【ワシントン=弟子丸幸子】米下院外交委員会は4日、第1次世界大戦中に起きた旧オスマン・トルコ帝国によるアルメニア人の大量殺害を「民族大量虐殺」と認定し非難する決議案を賛成23、反対22の小差で可決した。トルコは強く反発しており、外交関係の緊張が続く見通し。国連のイラン制裁決議を巡る議論にも影を落としそうだ。
決議案は1915〜23年に当時のオスマン・トルコがアルメニア人を大量に殺害したことを非難し、オバマ政権に「民族大量虐殺」と公式に言及するよう求める内容だ。トルコとアルメニアの主張に大幅な開きがある犠牲者数についても、アルメニア側の主張に沿って150万人とした。決議が採択されても拘束力はない。下院の本会議が採決を見送る可能性もある。
米政府は決議案がトルコとの関係の悪化につながることを懸念し、採決の見送りを議会側に働きかけてきた。3日には中南米訪問中のクリントン国務長官が下院外交委のバーマン委員長(民主)に電話して説得したが、採決を阻止できなかった。(13:08)