第四の使徒襲来より3日後の休日―――、

 ミサトは事後処理に追われていた。

 シンジは掃除をしていた。

 鼻歌も混じりつつ、軽快に腰を振って掃除をしていた。

 4ビートが8ビートに、8ビートが16ビートにまでアップテンポする。

 通常は腰を横に振っているが、バスドラムの入るタイミングでは縦にグラインドさせていた。

 別に新しい脳の病気に罹ったわけではない。

 安心してくれ。

 2回の戦闘とも途中からの記憶があやふやになっており、その不安を抑える為に踊りつつ掃除をしているのである。

 けなげだ。

 ペンペンは近づいて来ようとしないが。





 外はあいにくの雨なので洗濯は出来ない。

 自分の部屋とリビングの掃除は終わってしまった。

 無論、トイレと風呂場の掃除もである。

 昼食の用意に取り掛かるにもまだ早い。

 手持ち無沙汰なシンジはミサトの部屋の掃除に取り掛かる事にした。

 家主は掃除が苦手であり、放っておくとまた人外魔境に華麗なる転身を試みるので定期的にシンジが掃除をしなければならないのだ。

 これはネルフから要請された正式な業務であり、人類の生存圏に留めておけば副司令から謝礼が貰えるのだ。

 そんなわけでシンジはミサトの部屋の掃除に取り掛かった。





 そして、




 一冊のノートを発見してしまった。





 そのノートには、





 『サードチルドレン監督日誌 サブタイトル 葛城ミサト愛と青春の日々』

 と、書かれていた。


私家版・新世紀エヴァンゲリオン
Japanese Gentleman Stand Up Please!

ACT.04
雨、逃げ出した後
あるいは
たまには息抜きくらいさせてよ


Writen by:MIYASOH



 ドクン



 ドクン



 ドクン



 ドクン



 ドクン



 ドクン



 心臓の音が妙に大きく聞こえる。

 (なんでミサトさんこんな物つけているんだ・・・・。しょうがないか、ボクはパイロットなんだ。その管理もミサトさんの仕事の一つだろうし・・・・・・、でも、でも―――)

 大きく息を呑み、意を決してページを開く。

(ひょっとしたらこれを読めばEVAの中にいる時のボクの事が分かるかも知れない・・・・・・)



○月×日(晴れ)

 今日からサードチルドレン(以下シンちゃんと勝手に呼称。許してね司令)と共同生活を始める。

 3週間ばかり掃除をサボっていた為、チョコ〜っと部屋が汚れていた。

 保安部に掃除を頼んでいたのだが帰宅までに間に合わなかったらしい。

 使えない奴らめ。



 結局徹夜で掃除をするハメに。





○月△日(嫌って言うほど晴れ)

 お掃除2日目。

 金髪マッド(モチ、リツコの事)が秘密兵器を持ってきた。

 感想:秘密にしといて欲しかった。



 シンちゃんが2回、メガネが3回爆発に巻き込まれた。

 ハットトリックね!ナイスよメガネ!!

 嫌な記憶を思い出して一旦ノートを閉じるシンジ。

 (こ、ここら辺は関係ないだろうから次の週に行こう)

 必死にあの悪夢の一週間の記憶を封印しようとするシンジ。



△月☆日(外は眩しいサンシャイン)

 やっとシンちゃんもまともに学校に通える様になった。

 でもなんか黒ジャージの子とケンカをしたらしくてチョット心配。

 ケンカの事を話してくれなくてチョットさみしい。

 昼休みに金髪マッドにその事を言ったら「保護者に秘密を持つようになるのも成長の一つよ」と言い返された。

 正論過ぎてむかついたのでチョップを食らわしといた(手屁)。

 昏倒している隙に定食のエビフライを勝手に頂く。

 美味しかった。



 夕飯はサバの味噌煮。ビールに合うので嬉しい。

 1号が勝手に食っていた。

 あれは美味しかった。

 (!・・・・・・トウジとケンカした事まで知られてる!・・・・・・・プライバシーなんてないって事か?)

 チラリとワタクシ(ナレーター1号)の方を見るシンジ。

 (・・・・・・・ああ。この人がいたんだっけ。そりゃ知ってるか)

 諦め顔で溜息をつくシンジ。

 なんだその人生昭和枯れススキって顔は!?

