80年代後半の日本では、「円高不況」を救済するために行なわれた低金利政策で不動産バブルが起きた。2000年代初頭のアメリカでは、ITバブル崩壊後の不況に対してFRBの行なった金融緩和で住宅バブルが起きた。同じころ日銀の行なった量的緩和によって円キャリー取引が起こり、資金がドルに流れ込んで住宅バブルを加速した。いずれの場合もCPIは落ち着いていたので、中央銀行はインフレを警戒しなかった。バブルはつねに人々の予想を裏切り、「別の顔」をしてやってくるのだ。
これから起こりうるバブルとしては、本書もあげるように新興国バブルと環境バブルが考えられる。特に後者は、政府がバブル形成の主役になっている点で深刻である。たとえば太陽光発電のエネルギー単価は原発の10倍だが、政府は電力の固定価格買取制度などによってこの非効率なエネルギーを支援している。また「エコポイント」などの補助金でハイブリッドカーなどの売れ行きが激増しているが、これは需要の先食いであり、補助金が切れると売れ行きが大幅に落ち込むだろう。
19世紀の鉄道バブルや20世紀初頭の自動車バブル、あるいは1970年代のPCバブルや90年代のインターネット・バブルなど、バブルは一時的には投機の過熱を引き起こしたが、長期的には次世代の産業に資金が流入して新しい企業が育つきっかけになった。しかし環境問題というのは一部の「エコロジスト」が騒いで政府が推進しているだけで、長期的にも無意味な「泡」にすぎない。
もう一つは国債バブルだろう。これは欧州の財政危機で、崩壊のリスクがかなり切迫してきた。金融担当相が「財政赤字はフィクションだ」と公言し、増税について首相や財務相の発言が二転三転する民主党政権が、この危機を管理できるかどうかは疑問だ。国債の日銀引き受けを求める人々は、デフレを止めるためなら財政が破綻してもかまわないと思っているのかもしれないが、今や焦点はデフレではなく財政赤字なのである。
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コメント一覧
何度もいいますが、複数の欄にまたがるコメントは、中身を読まないで削除します。
環境問題については、政策はおかしいのは同意です。
しかしながら、地球環境の変化は別問題ではないでしょうか?
特に極地の氷山の溶けるスピードは早く、ホッキョクグマ等も絶滅が危惧されています。
CO2のみの温暖化より、海水の暖流への影響によっては地方によっては温暖化も寒冷化も起こりえます。
urizzebleさん、あなたは、原発は賛成派ですか反対派ですか?
私は、原発を止めて石炭火力発電に切り替えろ、というような原発反対論には賛成です。しかし、現実はちがう。原発反対派は、太陽光発電にしろだとか、私には理解できないことばかり言う。省エネ政策のようなものは、大いにやればいいですけど、二酸化炭素悪玉説のようなものは、石炭推進論者のひとりとして、どうしても受け入れることができない。その意味で、民主党政権を存続させてはいけないと思ってもいます。
今は、池田さんも言うように、財政赤字が最大の経済リスクです。私は、政府が二酸化炭素で無駄な金を使うのを、阻止したいと思っています。
この二十年間国債を増発してきた原因は
デフレ。原因を取り除かないと増発サイクル
から逃れられない。
増税はデフレを助長しませんか?
ギリシャが発端のソブリンリスクも、不良債権を
抱え込むアメリカよりも目先の問題が少ないJGBが
選好される可能性すらあります。
ハイパーインフレが起こる可能性はゼロではないけど
むしろナローパスなのではありませんか。
増税による財政再建は迷信ではありませんか?
> 太陽光発電のエネルギー単価は原発の10倍
この数字の根拠は2008年度の経産省エネルギー白書のようですね. 直接は見つけられなかったのですが, 資料をまとめたサイトがありました.
ところで, 検索中に以下のような記事も見つけました.
増殖寸前 太陽電池
http://bit.ly/aiUrPs
原発と太陽光発電,実は似たもの同士
http://bit.ly/6WGRqX
この記者の言うように従来の電力に対抗できる価格になるか, 私にはわかりません. しかし, 「10倍」はさすがに古い話のようです.
なお私は原発推進論者です. ただ, 国際的にU獲得競争が起きているのと, 日本にPuが増えすぎているのが心配です.
風力はコストを考えて作るなら賛成です. 水力と大差ないようなので. しかし, 日本ではコストを無視して作っているケースがあるような気がします.
