民主党を揺るがす「政治とカネ」第3弾が、北の大地ではじけた。鳩山由紀夫首相や小沢一郎幹事長の政治資金事件に続いて、北海道教職員組合(北教組)が昨年の総選挙で小林千代美衆院議員=北海道5区=陣営に違法な献金をしたとして、北教組幹部らが逮捕されたのだ。小林氏の議員辞職は必至との見方が強いが、15日までに辞職すれば参院選前の4月に補欠選挙が実施されるだけに、執行部も頭を抱えている。
1日午後の衆院予算委員会の集中審議で、自民党の馳浩衆院議員が、北教組による違法献金事件で“速報”を流した。
「いま、衝撃的な情報が入った。札幌地検が北教組幹部の逮捕状を請求し、出頭を求めるようだ」
その瞬間、委員席がどよめき、馳氏の矢継ぎ早の追及に、川端達夫文部科学相は「厳正に対処したい」と応じざるを得なかった。
首相も1日夜、「大変遺憾だ。政治家と組合とのかかわりで起ったことなので、深刻に考えるべきだ」と強調した。
教職員は教育公務員特例法で政治的行為を制限されているものの、罰則規定はなく懲戒処分のみになっている。首相はこうした現状に関しても、「長年の議論で罰則はないことで落ち着いている。なかなかしんどい話だが、文部科学相にどこまで踏み込めるか検討を命じている」とも述べ、法改正など含めて検討する方針を表明した。
民主党にとって北教組による違法献金事件は、首相、小沢氏に続く第三の金銭スキャンダル。政権交代への失望感から鳩山内閣の支持率が急落、政治とカネが影響した地方選での敗北…。選挙でカネも人も労働組合に依存する「組合丸抱え」のゆがんだ党体質も鮮明になった。党幹部は「参院選で『政治とカネ』を争点にしたくない」と危機感をあらわにする。
北海道連代表の三井弁雄国対委員長代理は「お騒がせしているが、参院選はしっかり戦う。反省も含めて頑張る」と強がるが、小沢氏と距離を置く前原誠司国土交通相ら「民主七奉行」は1日夜の会合で、参院選の情勢が厳しいとの認識で一致した。
小林氏の進退については、党内で「会計責任者が逮捕されただけに、議員辞職はやむを得ない」(幹部)との見方が強い。しかし、今月15日までに辞職した場合、公職選挙法の規定で参院選前の4月に補選が行われる。そこで敗北すれば、夏の参院選に向け手痛い打撃となるだけに、党内では「辞職するにしても16日以降にすべきだ。そうなれば参院選との同日選になる」(中堅)との声が強い。
しかし、辞職を引き延ばせば、また自浄能力がないと批判を受けるのは確実。果たしてどのような判断をするのか。