 そんな顔していると幸せがBダッシュで遠ざかって行くぞ。

△月@日(晴れてるわよコンチクショー!!)

 シンちゃんの方は何の問題もなく学校に通っている。

 問題はワタシの方だ。

 今日、メガネがナニを考えたか知らないがハーフパンツで出勤してきやがった。

 スネ毛がなかった。

 シンちゃんくらいの年の子ならツルンとした足でも可愛いが25過ぎた男が未だノー・スネ毛ストだとムカツク。

 わざわざ自分で処理していると思うともっとむかつくけど一応確認してみた。

 「ええ、自分で処理してるんですよ。カミソリで剃ると濃くなっちゃうんでやっぱり薬品で溶かす方がイイですね。次のボーナスで思い切って永久脱毛・・・・・・・」

 言い終わらないうちに延髄斬り。



 メガネがチクったらしくデカ親父(テンシュウの事よ!)にチョップされる。

 腹が立ったのでこっそりリツコの部屋からパクった謎の薬品を2人のコーヒーに混ぜておいた。

 そうしたら緑色の体液を吹き出しながら痙攣したのでチョット引いた。



 案の定次の日メガネとデカ親父は欠勤。

 今日もビールが美味かった。

 シンジも引いた。

 (な、なんだこの日記は!『サードチルドレン監督日誌』とか書いておきながら圧倒的にミサトさん自身の行動の方が行数を稼いでいる!!しかもビールと食べ物とチョップばかりじゃないか!!

 しかも全然『愛と青春の日々』でもない。

△月〒日(晴れ的)

 今朝シンちゃんが登校途中第三中の生徒に絡まれたらしい。

 保安部の連中にお礼参りに行かせといた。

 モチロン、リーゼントに長ランよ!

 短ランなんてチャラいのは認めないわ!!



 保安部の連中が帰ってきたので長ランを借りてみんなで着てみる。

 ロン毛の奴が妙に似合っていたので写真を撮っておいた。



 午後に使徒が来た。

 なんか生理的にムカツク格好をしてたからシンちゃんにパレットガンで撃つように命令。

 効かなかったけどチョットスッとした。

 シンちゃんが特攻を仕掛けてなんとか勝利。

 途中命令を無視したのでお説教をしようと思ったがどうやらその時の記憶がないらしい。

 以外に猪突猛進な性格をしてるみたい。



 勝ったお祝いに副司令がウナギを奢ってくれた。

 ビールと一緒に流し込む。

 生きてて良かった。










副司令から

 葛城君、何時も書いているがシンジ君以外のことであまり行数を使わないように。

 碇の奴が不機嫌になるのだ。



 それにしてもあの鰻屋、気に入ってくれたのなら幸いだ。

 創業百年を超える老舗でセカンドインパクトの際も秘伝のタレを守り通したと言う私のお気に入りの店だ。

 これから祝勝会は毎回あの店にしようか?



 長ランと言えば、確か私の家に昔愛用してた白ランがあった筈だが、着てこようか?


 パタン



 シンジはノートを閉じた。

 「ああ、何時の間にか雨も上がったみたいだし、お昼食べたら洗濯物干しちゃおう。そうだ!午後からトウジやケンスケと一緒にゲームセンターにでも行こうかな」





 結局、シンジの現実逃避に拍車をかけるだけだった。



TO BE CONTINUED



 毎度どうも、作者のミヤソーです。

 えーと、今回はインターミッションみたいな話です。
 短くてスイマセン。
 原作と同じシーンはシンジがミサトの日記を発見する所だけですね。
 そうしますと残りは全部オリジナルですからどうしても力不足が露呈してしまいますね。
 頑張らなくては。

 次回は「レイ、心の向こうに あるいは 戦慄!不思議少女の不思議な実態」です。
 ついでに言うとナレーター4号(零号機エントリープラグ内担当)の正体募集の〆切りでもありますよ!
 今なら早い者勝ちですよ!!
 ACT.13「使徒、浸入」の回で全裸のレイと一緒にエントリープラグに入れますよ!!(たぶん)
 1人くらい応募して下さいよ〜!!

 それではまた次回お会いしましょう。

 今回のメッセージは綾波レイ嬢からです。
 「・・・・・・・・・次回の主役はワタシなのね。・・・・嬉しい(ポッ)」
 期待せずに待て!!



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