太陽電池はコストが下がるか眉唾なので今のところ反対です. ただ, 本当にグリッド・パリティに達しそうなら, 補助金は意味があるかもしれないとも思っています.
jestemnekoさんへ
以下はあくまで私見です。参考程度で
原発は賛成ですが、化石燃料による火力発電は、将来的にはソーラー等にもう少しシフトすべきだと思ってます。例えば、太陽光パネル1枚作るのに、相当な電気を使います。今の日本の発電量なら火力もあるのでパネル製作も容易なエネルギーを持ってます。よって、エネルギー政策の変更するなら今のタイミングしかないと思います。
一方、政府のCO2悪玉説には私も反対です。なぜなら、看板があっても中身を伴ってないから。
地球環境の変化はまだ停滞期にありますが、劇的な変化が実際に起こってしまうと、止める方法はありません。
蛇足ですが、スペイン風邪の死体は永久凍土に大量に埋められています。これが温暖化で解けると、再び流行する可能性があるように、予測できない事象が多々発生するでしょう。
コモディティバブルがまたやってきて、原産国が自国の産業や国民に食わせる分のためにブロック経済政策敷いたら、大変でしょう。環境バブルは省エネバブルでもあるので、輸入できるのが当たり前というモラルハザードを回避する分には別にいいのでは?富山の米騒動も、アメリカが米の輸出を停止したことから米価が高騰して暴動が起きましたし。
太陽光発電のエネルギー単価は原発の10倍・・
原発稼働に伴う史上最悪の環境汚染物質であるプルトニウム(Pu)の最終処理が日本では全く決まっていません.世界でも米国ヤッカマウンテンは白紙撤回だし,スウェーデンの2カ所だけです.スウェーデンは厚い岩盤と地下マントルの安定した地層であり,地下500m埋没で合意の方向ですが,それでも地元のNGOは今後10万年の環境変動による流出,核兵器開発の可能性を残し,地下3000m以下に埋めよと主張しています.未来の人類は,例え原発を必要としなくなっても,この現世代が産み出したリスクだけは背負います.
この埋没処理を,地層の安定したスウェーデンにビジネスとして提案したらどれくらいの金額のビジネスになるでしょうか.
私はまず,Puを無毒化する技術開発が先だと考えてきました.優秀な日本人の頭脳なら可能だろうと思っていました.
それは可能です.トリウム熔融塩型原発がウラニウム原発と冷戦時代の同時期に開発され,Puの必要性から中止封印されています.Pu,劣化ウランを実質的に生じない原発です.核分裂の際にPuを混ぜるとPuが消滅します.基礎技術は確立し実験炉段階と聞いています.トリウムは海岸の砂などに混じり普遍性の高い資源です.
これから世界の物価は統一され、先進国の高い物価と途上国の安い物価の差が無くなり一つに修練していく。それを日本から眺めると、「日本円の為替レート×日本の物価変動率」が数十年かけて数分の一に収斂していくということ。ただしそれが、
「マイルド円安×マイルドデフレ」「超円安×マイルドインフレ」「円高×超デフレ」などいずれの組み合わせであるかは分からない。分からないというよりも時の政権が通貨を守るか生活を守るかである程度変わる。だだ、財政出動でできることはその変動に対するスムージングオペレーションぐらい。その意味では現在の為替介入に似ている。
もちろん新しい価値を生み出したり、よその国から利益を取り込んだりすることに成功すればそれだけの部分はプラスになるけれども。
だから「デフレで所得が下がって生活が苦しい」とデフレを問題にする気持ちは分かるけれども、デフレ退治というのは少し違う。やるべきことはデフレと円安(輸入物価の上昇)をいかに財政でスムージングするか、その間財政をいかに持たせるかが問題なんだと思う。
トリウムの確認埋蔵量はどれらいなんでしょうかねえ、、、
原発は、ウラン資源が枯渇しつつあるし、何兆円もの国の金を使っていながら、プルトニウムの商用化にメドが立っていません。一方、石炭の確認埋蔵量は他の鉱物エネルギー資源より圧倒的に多い。しかも、日本の石炭火力発電技術は世界一です。国内の炭鉱を復活させることも、できるかもしれない。私は、国内で新しく建設する発電所は、すべて石炭火力発電所にすべきであると考えます。原発だけでなく、LNG火力発電や石油火力発電の新設も止めたほうがよいでしょう。
ところが、鳩山内閣がわけの分からんことを言い出したせいで、二酸化炭素悪玉説が石炭悪玉説になり、国内で石炭火力発電がやれない状況になりつつある。石炭を蔑ろにしてきた責めは、自民党も負わなければならないとは思いますが、とにかく今は、石炭を軽視する民主党の環境エネルギー政策を是正したいと思っています。間違ってますかねえ、、、
石炭火力発電の技術力は、発電効率、煤煙処理共に確かに世界有数だと思いますよ。石炭は採掘コストと保管量(かなりの面積が必要)が圧倒的にマイナスになるので、国内の炭坑は無理が出てくるんだと思います。それに、今後大幅な技術向上の余地もあまりないんじゃないでしょうか?
