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バンクーバー五輪 女子フィギュア 華の氷上決戦
浅田真央 攻めて銀メダル
(週刊朝日 2010年03月12日号配信掲載) 2010年3月4日(木)配信
真央は、いつもの試合、グランプリシリーズや世界選手権と変わらないコンディション作りを心がけ、試合直前に現地に入る作戦を取った。「オリンピックだから」特別なことをするのではなく、あくまでも普段通り。4年間、積み上げてきた大きな思いがあるこの試合は、ほんとうは「特別」だ。しかし、普段の自分のやり方、自分の信じるものを貫いて、特別な試合にもいつも通りに向かっていく──ゆるがない、その信念があるならばきっと大丈夫。見守る者たちにそう感じさせてくれる強さが、大舞台を前にした真央にはあった。
アスリートとして、とことん頑固者の浅田真央。だが時折見せる「妹らしい表情」に、おっ、と思うこともある。一番に信じるものは自分の積んできた練習であって、靴がボロボロになるまで毎日滑りこむ練習の虫。だからゲン担ぎなどとは無縁なはずの真央が、姉の浅田舞からもらったお守りだけは特別に、常にキャリーバッグに入れて持ち歩いているという。舞とおそろいで買ったネックレスも何よりも大事にしているし、試合が終わると一番に電話をする相手も、舞。
あそこまで自分の信念を貫こうとするくせに、世界チャンピオンになっても、姉が頼り。そんな意外なもろさを見せられると、逆にこちらもほっとするし、自分にとっても妹のような存在として気を使いたくなってしまう。キム・ヨナの有名なキャッチフレーズ「国民の妹」は、実は真央のことなのかもしれないな、と思うのだ。
「アスリート・真央」ではない「妹・真央」の素顔もまた、魅力的だ。試合中でも一番の関心は「今日のご飯は何か」だという食いしんぼう。日本や韓国の試合で彼女が強いのは、「他の国よりもおいしいものが多くて、食べ物が合うから」という単純明快さで、周囲を苦笑させる。
取材にやってきた記者に対し、「ここまで遠くなかったですか。どうやって来たんですか?」「寒くないですか?」などとごく自然に気を使ってくれる態度も、とてもうれしい。
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