<今週のロスジェネ既婚男>
年齢:35歳
結婚年齢:25歳
仕事:エネルギー会社社員
世帯年収:950万円
家族構成:妻、娘、息子
絵に描いたような「幸せ」家族生活を体現している男がいる。2年前に静岡県で広い庭付きの一軒家を建て、妻と子ども(一姫二太郎)と暮らしている高橋弘光(仮名、35歳)だ。都内の職場までは新幹線で約1時間。ゆったりと座りながら朝の一人時間を楽しんでいる。「会社から通勤費用は出るけど、新幹線通勤者は珍しい。毎月1万円も自己負担しているんだよ〜」とのんびりした声で訴える高橋は悲壮感ゼロ。残業も少なく、夕食は自宅で食べることがほとんどだという。エネルギー業界って、そんなに気楽な商売なのだろうか。東京駅近くの和食店「玄界灘」で一杯やりながら話を聞くことにした。
大宮(以下、O) すみません、平日の夜に。
高橋(以下、T) 大丈夫だよ〜。夜はたいてい空いているからね。新幹線の終電までには失礼させてもらうけど。東京駅近くの店にしてもらって助かるよ。
O 大きな鯵の開きが有名な店らしいですよ。どんどん飲みましょう。終電に乗り損ねて5万円ぐらいかけてタクシー帰りしてほしいです(笑)。
T 勘弁してよ〜。車内で眠っちゃって乗り過ごすのも怖いんだから。
O ですよね。気がついたら名古屋だったという経験もありますか?
T 名古屋まではさすがにないよ。でも、夜中だと一駅でも乗り過ごしたら戻れないからね。駅前のホテルに泊まったことが3回ぐらいある。駅員に事情を話すと、「明朝の始発で乗るなら差額はいらない」と事務的に言われるんだ。
のんびり暮らすためにエネルギー業界を選択
O 高橋さんみたいな新幹線通勤者はけっこういるんでしょうね。
T そうだね。毎朝、乗る時間も車両も決まっているから、馴染みの顔もけっこう多い。会話したりはしないけど。
O 朝はどんな風に過ごしているんですか?
T 6時半に起床して、朝食用のサンドイッチとコーヒーを作るだけ。他のことは全部、新幹線の中でやってる。
O 奥さんは起きないんですか?
T 奥さん(妻のこと)は子どもと一緒に7時過ぎに起きてるよ。ちょうど僕が出かける時間。眠そうな声で「いってらっしゃーい」とは言ってくれるけど。