Amazon Digital Text Platform(DTP)は誰でも本を電子出版できるプラットフォームです。Amazonの電子書籍リーダーであるKindleを通じて世界の読者に販売が可能です。販売はKindleのコンテンツを販売するKindleストアで行われます。ここでは、Amazon DTPの使い方について解説します。

ただし、現在(2009年10月)は米国の銀行に口座を持っていなければコンテンツの販売はできません。日本語が入ったコンテンツも販売できません。しかし、近い将来きっと日本でもこのような仕組みが現れるはずです。

Index

第1部
1-1 出版のためのサイン・イン
1-2 ダッシュボード
1-3 DTPでコンテンツを出版する
1-4 My Reports
1-5 フォーマット

第2部へ
2 KindleのためのHTMLタグ

1-1 出版のためのサイン・イン

https://dtp.amazon.com/mn/signinにアクセスします。すでにAmazon.comのアカウントを持っている場合には、それを使ってSign In(ログオンのこと)します。持っていなければSign Upボタンを押して新規登録します。

Sign Upも簡単で、名前、メールアドレス、パスワードを入力するだけです。


1-1 出版のためのサイン・イン
1-2 ダッシュボード
1-3 DTPでコンテンツを出版する
1-4 My Reports
1-5 フォーマット

1-2 ダッシュボード

サイン・インして現れるダッシュボードは色々な情報を表示する画面です。出版物(コンテンツ)をアップロード、出版、管理したり、詳細なトランザクション・レポートや支払いに関する情報を見ることができます。ダッシュボードには次の3つのタブがあります。

My Shelfタブ:このタブはコンテンツや読者に提供する情報をアップロードすることができます。コンテンツのすべてを管理することができます。

My Reportsタブ:あなたの本がどれくらい売れているか、利益の履歴も見ることができます。

My Account:あなたの出版社と銀行口座の情報を入力します。この入力はコンテンツをパブリッシュする前に行う必要があります。

My Shelf

My Shelfタブは、コンテンツのアップロード、パブリッシュ、あなたのすべてのコンテンツの管理を行うところです。ここでは、読者がコンテンツを検索するときに役立つ詳細な情報をアップロードすることもできます。たとえば、著者名、分野、宣伝文句、価格なども含まれます。アップロードしたものはこのMy Shelfで一覧表示されます。

コンテント・リスト

コンテント・リストは次のようなもので、アップロードしDigital Text Platformを利用して変換されたコンテンツが表示されます。このリストはフィルターによって並べ替えができます。次の画面で言えば、フィルターはTitle欄の三角マークのことです。ここをクリックするをアルファベット順に並べかえられます。

Staus欄はパブリッシングの過程でどのような状態にあるかを示すものです。

Live:コンテンツはパブリッシングされ、Kindleストアにある状態です。

Ready:この状態は必要なステップは終わっているが、パブリッシングが行われていない状態です。PublishをクリックするとLive状態になります。ステータスがハイパーリンクの状態になっている場合には、このアイテムは以前パブリッシュされているが変更されていることを示します。Live状態にするには再度Publishをクリックします。

Draft:コンテンツはアップロードされましたが、Readyになるには少し作業が必要なものです。Statusがハイパーリンクになっている場合には、このアイテムは以前パブリッシュされているがアップデートされていることを示します。Live状態にするには、残っている作業を完了させ再度Publishをクリックします。

ソート・コンテンツ

コンテンツをソートするにはリストの上のカラムのところをクリックします。

Title:題名でアルファベット順に並べます。 (▲A-Z; ▼Z-A)

Auther:著者の名前でアルファベット順に並べます。 (▲A-Z; ▼Z-A)

Status:状態の順に並べます。(▲Draft/Live/Ready; ▼Ready/Live/Draft)

Publication Date:出版の年月日によって順番に並べます。(▲昇順; ▼降順)

