日本を震駭させた秋葉原の無差別殺傷事件など、このところかつては考えられなかった若者による凄惨な犯罪事件が、あいついで起っている。
日本の戦後教育に重大な欠陥があることを示しているが、学校教育の場で体罰を禁じたことが大きな要因である。
人は生まれるだけでは、人とならない。子は無知であって、教えることによって人となる。幼いときから規律を身につけて、してはならないことの限度を身で覚えさせなければならない。
今日の学校教育では、教室や廊下に罰として立たせることも、体罰として禁じられている。身体に傷を負わせることがない体罰は、江戸時代の寺子屋からついこのあいだまで、当然のこととして行われてきた。
私もそうだったが、少年は動物に近いから仕つけなければならない。子供が正しくない行為を働いた時には、体罰を与えることが必要となる。
いい替えれば、子供には体罰を受ける権利がある。いっさいの体罰を禁じることは、日本の教育を荒廃させるだけではなく、子供の人権と将来を奪うものである。
少年の教育の大きな目的は、規律に基く精神を身につけさせることにある。
子供を救うために、学校教育における体罰を見直す運動を、有志に呼びかけて全国に拡めてゆきたい。
体罰の会 会長 加瀬 英明(かせ ひであき)
昭和11年12月22日 東京生まれ。
慶應大学経済学部、エール大学、コロンビア大学に学ぶ。
「ブリタニカ国際大百科事典」初代編集長([株]TBSブリタニカ、昭和42〜45年)
を経て、現在、評論を執筆。シカゴ大学、ペンシルバニア大学などより安全保障問題の講師として招かれるなど、海外での講演活動も多い。