原子力も40年近く基本技術は変わっていないため、効率は大きく変わってないです。(安全性は上がりましたが)
太陽光発電、燃料電池はこれからの分野で、まだまだ未成熟です。私は成熟させるための政策であれば賛成します。
石炭火力発電の将来は、石炭産出国の顧客から建設受注することが、重要になるんだと思います。
>石炭火力発電の技術力は、発電効率、煤煙処理共に確かに世界有数だと思いますよ。
世界有数ではなく世界一ですよ。50%以上の発電効率が出せるのは日本だけです。アホな政策がその技術を殺している。
国内炭を採掘する企業には、米の生産農家と同じような措置を施せばよい。やれもしないプルトニウムの商用化に国の金を何兆円だか何十兆円だか出すのを止めればいくらでも出せる。太陽光発電だかに出す金よりも少なくてすむかもしれない。
石炭はベトナムやロシアからも輸入できる。シーレーンの防衛も軽くなります。
日本国内に眠る個人金融資産は、本来なら国内に投資機会がないのだから資産は海外へ投資され為替は円安に触れるべきでありますが、そうはなりません。このインバランスの結果、国内では国債バブルが起き、バブルは利益の極大化を目指して崩壊に向かいますが、国債バブルの利益とは何か?それは国家財政の赤字財政の許容ではないかと思いますが、その赤字の受益者は誰か?政治家や官僚、利益団体などの一部の国民を利用する利権者か?それとも高齢者か?
このストーリーが成立するためには、誰かが財政で甘い汁を吸うために世論を誘導しているはずですが、おそらく誰にもその意識がない。要は、特定の誰かが明確なポリシーを持ってそうしているのではなく、なんとなく個々人が空気を読んで動いた結果として現在の状況がある。唯一の例外であった小泉政権時代はたった5年間であったため、日本全体の空気まで変えることはできなかった。
おそらく、このまま国債バブルの崩壊やハイパーインフレが起きたとしても、結局誰の責任かとか、何が原因だったのかわからぬままではなかろうかと思います。過去の戦争の時もそうでした。やわな事言うなと言われそうですが、やはり日本の空気を変えるしかないと思います。
トリウムの確認埋蔵量はどれくらいなんでしょうかねえ、、、
古川和男著「原発」革命(文春新書)によれば,現在の確認埋蔵量はウランと同程度の200万トン,但し探査はウランに大きく劣るとなっています.日本にはないが,世界に広く分布しウランのように偏りがなく,ない国を探すのが困難なくらいとなっています.Wikipediaではウランより多いとなっています.産地は遍在し,どこかの国が売るでしょうから,利権が生じないでしょう.
もしPu最終処理(埋没)を,一定の科学水準があり,岩盤の厚さと地質の安定で最も適したスウェーデンにビジネスとして依頼すると,10万年の流出リスクと核兵器転用リスクを現在価値に換算しさらに利益を加えて,一括で支払っていくらになるか・・これを原発電力の使用者が負担するわけです.
トリウム溶融塩炉で日本が全世界の原発ビジネスを一手に握れば,潜在成長率上昇の大きな因子になるように思います.欠点は,技術者がいないこと,私の知る限り先に述べた古川和男氏(NPOトリウム熔融塩国際フォーラム理事長)お一人です.お年ですが,かくしゃくとしていらっしゃいます.
sm2482さん、ありがとうございます。トリウム炉の商用化は、10年や20年では無理でしょうね。10年後には、ウラン資源の争奪がはじまるでしょうし、国の金を何十兆円も使っていながら、プルトニウムの商用化はメドが立っていません。私は、石炭への依存度を高めるエネルギー政策が、もっとも正しいエネルギー政策であると考えます。
前原さんだとか枝野さんだとか、小沢幹事長を非難している民主党の閣僚議員がいるじゃないですか。民主党は、彼らの代になると、今以上に二酸化炭素や石炭を悪玉にするような気がしてしょうがない。みんなの党なんかもそうでしょう。やはり、自民党を立て直すしかないと思います。