フィルター・コンテンツ

フィルターオプションはドロップダウンのメニューになっており、ここで選んだ状態のものだけを表示します。選べるものはLive、Ready、Draftの3つです。

サーチ・コンテンツ

キーワードを入力すると、タイトル、説明文、著者名などから合致したものを表示します。


1-1 出版のためのサイン・イン
1-2 ダッシュボード
1-3 DTPでコンテンツを出版する
1-4 My Reports
1-5 フォーマット

1-3 DTPでコンテンツを出版する

出版は以下の3つのステップで行います。

  1. ステップ1:商品の詳細(題名、著者、日付など)を入力する
  2. ステップ2:コンテンツをアップロードし、プレビューで確認する
  3. ステップ3:価格を入力する

dtp.amazon.comでSign Inしたらダッシュボードが表示されます。そこには次のようなAdd new itemボタンがあります。

Add new itemボタンを押すと次のようにNew Title 1という題名のアイテムが追加されます。その中には1から3までのステップが表示され、それぞれの状態が表示されています。Xマークがついているのはそのステップの手続きが終了していないということです。これがレマークに変わると完了したことを意味します。一番右のPublishボタンはすべてのステップが完了するまで押せる状態になりません。


ステップ1(商品詳細の入力)

ここでは商品に関する詳細な情報を入力します。*マークが付いているところは必須入力です。それ以外は入力しなくても構いません。表紙のイメージ画像を入力することもできます。ここで入力した内容はKindleストアで表示されます。これらの入力欄にはHTMLタグを含めることはできません。入力が終わったらSave entriesボタンを押して情報を保存します。

ISBN

アップロードする商品がISBN(International Standard Book Number)番号を持っているなら、それを入力します。なければ入力しません。

Title/題名 (必須)

コンテンツの題名を入力します。もしシリーズものの一部なら、あとで「シリーズの題名(series title)」と「ボリューム ナンバー(volume number)」を入力します。シリーズの題名とボリューム ナンバーは片方でも両方でも構いません。

Description/解説

コンテンツの説明です。読者から見ると一番重要なことだと思います。本の「はじめに」に書いてあるようなことを入力します。

Publisher/出版者

出版社の名称を入力します。ここには会社名や個人名を書きます。

Language/言語

コンテンツの言語を指定します。デフォルトは英語です。

Pub Date/出版年月日

もしこのコンテンツがどこかで以前に出版されたものなら、その発行日を記入します。それ以外の場合には、出版手続きが済んだ時点でKindleストアが自動的に日時を設定しますので入力は不要です。たとえば2009年10月5日なら10/05/2009と入力します。カレンダーアイコンをクリックすると日にちをピックアップすることもできます。

Categories/分野

コンテンツがどの分野に所属するものなのか、そのカテゴリーを入力します。最大5段階の詳細カテゴリーを入力できます。

右のAdd/Editボタンを押すとAmazonが持っているカテゴリーの一覧が表示されて、そこから選択することができます。

Authors/著者 (必須)

著者名を入力します。ほかに編集者、イラストレータ、翻訳者など多数入力できます。最小限、著者名は必要です。

右のAdd/Editボタンを押すと入力ができるようになります。

Search Keywords/キーワード

キーワードを入力します。キーワードはカンマで区切って最大7個まで入力することができます。読者はキーワード検索でコンテンツを探します。

Edition Number/版数

第何版かを示すものです。版数、バージョンを入力します。もし最初の出版なら1と入力します。2版目なら2です。

Series Title/シリーズ名

コンテンツがシリーズもののひとつなら、そのシリーズ名を入力します。

Volume Number/ボリューム番号

雑誌や新聞などはvolumeナンバーという番号が付けられることがよくあります。必要ならそれを入力できます。

Product Image/表紙イメージ

表紙の画像を入力することができます。表紙は読者の興味を引くための重要な要素です。使用できる画像フォーマットはTIFF(.tif/.tiff)、JPEG(.jpeg/.jpg)です。サイズは長手方向は最小で500ピクセルです。最小1200ピクセルを推奨します。詳細はAmazon's product image requirementsをご覧ください。

