「萌(も)え系」と言われる美少女イラストをパッケージにした食品が、中国地方で続々と誕生している。もみじまんじゅうやキムチなど商品は多彩。老舗メーカーも参入し、若い客層の開拓を狙う。全国ではまちおこしにつながった例もあり、「オタク文化」に期待が膨らんでいる。
しゃもじを手にした愛らしい少女とシカ。1922年創業の後藤製菓(廿日市市)が昨年12月に発売した、もみじまんじゅう「もみまん。」のパッケージだ。
絵は「厳島神社に仕える少女」との設定。8個入り700円で中身は通常のもみじまんじゅうだが、後藤政彦社長は「修学旅行生の人気になれば」と話す。
水産物加工販売の宮原水産(呉市)が同月発売したちりめんじゃこ「宮原家の倉橋ちりめん物語」は、包装にきょうだいのキャラクターを配した。倉橋島の風景のポストカードのおまけ入りで100グラム630円。26年創業の老舗で、「若い人に倉橋を訪れてもらうきっかけにしたい」と宮原泉美社長。
両社の図案はともに、キャラクターデザインを請け負うグループ「広島オタクマップ」が手掛けた。川崎まみ代表は「同業者との違いを出したい企業の関心が高い。老舗でも萌え系への抵抗感はないようだ」とみる。
女子高校生とキムチを結び付けた「女子高生キムチ」を昨春発売したのは北備建設(庄原市)。建設不況で新分野に参入した商品の第1弾。広島県の補助金も受け「全国から引き合いがある」という。
ひざを抱えて座る高校生の図案は、庄原市出身で少年誌に連載を持つ漫画家瀬尾公治さんが描いた。松森悦子社長は「お願いしたら快諾してくれた」と喜ぶ。
一宮酒造(大田市)は、世界遺産の石見銀山遺跡をPRする梅酒に美少女イラストをあしらっている。
萌え系イラストを使った食品は全国で増えている。秋田県羽後町のJAうごが美少女のパッケージで販売したあきたこまちはヒット商品となった。
【写真説明】美少女のイラストをあしらった食品。左から「もみまん。」「女子高生キムチ」「宮原家の倉橋ちりめん物語」
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