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東大、創立以来初の博士号取り消し 助教の盗用で

2010年3月5日

 東京大学は5日、トルコ人で大学院工学系研究科のアニリール・セルカン助教(36)に授与していた博士号について、他人の論文やウェブサイトからの盗用があったとして取り消したと発表した。旧帝大時代も含めた133年間で博士号取り消しは初めて。公称する経歴にも疑惑があり、特別委員会が調査を進めており、結果が判明次第、関係者を含めた処分を判断する。

 東大広報センターによると、アニリール助教は2003年に「宇宙空間で長期居住を可能にする軌道上施設に関する研究」と題した英文の論文で工学博士の学位を受けた。現在、助教が所属する研究室の教授ら5人が審査をした。

 論文の疑惑について外部からの指摘を受けて、今年1月に特別調査委員会を設けて調べたところ、376ページのうち、約4割にあたる149ページで文章や図表の盗用が確認された。「自らの創作物のように偽装した悪質な盗用」が11カ所、その疑いがある部分が10カ所見つかったとしている。取り消しは2日付。本人も盗用を認めているという。

 東大の浜田純一総長は5日、教員と学生向けに「前例のない事態が生じ、極めて遺憾。教育指導や学位審査のあり方に対し、厳しく反省を迫るものであると受け止めている」との文書を出した。

 アニリール助教は「トルコ初の宇宙飛行士候補」を自称しており、それを示すトルコ政府や米航空宇宙局(NASA)の偽造書類を東大に提出したほか、職歴や学歴、研究成果にも疑惑が指摘されている。

 アニリール助教は、昨年末から「体調不良」を理由に休職している。

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