Upload Imageボタンを押すとアップロードする画像ファイルを選択することができます。

商品詳細の変更

商品詳細はいつでも変更することができます。変更するにはコンテンツを最初にアップロードしたときと同じようにダッシュボードのMy Shelfタブをクリックし、変更したいコンテンツのEnter Product Detailsを+マークをクリックすることにより展開します。次の画像はMy Storyという本の登録内容を変更する例です。

Enter Product Detailsを展開すると入力したときと同じ入力欄が表示されますので、必要なところを変更します。最後にSave entriesボタンを押して変更を保存します。すでにPublishしたものなら、再度Publishボタンを押して更新します。

ステップ2(コンテンツのアップロードとプレビュー)

Enter Product Detailsが終了したらUpload & Preview Bookを行います。これはコンテンツのファイルをアップロードするのと結果を確認することです。

  1. はじめにコンテンツをあなたのコンピュータからDTPへ転送します。
  2. DTPはそのコンテンツをKindleで表示できるようにデータの変換を行います。
  3. 変換済みのコンテンツを確認することができます。必要に応じて手直しして再度アップロードすることもできます。

Amazon DTPは次のような数種類のフォーマットをサポートしています。しかし、いくつかのスタイルはDTPの変換過程で失われることがあることに注意が必要です。

  1. HTML
  2. 暗号化されていない.mobi eBookファイル
  3. マイクロソフトWordファイル(.docのみで.docxはだめです)
  4. プレーンテキスト(.txt)
  5. PDFファイル(.pdf)

もっとも最適なフォーマットは1つのHTMLファイルです。画像ファイルなどを含める場合には必要なファイルをZIPファイルを使うことです。HTMLファイルと画像ファイルは同じフォルダーに入れます。詳しくはフォーマット・ガイドをご覧ください。

コンテンツを製作する場合には最初からHTMLで作りたくない場合には、マイクロソフトのWordでつくり、別名で保存を選択しHTMLファイルにすることです。HTMLのタグはすべて使えるわけではないのでフォーマット・ガイドで確認してください。

Amazon DTPはマイクロソフトWordの.docファイルをサポートしていますが、アップロードする前にWordからHTMLに変換しておくことをお勧めします。Wrodの別名で保存で「フィルター後のhtml」「html」などで保存します。.docファイルでも大体の場合、問題なく変換できます。

プレーン・テキスト(.txt)ファイルもサポートされていますが、適切にフォーマッティングされていることを確認してください。Kindleはフォントサイズなどに応じて自動的にテキストの折り返しを調整してくれます。そのため、フォーマッティングは最小限にしたほうがよいのです。あまり細かく指定してもKindleによって変えられてしまうことがあります。改行を指定することはなるべく少なくしたほうがよいでしょう。段落ごとに改行を指定し、その他はKindleに任せます。

PDFファイルもサポートされていますが、PDFは規定されたサイズ、たとえばA4など、印刷に適したフォーマットなので、Amazon DTPにおける変換の品質は必ずしも保証できるものではありません。PDFデータは、テキストを実際の文字として保存するのではなく、図形として表現されたテキストを保存することも多いのです。Amazon DTPで使用できるPDFであるかどうかテストするには、そのPDFをAdobe Readerで開き、テキスト部分を選択してコピーし、テキストエディタやWordにコピーできるかどうか確認します。コピーできれば互換性があるということです。コピーできなければ変換できないということです。パスワードが必要な暗号化されたPDFファイルなどはAmazonではサポートされていません。

Amazon DTPでは、暗号化されていない.mobi拡張子のeBookファイルもサポートされています。無料のMobiPocket Creator(http://mobipocket.com/en/DownloadSoft/ProductDetailsCreator.asp)を使って作成したファイルをアップロードすることができます。MobiPocket CreatorはWordファイルやテキスト・ファイルを.mobiファイルに変換したり、PDFファイルをHTMLに変換したりすることができます。

