福岡県後期高齢者医療広域連合の設立に絡む汚職事件で、贈賄罪で起訴された添田町長の山本文男被告(84)=県町村会長=の進退をめぐり4日、同町議会(定数13)の臨時議会が開かれ、町長の不信任案は否決され、辞職勧告決議案は賛成多数で可決した。ただ同決議に法的拘束力はなく、町長が直ちに辞職する可能性は低い。
この日、町長は病気を理由に欠席。議会には全議員が出席し、冒頭、町政刷新派の議員が不信任案を提出。「事件により町のイメージがダウンした。続投ではなく、辞職して責任を果たすべきだ」と事件の責任を強調すると、町長擁護派の議員は「不祥事は私腹を肥やすためではなく、町村のための行為だった」と反対の声を上げた。
議長も加わった特別採決では賛成7、反対6で賛成が半数を超えたものの、地方自治法で定める出席議員の4分の3以上に達せず、賛成少数で否決となった。
直後に町長の辞職勧告決議案の審議を求める動議が出され、議事日程に追加。こちらは賛成6、反対6で可否同数となり、最終的に議長裁決で可決した。
町政刷新派の議員は閉会後に記者会見し、「町内からリコールの声が上がるのに期待する。われわれも可能な限り協力したい」と述べた。
山本町長は1日の記者会見で、町長職について「町民の意思に従う」とし、辞職勧告決議案が可決されても「人から言われて辞めることはしない」と言明。一方で3日には、県町村会の会長職務代理者の山本康太郎副会長(小竹町長)に、会長職の辞意を伝えている。
●不信任と辞職勧告
地方自治体の議会で首長の不信任案の可決は、議員の3分の2以上が出席し、かつ4分の3以上の賛成が必要。可決されると、地方自治法に基づき、首長は10日以内に議会を解散するか、失職かの選択を迫られる。議会解散の場合、40日以内に議員選が行われ、改選後の議会で再び不信任案が提出されれば、今度は過半数の賛成で可決。首長は直ちに失職し、50日以内に首長選が行われる。一方、辞職勧告は出席議員の過半数で可決され、法的拘束力はない。
=2010/03/04付 西日本新聞夕刊=