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【社会】

八ツ場ダム上流から高濃度ヒ素 国交省は非公表

2010年3月5日 02時04分

 群馬県の八ツ場ダム予定地の上流にある品木ダム(同県六合村)で、湖底の堆積物から昨年3月、農地土壌の環境基準の約350倍に相当する1キロ当たり最大5300ミリグラムのヒ素を検出していたことが4日、国土交通省の資料で明らかになった。同省は検出を公表していなかった。

 八ツ場ダム予定地の吾妻川支流で、国交省が環境基準を超えるヒ素を検出しながら公表しなかった問題に関連し、民主党の熊田篤嗣衆院議員が資料を請求していた。5日の衆院国交委員会で追及する方針。

 国交省資料によると、農地の環境基準が土壌1キロ当たり15ミリグラムなのに対し、4カ所の測定で堆積物1キロ当たり5300〜28ミリグラムのヒ素を検出した。熊田氏は「高濃度のヒ素が蓄積されているにもかかわらず、下流の住民への説明がない。環境への影響も懸念される」と指摘している。

 国交省は、ヒ素検出を公表しなかった理由について「八ツ場ダム建設のためではなく、堆積物をコンクリートの原料などに再利用するための調査だった」と釈明。堆積物については「適正に処理しており、下流への流出の心配はない。品木ダムが流出を防いでいる側面もある」としている。

 品木ダムは、上流の温泉や鉱山の影響で強酸性となっていた吾妻川の水質を改善する目的で、1965年に完成。石灰を投入して水を中和し、ダムの底に沈殿した堆積物を近くの土捨て場に処分している。

(共同)
 

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