ここから本文エリア 無念さ、被害者が吐露/石巻殺傷2010年03月05日 「悲しさと悔しさは消えない」――。石巻市の住宅で起きた3人殺傷事件で、県警が4日、少年2人について殺人容疑などでの再逮捕に踏み切った。県警は今後、主従関係にあるとされる2人の間柄や事件の背景の解明をめざす。重傷を負った被害者は、事件から1カ月近くたっても変わらない無念さを吐露した。 再逮捕を受け、殺害された南部美沙さん(当時20)の友人の女性は「よかった」と安心した様子。妹の沙耶さん(18)が連れ去られる様子を目撃した近所の女性(73)は、事件を主導したとされる石巻市の元解体工の少年(18)について、「これからどう裁かれるかに注目したい。ちゃんと真実を話してほしい」と求めた。 一方で共犯として再逮捕された東松島市の無職少年(17)について、知人らは「彼まで殺人容疑とは」と驚きを隠さなかった。 事件直前に無職少年から犯行計画を聞かされた知人は「(元解体工から)罪をかぶれと包丁を握らされ、『従わなければ自分が殺される』とおびえきっていた。逃げたくて連絡してきたのに、最後まで怖がって逃げ出さなかった」とかばった。2人の友人の少年(17)は「無職少年は昨年12月ごろから使い走りにされ、元解体工の少年に殴られることもあり、言いなりだった」と話した。 関係者によると、無職少年は逮捕後、「元解体工の少年にストーカーのようにつきまとわれて嫌だった。『家族を殺す』と脅されたこともあった」と話しているという。 再逮捕を聞き、無職少年の母親は朝日新聞の取材に対し「被害者にとって取り返しのつかないことをしてしまった。できるならばきちんと育て直したい」と悔やんだ。 石巻署では午後1時15分から、県警の阿部信三郎刑事部長が記者会見し、2人の再逮捕を発表した。 阿部刑事部長は「元解体工の少年と無職少年は主従関係にあり、3人を刺したのは元解体工」と説明。無職少年を殺人の共犯としたことについては「被疑者や目撃者の供述から総合的に判断した」と答えるにとどめた。 県警は、2人が南部さん方に合鍵を使って押し入り、2階の寝室で寝ていた美沙さんらを元解体工の少年が次々と刺した後、次女を連れ去ったと説明している。報道陣からは殺傷事件当時の状況や、無職少年が果たした役割について質問が相次いだが、阿部刑事部長は「詳しい内容は控えたい」と詳細な説明はしなかった。 捜査幹部によると、無職少年は刺してはいないが、元解体工の少年から計画を知らされたにもかかわらず、犯行を止めなかったことなどから、県警は共謀関係が成立するとみているという。 一方、殺害された大森実可子さん(当時18)とともに、南部さん方で胸を刺されて大けがを負った建設作業員の男性(20)は4日、県警を通じて報道機関にコメントを寄せた。男性は「目の前で友人、知人を殺されたこの悲しさと悔しさは心の中から消えません」「なにもできなかった自分を悔やんでいます」とした。その上で「けがも完治しておらず、亡くなられた(被害者の)ご家族の心情を思うと心身とも立ち直ることができません」という。
マイタウン宮城
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