アップロード

商品詳細を入力して、アップロードするコンテンツが用意できたらアップロードが実行できます。アップロードするとAmazon DTPがKindleで読めるようにデータを自動的に変換してくれます。アップロードは次の画面のようにUpload & Preview Bookを展開します。Media LocationのところでBrowsボタンを押してアップロードするコンテンツを選択します。

コンテンツが指定されるとUploadボタンが有効になりますので、それを押します。

アップロードが始まるとプログレスバーが表示されて転送と変換が行われていることを示します。

完了すると次のような状態になります。変換が成功したと書いてあります。

次にPreviewボタンを押して内容を確認します。Kindleのシミュレータが表われてその中にアップロードしたコンテンツが表示されます。フォントサイズなども変更することができます。この例ではコンテンツの最後のところにアップロードしたコンテンツには含まれてない文字があることがわかります。そこで、シミュレータの上のほうにあるDownload HTMLをクリックし、HTMLをダウンロードして手直しすることにします。

ダウンロードしたHTMLは次のようにZIP圧縮されていました。これを解凍するとコンテンツのHTMLファイルが得られます。HTMLのファイル名は自分が命名したものとは違っています。

少し手直しして再びアップロードしてプレビューしてみると正しくなっています。

ステップ3(価格の入力)

価格を入力します。ここで入力するのは希望小売価格です。これは読者がコンテンツの代金として支払う価格です。Kindleストアでコンテンツが売れた場合にはこの価格の35%があなたに支払われます。価格を設定したらSave Entriesボタンを押します。

以上のすべての入力が完了すると3つのステップのところにチェックマークがつけられ、Publishボタンが有効になり、Kindleストアにアップすることができます。


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1-4 My Reports
1-5 フォーマット

1-4 My Reports

My ReportsはSign Inしたダッシュボード画面でMy Shelfタブの隣にあります。ここでは最新のセールス状況や支払い状況について確認ができます。

View Month-to-Date Report

今月の売り上げ状況がわかります。

View Previous Months' and Year to Date (YTD) Reports

前月の売り上げと、当会計年度の始まりから現在までの売り上げを見ることができます。これらのデータは毎月15日に更新されます。


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1-5 フォーマット

1-5 フォーマット

DTPは次のようなフォーマットをサポートしています。中でもHTMLがもっとも最適です。というのもAmazon DTPはすべてのコンテンツをHTMLに変換するからです。

HTML (.html, .htm)

HTMLファイル単体でもOKですが、本には画像が入っていることも多いので単体のHTMLでは済まないかもしれません。その場合には次のZIP圧縮を利用してください。DTPは多くのHTMLタグをサポートしていますが、複雑なスタイルのオプションはよく変換できないものもあります。もっとも望ましいのはAmazon DTPがサポートしているタグだけを使うことです。HTMLの中でカスケードスタイルシート(CSS)やその他のスタイルを指定するものは避けたほうがよいでしょう。

Zipped HTML (.zip)

画像を含んだHTMLをコンテンツとしてアップロードする場合には、すべてのファイルをZIP圧縮します。すべてのファイルは1つのフォルダーの中に入れます。入れ子のフォルダーは使わないようにします。

MobiPocket (.mobi and .prc)

電子ブックの.mobiファイルもサポートされています。暗号化されていないものに限ります。

Microsoft Word (.doc)

.docファイルをアップロードすることができます。DTPはこれをHTMLに変換します。できれは、WordでHTMLに変換してブラウザーで確認してからアップロードするとよいでしょう。

Adobe PDF (.pdf)

PDFもサポートされています。PDFデータは複雑であるということと、PDFが印刷に最適化されていることから、もっとも推奨されているフォーマットとは言えません。対応はできるという程度に思ってください。

Plain Text (.txt)

プレーンテキストも受付可能です。これもHTMLに変換されます。


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1-5 フォーマット