地方自治の現場で議員として7年間、様々な制度の不備を指摘してきたが、国で地方自治体においても「国益を無視した制度設計」と「悪意を持つ者が行うビジネスを排除する視点の欠落」が多く見受けられる。
具体的事例を一つ挙げると、現在支給されている児童手当(月額5千円か1万円)、来月から子供一人当たり毎月1万3千円、来年4月からは2万6千円が支給される子ども手当(以下、子供手当と表記)の支給対象が驚くべきことに「日本国内に住む外国人が養う子供が海外にいる際にも支給される」ことが有る。(
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しかも実子や養子に限らず「養育している子」という「形式」が有れば支給対象となる。子供手当が満額支給される平成23年度にはこうした対象への支給が荒川区では年額5千万円となる。
また、東京都の制度では一人親家庭に支給される児童育成手当(毎月1万3千5百円)も上記の手当に重ねて同じ対象に支給される。満額の子供手当と児童育成手当を合わせれば子供一人当たり約4万円が毎月受け取れる。(
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例えば物価水準が日本の数分の1から10数分の1の途上国において、浮浪児を10人「実際に養育している」形を作れば毎月約40万円が受け取れる。実費が10万円も有れば10人養うことは途上国では容易であり、30万円は粗利となる。また、もっと低コストなやり方としては、幾ばくかの小遣い金を渡し、浮浪児の名義を借りるだけで、都内に住む「養育ビジネス」主催者は毎月約40万円をほぼ満額受け取れる。
この「養育」に実態が有るかどうかは、区市町村が「公的書類」を元に判断をすることになるが、戸籍制度が存在しない国も含め200ケ国程度、それぞれバラバラな「公的書類」が子供の存在証明を含めた実態を反映した信頼に足るものか、また「これが偽造である」と確信を持ち判断をする材料が無いことを区の担当も認めている。
「実在の確認が不明な子供」への支給という問題に加え、何より、日本国の税金の使途として、国益を踏まえ、こうした子供への支給が妥当かという観点から考えると甚だ不適切、いや、異常と言える。
こうした事実が、大きく報道されることも、国民的議論も無く行われることに、良識有る国民、地方議員、国会議員と共に異議を申し立てねばならないと考えており、皆様には、地元議員への問題提起へ特段のご協力をお願いする次第である。そうして国民一人一人が個別の課題に声を挙げることを通じて、冒頭に指摘をした2つの問題点を無くしていくことに繋がると確信している。
荒川区議会議員 小坂 英二