【テヘラン=吉武祐】オスマン・トルコ帝国末期の第1次世界大戦時に起きたアルメニア人大量殺害の歴史認識をめぐって、隣国同士でありながら対立、国交がなかったトルコとアルメニアの両外相が10日、スイスのチューリヒで国交樹立協定に署名した。
1世紀に及ぶ民族対立の解消へ向けた歴史的一歩を踏み出した形。だが、最終調整に手間取って署名式の開始が大幅に遅れ、対立の根深さをうかがわせた。
アルメニアは大量殺害を、民族の抹殺をねらった「ジェノサイド(集団殺害)」だったと主張する一方、トルコは「戦乱の中で起きた不幸。トルコ人も多数殺された」としており、歴史認識問題をめぐる和解はこれから。両国とも、国会の承認が難航する可能性も指摘されている。
署名式は現地時間の同日午後5時(日本時間11日午前0時)に始まる予定だったが、3時間以上遅れ午後8時15分に開始。米仏ロの各外相や欧州連合(EU)の代表らも待ちぼうけを食わされた。
トルコの民放テレビNTVによると、協定署名後に読み上げる両外相の声明の文言に、相手国がそれぞれ難色を示し、クリントン国務長官ら米政府高官が土壇場の調整に当たったという。結局、声明の読み上げはなかった。