
◆『幽霊ビル』
次々にテナントが替わるある商業施設に勤務することになった「私」が、勤務初日に体験したちょっと怖い出来事。
規定枚数が上限5枚程度というところに8枚でのエントリーですが、この作品については圧縮可能な枚数だっただけに、そこが残念ではあります。
細部の書き込みに気を使っている部分は評価できますが、これはぜひとも5枚の作品として書き直してみてほしいです。それほど難しくないでしょうし。たとえば、ビルの来歴や「私」の赴任に関しては不可欠ですが、まとめて3行程度でおさめたほうがよいかと。
・この私というのは男性と思った読者も多いでしょうが、おそらく女性でしょう。
この辺の錯誤を防ぐ意味でも、どこかにひと言だけでも性別が明確にわかる単語なりフレーズなりを入れたほうがよさそうです。
最近のアンケートによると、洋式トイレで座って小用を足す男性も増えてきているようですし、「尿意を感じて便座に座って~」だけでは不十分かと思われます。
・「私は大学を卒業後、とあるアパレルに入社した私は、」など、推敲不足な部分が散見されます。デパートのゴミ置き場が地下3階というのもちょっとどうかなと。
◆『椿』
5枚ちょうどにまとめたのはいいのですが、この作品についてはちょっと舌足らずというか、分かりにくいなあと先ず思いました。
要は、人の死相が見える少女が、死の間際に幽体離脱してきた老人に導かれて、臨終の床にある老人に椿の花を手向けに行くという話なんでしょうが、この辺の見せ方に工夫がほしいです。
・「椿の花を摘み」
"摘む"のは草花で、椿は木(枝)だから"手折る"などのほうがいいかと。
◆『ファミレス午前5時』
けっこう頑張って書いたなという印象ですが、ひと言でいうと必要かつ十分なリアリティが不足しています。
少なくとも「日常の中の非日常」を描きたいのならリアリティには拘るべきです。
普段から目に映る風景に対しての観察眼を鍛えてください。ブエノスアスレス~は何気ない記述が、実は非情に意味をも持っていたりするわけで、これではタイトルの引き合いに出された藤沢周が泣きそうです。
これはパルプ・フィクションというよりは、むしろ身の回りを舞台としたコージー・ミステリの要素を含んでいるのではないかと思います。
"コージー"にとって不可欠であり、かつもっとも重要なのは「日常性」で、主人公たちはごく普通の生活者です。お客さんのことをあれこれ詮索もしたいけど、眠いしサボりたいし、友だちのメールにも返メルしたいし、明日は休みだけど予定もないから、誰か誘ってみようかと思うけどだるいから眠っていたいしなど、とりとめのないことを考えている、そんな日常です。
本作は、物語の「序章」としてならかなり興味が持てます。コミカルなテイストでもいいし、或いは同僚が実は~だった、わざと奇異なかっこうで印象付けたのは~、などというどんでん返しもいくらでも盛り込めますし、どのようにでも味付けができます。
※パルプ・フィクション=三文雑誌。大衆犯罪小説誌。
◆『銭湯』
トリビアっぽいものが入っていればもっとよかったかもしれないのですが、作者氏の前作『ウォーホルの雪だるま』に比べたら手抜き感は拭えませんね。
単なる駄洒落ノリでは作者氏の力量からいえば少々物足りないのではないかと。ウォーホルのほうも、実はラストはあまりよくなかったのですが。
◆『雨』
これは前半の感じはよかったんですが、後半は妄想全開の自慰小説になってしまったようですw
ちなみに、前半の感じまでならテキスポの某女性作家さんが似たようなものを書いていてそちらはキュートな恋愛小説になっています。
◆『彼の背中』
冒頭がもっとなんとかならないかなと思いました。これだけの行数を割くならば、二人の関係がよく分かるように描かないと、掌編としてもったいないです。的確な描写と語彙の選択でいくらでも引き締まった作品になるのに、ほんとにもったいない。
設定もありきたりで新鮮味に欠ける気がしました。
◆『カリフォルニア・ロマンス・ビーチ』
文章のリズム感を大事にするなら、メリハリというか緩急をつけたほうが効果的だったかと。
これはラストですべてが台無しになっている気がします。
◆『春雷』
HIV陽性と知ってうたた寝をするというのもどうなんでしょう。少なくとも、ショックが大きくて茫然自失となっている切実な感じはしなかったです。
タイトルが「春雷」ならば、もっと衝撃的な出来事として捌いたほうがよかったんじゃないでしょうか。
◆『贖罪の川』
斬新さもなく、タイトル、オチ、文章、……失礼ながらいいところを探せませんでした。
主人公は少女に対して何の贖罪もしていないどころか、いまだに冒涜し"殺し"続けているわけですから、読後感も当然ながらよくないです。
というわけで、選考にはかなり苦労しましたが……
☆★☆テキスポカフェ賞☆★☆ を発表します!
最終的には幽霊かファミレスかとなったのですが、枚数についてあえて言及していましたので、今回は『ファミレス午前5時』 とします。
この話をもとにミステリを一本仕上げてみてほしいなという期待込みです。
もちろんZouの勝手な期待ですので、スルーしていただいてけっこうです^^
■作者さまはお手数ですが、コテ名でも作品名でもどちらでも構いませんので、モリタポ口座とテキスポアカウントの手続きを行ってください。
・準備ができましたらテキスポの「staff-Zou」までご連絡ください。
・その他質問等がありましたら、このテキストにコメントを残してくださってもけっこうです。
・コメントは投稿時は非公開ですのでご安心ください。
・twitter でしたら @texpocafe でZouが見つかると思います。
以上、よろしくお願いします。
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この記事へのコメント
ウンチテーゼにしたかったんだよねぇ。
あの前半のまま終わらせないから駄目だと、単なる妄想爆発の自慰ストーリーだと、何が駄目なのかを教えてもらわないと、何にもわからない。
テキスポにいる誰かと同じようなキュート(笑)な恋愛小説に仕上げなきゃ“駄目”なの? 小説ってそんなつまんねえの?
>雨とかは純愛(笑)とか春樹臭とかの
ウンチテーゼにしたかったんだよねぇ
なるほど。
>あの前半のまま終わらせないから駄目
ダメだとはいってませんが、もったいないとは思います。
>単なる妄想爆発の自慰ストーリー
読者を意識しない、読者不在の作品はあまり好ましくないと個人的に思っています。
>テキスポにいる誰かと同じようなキュート(笑)な恋愛小説に仕上げなきゃ“駄目”なの?
繰り返しになりますが、「駄目」とか「こうしろ」とは言ってないつもりです^^
人と同じものを書く必要などまったくありませんが、短い作品ですから、一貫性があるほうがいいとは思います。
twitterのほうも読ませていただいてましたが、現在非公開になっているようですので、続きはテキスポメールにてお話したいと思います。
以上、よろしくお願いします。
Zou
ツィッターはたぶん見れると思いますよ。テキスポメールはどこで見たらいいのかわかりません。
ひと言でいうと「考えすぎ」ですね。
とりあえず誤解が解けてよかったです!
・実はツィッターはそれほど熱心に見ていないので、
Zouがリアルタイムで読んでいると思わないほうが
正解だと思います。
・テキスポメールはテキスポに登録しているメアドに届きます。