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〜エフェクト編〜



基本的な工程

基本的な工程自体,かなり作品によって異なります。しかし,いずれの場合も,すべてMacintosh上で行っているのが特徴です。他の人の解説を読むと,髪に下書き→ペン入れ→スキャン→着色,というのが一般的なようですが,私の場合は,最大公約数的には以下のようになります。

  1. PhotoShopかArtSchool Dabblerでラフ画を製作。
  2. PhotoShop上で別レイヤーまたはパスに下書きを作る。
  3. 清書レイヤーにアウトラインを線描で作成する。
  4. 清書レイヤーを複製したものに着色する。
  5. 清書レイヤーと着色レイヤーを合成してから再び複製する。
  6. 複製したレイヤーにガウスぼかしをかけてスクリーン50%程度でオリジナルと重ねる。
  7. 背景を製作する。
実際には,パスを使わないこともありますし,着色の方法も,一般的な筆ツールやエアブラシツールだけではなく,他のレイヤーに色だけ着けてベタ塗りした下書きと演算したり,閉じたパスで自動的に描画させたりします。しかし,最近では顔だけはパスを使わないようにしています。



例:Rei01

表紙に漂っているレイちゃんをサンプルに使います(何という表現だ...)。
はじめに下書き。いきなりPhotoShopを使っています。本当は,あまりPhotoShopのペンや筆は好きではありません。ArtSchoolの方がタッチの感触がいいのですが,ハードウエアに厳しすぎるので,起動には勇気が入ります。今回はPhotoShopのパスも併用することもあり,精密なラフ画(矛盾した表現だ)は不要なのではじめからPhotoShopを選びました。
今回は下書きをパスでなぞります。紙の上でペン入れをしないため,PhotoShop上で筆ツールと消しゴムツールを多用すると輪郭がぼけてしまうので,簡単なイラストならこの方が線のはみ出しなどを気にしなくて済みます。また,実解像度に制約されることなく,画面上で拡大すればいくらでも精密にラインが引けるところも気に入っています。ビットマップ部は72dpiでも,通常は4〜16倍くらいに拡大して処理するので,パスのときだけは1152dpi程度でラインを引いていることになります(この計算正しいのかな?)。
 左の例では,髪の毛のつんつんした部分が拡大して作業してあるところです。このスクリーンショットは2倍拡大ですが,パスの指定はさらに細かく行われていることがわかります。

これをもとに清書レイヤーにレンダリングさせます。輪郭のみなら筆ツールを使うところですが,今回は塗りつぶしなので鉛筆ツールです。新規レイヤーは通常透明なので,後でぼかしをかけたときに周辺部が半透明になるのを避けるために白でベタ塗りしたレイヤーと統合しておき,白黒反転します。
その次に,このレイヤーを複製してもう一つ作り,ガウスぼかしをかけます。それをオリジナルの上にスクリーンモードで重ねます。トーンカーブまたはチャンネルで赤と緑を破棄すれば,青い光になるわけです。
この,レイヤーを複製してガウスぼかしをかけて演算で合成するという作業は,光の表現だけでなく,細かい部分のあらを隠したり,陰影を着けたり,さまざまな使い方をします。

製作時間は約10時間ほどだったと記憶しています。



複製→ぼかし→合成

レイヤーを複製してガウスぼかしをかけて演算で合成するという手法を他の作品で見てみましょう。

Misato02ですが,かなり顔が暗いと思いませんか?これは,レイヤーを合成する際に暗くなってしまたのです。Misato02の製作工程は非常に複雑だったので詳細は述べませんが,最終的なレイヤー構成は右のようになっています。
 ちびミサトの部分は,複製してぼかしをかけたものをオーバーレイモードで合成しています。これにより,輪郭線が影に変換されて,立体感と深みのある画像になっています。ただし,この作業はあらかじめ予定していたわけではなかったので,顔がやや暗くなってしまいました。それにあわせて,背景の画像を追加する際に,やや暗めに製作して色調を統一しています。
 また,この作品は製作の途中でハードウエア側のガンマ設定を変更しているのですが,今回の作品を通して,重要なのはガンマの絶対値ではなく,全体の色調を統一することにあるということを確認しました。
 ちなみに,右のレイヤー構成は,HD上の仮想メモリ領域の不足のために,すでにいくつかのレイヤーは統合済みです。実際には,カプセルに乗った後ろ姿は,パスで描画したカプセル本体と,ちびミサトが別レイヤーで製作されていますし,アダムの光も左側をパスで描き左右反転したものを合成し,さらにレイヤーを複製しぼかしをかけて合成しています。ちなみに,画像の大きさは1280×960でした。
 ちびミサトレイヤーの一部に,誤って雲を描いてしまっています。

クリスマス前に作ったAsuka05です。ここでもレイヤーの複製,ぼかし,合成を利用しています。左がオリジナルで,右がぼかしたレイヤー,下がその際のレイヤー構成と,合成後です。

2800×2100で製作しましたが,HDの容量不足のため,レイヤー群を分類して二つのファイルに分割して作業をすすめ,それぞれの画像を統合したものをさらに一つのファイルにまとめ,レイヤーを統合してから,複製・ぼかしをかけています。
ぼかしレイヤーの合成により,目のハイライト部が輝いて見えるようになりました。同様に,顔全体や髪も光を帯びたようになります。
外側に色がにじみでています。これは透明部分の保護をかけずにぼかしを入れたからですが,(透明部分を白で表示しているのでわかりにくいかもしれませんが)透明度の高い領域であり,暗い背景を用意すると,逆に明るい部分になります(このスクリーンショットではわかりにくいかもしれません)。
副作用は,スクリーンモードで合成しているために髪の色が明るくなりすぎて金髪になってしまったことです。今後は,はじめから演算による色調の変化を考慮して着色するか,着色後に色調の変更を行うことを考慮するべきかもしれません。また,この作業を行わなくても,JPEG圧縮によりほぼ同様のにじみができるので,わざわざこのぼかし工程を入れる意味がどれほどあるのかは不明です(笑)。


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