市民の暮らしにかかわる大切な審議はどこに-。鹿児島県阿久根市議会を2日間連続で空転させた竹原信一市長に対し、市民の間には5日、「困った人だ」「もう(市長を)代えるしかない」と怒りや戸惑いの声が広がった。議会は予算案など重要案件を審議できず、同日に傍聴席に姿を見せた市民も皆無だった。
「何かやってくれると期待していたが。開いた口がふさがらない」。これまで2度の市長選で竹原市長を応援してきたという70代の自営業男性はうんざりした様子。「予算案も審議できないのでは、残念だが市長が代わるしかない」
市役所そばの衣料品店の女性は「困った人。それしかありませんね」。スーパーに買い物に訪れた女性(80)は「(市長のマスコミ批判と議会出席拒否は)障害者を傷つける自分の言葉から始まったことでしょう。もっと自覚を持ってほしい」と求めた。
竹原市長の後援会長の須崎和馬さん(79)も「議場に出て、きちんと説明する以外にない」と苦言する。保育料やごみ袋費用の軽減など、竹原市政に期待している住民も多いといい「マスコミを気にせず、政策を進めてほしい。でも私が何を言っても聞く人ではないから」とあきらめ顔だ。
竹原市長の改革姿勢を支持してきた市民団体「阿想会」の松岡徳博会長(55)は「市長のマスコミ批判は今に始まったことではないが、逃げても解決しない。市長である以上、誤解を解く努力をすべきだ」と指摘。「すべてを敵に回しては市政は前に進まない。市民の誰も現状を望んでない」と話した。
=2010/03/06付 西日本新聞朝刊=